ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

ザインソフトが手がけた SFハードアクションRPG『未来』

未開の惑星を背景に、2人の人物がアニメ調で描かれているパッケージです。主人公の男性キャラはともかく、女性キャラはストーリーにもゲーム中にも登場しない謎人物となっています。

 当時の懐かしい広告とゲーム画面で、国産PCの歴史とノスタルジーに浸れる連載コーナー。今回は、1986年末にザインソフトから発売されたタイトル「未来」を取り上げます。

 ザインソフトと言えば、サイドビューのアクションRPG『トリトーン』で一躍有名になったソフトハウスですが、さらなる大作RPGとして1986年末に発売したタイトルが『未来』になります。マニュアルに書かれたストーリーは、以下のようなものでした。

 宇宙世記Seven-two-O。地球における人類の生命は絶たれ、宇宙への移住を余儀なくされていた。次の移住予定地として、REINBOW星雲にその運命が託されたが、REINBOW星雲は全く異なった環境の6つの惑星とそれを統治する1つの惑星よりなりたっており、完全に我々を敵視している。時の流れと共に疾走した謎のソルジャー。彼が5つのきらめきをもつアーマードスーツを見たときその運命は変った。未来へ

広告でも、パッケージに使われたイラストが大きく掲載されています。PC-98版は、PC-9801やPC-9801Uでも動くのが珍しいかもしれません。

 今読むと色々とツッコミどころが満載なわけですが(笑)、プレイヤーは謎のソルジャーを操り、舞台となる惑星=各ステージをクリアしていくこととなります。

 本作の正式ジャンルは、パッケージに書かれた「SF・Hard・Action・R・P・G」となるわけですが、実際にプレイするとアクションRPGと思われました。周囲から出現する敵を、主人公が持つ武器で攻撃して倒し、経験値を稼ぎながら装備を充実させていくというタイプです。

 主人公にはEnergy(生命力)とFuel(バーニアの残り燃料)、Exp.(経験値)、Shoot P(敵の撃墜数)、Cash(手持ちのお金)というパラメータがあり、Energyが0になるとゲームオーバーになってしまいます。

 通常、ゲームスタート直後は簡単でわかりやすく、進行が容易なはずなのですが、本作にその考えは通用しません。開始直後の画面で敵を倒しているとFuelがすぐに尽きてしまい、続いてEnergyがみるみるうちに減っていくため、あっという間にゲームオーバーに。他の場所を探索しようにも、敵にぶつかると少ないEnergyをガリガリと削られてしまうため、おちおち移動もできません。

地上では、出現する敵を倒して経験値などを稼いでいきます。特定の場所には中ボスが出現し、それをすべて倒すと地下への入り口がオープンします。

 結論としては、スタート画面の右上の方に拠点となるステーションがあるので、そこへ強引に移動してから敵を倒してShoot Pを稼ぎ、Fuelが0になりそうなところでステーションに入り補給することで、なんとか序盤を凌ぐことができるようになります。

 そんな本作のユニークなところは、序盤から強力な武器が買えてしまうものの先に進まないとスーツと呼ばれるアーマーの良い装備が手に入らないことと、ステージごとにステーション内の設備が異なる部分、そしてフィールドが地上と地下に別れていることでしょう。特定の敵以外は無限に出現するため、それを倒してShoot Pを稼ぎまくれば、1面なのにいきなりWAVEなどの強い武器で相手を蹂躙できます。

ステーションでは、ステージごとに売っているアイテムなどが異なります。EnergyやFuelの購入方法が、某ソフトに似てるように見えますが……。

 地下へ入るには、地上に出現する中ボスを倒さなければなりません。侵入すると、地上ではチマっとしていた主人公の頭身が高くなるため、ゲームの印象が大きく変わりました。

 そんな主人公と同じ大きさの中ボスが出現するので、今度は格闘技を駆使して戦うことになります。ゴリ押しでHPを削って勝つほか、中ボスそれぞれに設定されている弱点を攻撃して簡単に倒す方法どちらでも可能でした。ただし、弱点に当てるためには攻撃方法として設定されているパンチとキックを、そのたびに選び直さなければならないのが手間で惜しいところですが……。

 ある程度の中ボスを倒しつつ先へと進むとボスが出現し、戦いに勝利すれば次のステージへと進めるのでした。

地下に入ると、中は迷路のような作りになっています。途中、各所に出現する中ボスはスルーできますが、一定数以上倒さないとボスに出会えずループさせられてしまいます。条件を満たして先へ進むとボスが出現し、バトルが始まります。『ザナドゥ』のデカキャラ戦に似ているとの話も?

 画面のパッと見が日本ファルコムの『ザナドゥ』に似ていたり、地下はナムコ(当時)のアーケードゲーム『ドラゴンバスター』に、ボス戦も『ザナドゥ』ライクだったりと、当時はオリジナリティが少々薄いかなーと感じました。

 楽曲が、どこか郷愁漂うもの悲しげなものが流れるのは、『トリトーン』の流れを引き継いでいるのかもしれません。そのあたりが、いかにも“ザインソフトらしい”といえば、そうなのかもしれません(笑)。

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