ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

みんな使った!日本を代表するワードプロセッサソフト『一太郎Ver3/Ver.4』

~ ボクたちの心を躍らせた、想い出のパソコンゲームたち 番外編 ~

どちらのバージョンのパッケージも、目に鮮やかな赤色が特徴です。赤色は、日本国旗の日の丸の赤からきています。当時のビジネスソフトは、何冊もある分厚いマニュアルが収められるよう、箱形のパッケージを採用していました。

 当時の懐かしい広告とゲーム画面で、国産PCの歴史とノスタルジーに浸れる連載コーナー。今回は番外編その2として、PC-98シリーズを使ったことがある人ならば知っている・触ったことがあると思われる、あのワープロソフト『一太郎』を取り上げてみました。紹介するのは、俗に言う“三太郎”“四太郎”こと『一太郎Ver.3』と『一太郎Ver.4』です。

 当時のユーザーがパソコンを購入した理由はさまざまだと思いますが、PC-98シリーズを入手して誰もが一度は使ったことがあるワープロソフトと言えば、ジャストシステムの「一太郎」シリーズではないでしょうか。中でも、特に懐かしく思い入れがあるのが、“三太郎”と呼ばれた『一太郎Ver3』と、“四太郎”こと「一太郎Ver4』だと思います。

左が『一太郎Ver.3』一式、右が『一太郎Ver.4』一式となります。とにかく、マニュアルが分厚いのが分かるかと思います。

 ワープロソフト自体はPC-8001の時代から存在していて、例えば光栄マイコンシステムからは1983年の1月に、日本語ワープロソフト『いろは』が発売されています。その後はキャリーラボの「JET」シリーズやデービーソフトの「春望」シリーズなど、次々と新しいソフトが市場へと送り出されました。そんな中で、ビジネスマシンとして登場したPC-98シリーズをターゲットにしたワープロソフトも次々と現れます。初期の頃に勢力を拡大していたのは、管理工学研究所の『松』でした。日本語入力フロントエンドプロセッサ(FEP)として「松茸(MTTK)」を搭載し、複合語変換を実現。最初のバージョンは128,000円という価格でしたが、いち早く多くのユーザーに広まっていました。

ちなみに、これが1983年1月に光栄マイコンシステムから発売されたPC-8001用ワープロソフト『いろは』の広告です。「PC-8001で漢字!」のキャッチが時代を感じさせます。

 時を同じくして、PC-100用に『JS-WORD』をアスキーからリリースしたジャストシステムは、紆余曲折を経てPC-9801をターゲットとした『jX-WORD太郎』を1985年2月に発売します。価格は58,000円で、発売5ヶ月間で1万本近く販売しました。同年8月には後継ソフトとして、同社の代名詞ともなる初代『一太郎』が登場します。こちらも1年足らずで1万本という販売実績をあげていました。

 このときに使われていたFEP「ATOK4」は『一太郎』専用ではなく、他のソフトでも使用することができるようになっていました。複合連文節変換方式を採用し、日本語変換効率の高さが高評価を受けていたこともあって、“ATOKは賢い”と言われ次第にユーザーに広まっていきます。変換キーにスペースキーを採用したのも、普及の大きな要因と言われています。

 そうして1987年に発売された『一太郎Ver.3』、そして1989年発売の『一太郎Ver.4』で、PC-98シリーズの定番ワープロソフトとしての地位を確保するのでした。

『一太郎Ver.3』発売時の広告です。価格は58,000円ですが、旧バージョンからのバージョンアップが行えたことがわかります。

 『一太郎Ver.3』はMS-DOS2.11がプリインストールされていたため、すぐに起動できるのが便利なところです。また、編集したファイルを保存すると、拡張子“jxw”が追加されますが、中身は実質的なプレーンテキストファイルなので、テキストエディタ『Vz』や『MIFES』などでの加工も可能でした。

『一太郎Ver.4』発売時には、図形プロセッサ『花子』、日英ワープロ『duet』、ハンディイメージスキャナ『JS-SC202』、EMSメモリ『JS-EM201』などと合わせて、ジャストシステムだけで全14ページにもわたる広告を展開していました。そのうちの8ページ分を掲載しています。
Ver.3の起動ディスクから立ち上げると、MS-DOS2.11の後にデバイスドライバとしてATOK6が組み込まれます。ここからコマンド“JXW”を入力すると、本体が動きます。

 次バージョンとなる『一太郎Ver.4』は、新しい構想をたくさん採り入れようとしたことから、製品の完成は予定よりも大幅に遅れ89年4月に完成しています。しかし、ジャストウィンドウなど多数の機能を搭載したことから高いスペックを必要としてしまい、発売直後からサポートセンターには「動かなくなった」との電話が殺到する事態に。この後改良が行われ、12月に完成したVer.4.3で製品への信頼を取り戻すのでした。『一太郎Ver.4』を使用していた人は、ほとんどがこの4.3を使っていたのではないかと思います。

実際に、Ver.4を起動させてみました。ESCキーでメニューが表示されるというのも、これまた懐かしいです。『ATOK7』は、今となっては変換効率的に分が悪いですが、当時としては非常に賢いFEPでした。

 また、この時からFEP『ATOK7』が別売もされるようになり、「ATOK」シリーズはMS-DOS上だけでなく、漢字Talk7やOS XといったMacOS、そしてWindowsなどの幅広いプラットフォームへと活躍の場を広げていったのでした。

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