ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

名プログラマの森田和郎氏が手がけたフルカラースクロールアクションRPG『リグラス』

イメージイラストが描かれたパッケージです。FM-7版のシールが貼ってありますが、テープ版なのでメディアについては書かれていません。

 当時の懐かしい広告とゲーム画面で、国産PCの歴史とノスタルジーに浸れる連載コーナー。今回取り上げたのは、“森田の~”でお馴染みの森田和郎氏が手がけたアクションRPG『リグラス』です。発売は1985年。

パッケージイラストが広告として使われていました。御三家以外にも、MZ-2500版やPC-9801版もリリースされていました。

 パソコンではゲームセンターにあるようなスクロールシューティングゲームは遊べないと言われていた時代に、『アルフォス』をリリースしてヒットさせた、著名プログラマの森田和郎氏。そんな氏が、自社ブランド「ランダムハウス」から発売となる第一弾タイトルとして世に送り出した作品が『リグラス ~魂の回帰~』です。

 プレイヤーは14歳の少年・メイを操作し、まずはクリスタルを5つ集める冒険へと旅立ちます。この時代としては珍しく、奥行きが存在する3D風味の描画を採用していました。主人公は装備している剣を振って戦うのですが、奥行きがあるために最初はなかなか相手に攻撃が当たらず、やきもきさせられます。序盤を突破すれば若干ヒットしやすくなるのですが、逆にスタート直後は戦っても返り討ちに遭うので、当たらない仕様が正しいのかもしれません。

道中に登場するキャラクターは、特定人物以外はいつ攻撃してくるか分からないため、移動は常に緊張感が伴います。マップの特定部分を通ると出現するRHマークは、取るとスコアが大幅に加算される貴重なアイテムです。

 そんな本作のユニークなところは、RPGであるにも関わらず経験値が存在しないところでしょう。特定の敵を倒すと体力が増えるほか、スコアが所持金の役割を果たし、これを消費することでアイテムを買うことができるなど、他のRPGには無い特長を持っていました。

 アイテムは10個以上は持てない仕組みだったため、無駄なものを所持しているとクリアに必須アイテムがもらえないという、当時は珍しくなかったハマりに陥ってしまうことも。また、会話のためにフィールド上のキャラクターに体当たりすると吹き出しが表示され、そこにセリフが描かれるというのも面白い部分です。

会話は吹き出しで表示されるため、非常にわかりやすいです。が、会話していた相手から突然攻撃される事態も多々あるので、油断はできません。

 今回はFD版ではなくテープ版でプレイしたのですが、メモリへのセーブが使えたため、いちいち生テープを用意しなくても良いのは便利でした。メモリセーブはFM-7版では3カ所、X1版なら1カ所にデータ保存ができます。もちろん、カセットテープへのデータ書き出しも可能なので、エンディング直前のシーンで保存して好きなときに見返す、ということも可能でした。

これはスタート地点の写真ですが、左がFM-7版で右がPC-8801版です。マップが違うのが分かるかと思います。

 本作は、他のキャラクターと戦火を交えなければ最初から先の方まで進める自由度があった反面、何をすれば良いか分からずにうろうろしてしまい、結果的に一撃で倒されてやり直し、という経験を持つ人が多いのではないでしょうか? 序盤に何をすれば良いのかが分かりにくいというのが、若干取っつきづらさを持たせるタイトルでした。また、画面の見た目が地味だったりBGMが無かったというのも、大ヒットには至らなかった理由かもしれません。

 なお、ランダムアクセスが出来るFD版やX1テープ版と違い、一方通行となっているFM-7テープ版はマップや攻略方法が違っています。これは今回、X1テープ版とFM-7テープ版、PC-8801FD版の3機種をプレイして気づいたのですが、当時は1機種しか持っていないのが普通だったので、そのときは大きな話題にならなかったのかもしれません。

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