ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

全世界よ、これが日本のアドベンチャー・ゲームだ! コンプティーク『カムイの剣』

主人公の次郎ではなく、天海が大きく描かれたパッケージイラストとなっています。日本語タイトルの下には英語で「THE DAGGER OF KAMUI」と記されています。

 当時の懐かしい広告とゲーム画面で、国産PCの歴史とノスタルジーに浸れる連載コーナー。今回取り上げたのは、同名アニメーション映画をゲーム化してコンプティークから1985年に発売されたアドベンチャーゲーム『カムイの剣』です。

 1980年代中頃と言えば角川映画がヒットしていた時期ですが、85年にSF作家である矢野徹氏の小説『カムイの剣』を原作として公開されたアニメ映画『カムイの剣』、これを元として作られたのが、パソコン版のアドベンチャーゲーム『カムイの剣』となります。ストーリーは、このような感じで書かれていました。

 -世界各地に散在する莫大なキャプテン・キッドの財宝の謎は、多くの伝説を生んだ。18世記にキッドが絞首刑になってから160年が経過し、日本はまさに幕末の時代であった。ある日、東北は下北半島にアイヌの血を引く赤ん坊が流れ着いた。この子が身につけていた剣がキャプテン・キッドの秘宝を解く鍵なのだ。この剣を巡り多くの人間が暗躍、舞台は日本から北米大陸へと移る。

こちらがキャッチコピーで有名かもしれない(笑)広告です。この当時、国産機種にくわえてApple II版を発売するのは、なかなか無いことでした。

 壮大なスケールで描かれる本作は、“日本初の国際アドベンチャーゲーム”とパッケージに書かれ、発売されました。これは国産機種だけでなく、Apple IIでも発売されたことからだと思われます。

 ゲーム自体はオーソドックスなアドベンチャーで、動詞+名詞と打ち込むコマンド入力式を採用していました。この時期らしく、日本語仮名交じりでも受け付けるので、「トビラ アケル」「OPEN トビラ」「アケル DOOR」と入力しても反応してくれます。描画速度も速いためサクサクと進みますが、条件を満たさずに移動するとゲームオーバーになるトラップも仕込まれているので、マッピングとこまめなセーブが欠かせないのはお約束です。

コマンド入力式のアドベンチャーゲームなので、画面に“>”が表示されているところでコマンドを入力します。登場人物は、思った以上に多彩です。
持ち物は、カナ入力の時はカナで、英語入力すると英語で表示されます。左が英語入力時、右がカナ入力時の持ち物表示画面です。

 本作の場合、作品よりも「全世界よ、これが日本のアドベンチャー・ゲームだ」とのキャッチコピーのほうが有名かもしれません。2012年に公開された映画『アベンジャーズ』では、「日本よ、これが映画だ。」とのキャッチコピーが使われていましたが、パソコン版『カムイの剣』は、それより30年近く前に全世界に向けて上から目線のコピーを使用していました。もしかすると、本作のキャッチコピーが元ネタになっているのかもしれません!?

 ただし、公開された映画はヒットした記憶があるのですが、パソコン版『カムイの剣』が当時売れたかどうかは不明です。当時の角川書店から発売されていた雑誌『コンプティーク』では特集も組まれていましたが、やはりというか他の雑誌ではほぼ見かけることはありませんでした。

条件を満たすと、この場面に移動してもゲームオーバーにならなくなります。この先ではやるべき事があるのですが、一歩間違えると大変な事態になることも。

※5/7 10:15更新 初掲載時、一部本ソフトと異なる説明が含まれていました。訂正してお詫びいたします。

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