ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

アドベンチャーゲームに新たな流れをもたらした『は~りぃ ふぉっくす』

パッケージに大きく描かれているのは、本作の主人公である母ギツネです。難易度の星印は4つで、マイクロキャビンとしては中級者向けの難易度でした。

 1980年代前半に巻き起こったアドベンチャーブームは、その主役が『ミステリーハウス』というミステリーものだったため、それに類する作品が数多く登場しました。そんな流れに一石を投じるかのように登場したのが、今回取り上げるマイクロキャビンが1984年に発売したアドベンチャーゲーム『は~りぃ ふぉっくす』です。

この時期、マイクロキャビンは『WORRY』を積極的にプッシュしていたため、『は~りぃ ふぉっくす』が掲載されているのは少ないです。後に『は~りぃ ふぉっくす 雪の魔王編』がリリースされると、それと同時に大きく宣伝されるようになりました。

 本作は、マイクロキャビンが開催した第1回アドベンチャーゲーム・コンテストにて、ストーリー部門で入賞した作品でした。そんな本作のストーリーは、以下のようになっています。

 むかし、ロムスの森という所に、大変仲のいい母ギツネと子ギツネがいました。ある時、子ギツネが「ロムス病」という病気にかかってしまいます。ロムス病にかかると絶対に治らないという伝説があり、今までにもこの病気にかかった者はなすすべもなく死んでいきました。

 母ぎつねはどうすることもできなく、ただ看病するだけでしたが、そのとき母ギツネは昔におばあさんギツネに教えてもらったことを思い出します。“おまえが母ギツネになる頃には、ロムス病という絶対に治らないという病気がはやりだす。しかし、それを治す方法がただ一つだけある。それは、リール神社に隠されているという油揚げを食べさせることだ”と。

 母ギツネはたった一匹、はるか山の彼方にあるというシビル村のリール神社へと旅立つのでした。

タイトル画面が表示された後に、PC-6001mkII版ではデータテープを作るかどうかを聞かれます。ここでテープを作成しておくと、先へ進んでゲームオーバーになっても途中から簡単に始められます。作らない場合は、シーンごとにテープカウンタをメモしておき、自分で早送りしてやる必要があります。

 プレイヤーは主人公である母ギツネとなり、リール神社にあるという油揚げを手に入れ、我が子の病気を治すのが目的となります。入力は動詞+名詞で行うコマンド入力方式ですが、移動はカーソルキーで行えるので簡単でした。

 表示されるグラフィックも、それまでの『ミステリーハウス』『ドリームランド』『英雄伝説サーガ』といったタイトルとは大きく異なり、アニメタッチになっています。画面の見た目が暖かい印象を与えるため、難しくないだろうというのが第一印象でした。

 ところが実際にプレイしてみると、『ミステリーハウス』より難易度は低いとされていたものの、随所で手こずることに。特に、移動しただけで即ゲームオーバーになってしまうシーンも少なくはないため、しっかりとしたマッピングも要求されます。

ゲームは、コマンド入力方式で進んでいきます。メッセージはひらがなとカタカナで表示されるため、それがより作品をメルヘンチックな雰囲気に仕上げてくれているのではないかと思われます。

 登場するのはほとんどが動物ですが、ゲームが進行すると人間が現れ、プレイヤーの行く手を阻みます。人間視点ではなく動物視点で見て、考えて、行動しないと、人間によって命を奪われしまうことも……。このときほど、自分の存在を棚に上げて「人間は酷い!」と思ったことはありませんでした(笑)。

 今回記事紹介で使用したのはPC-6001mkII版ですが、当時プレイしたPC-8801版やX1版よりも解像度が低いものの、それがかえって暖かみのあるグラフィックを表現していると感じられました。

 現在は、このPC-6001mkII版を遊ぶのはハードルが高いですが、PC-8801版がプロジェクトEGGから配信されていますので、気になった人はそちらでプレイしてみてください。

行き先を間違えると、途端にゲームオーバーになるようなシーンも……母ギツネが召されてしまうグラフィックが描かれリトライするかどうか聞かれますので、子ギツネを助けるまで頑張ってください!

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