ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

サイバーパンクな雰囲気に飲み込まれ、そしてエンディングに驚かされた『ザ・スクリーマー』

パッケージが書籍になっているという、面白い形態を採用しています。本の前半部分にはプロローグのマンガと小説、ゲーム説明が書かれていました。表紙イラストは、東本昌平氏の手によるものです。

 当時の懐かしい広告とゲーム画面で、国産PCの歴史とノスタルジーに浸れる連載コーナー。今回取り上げたのは、マジカルズゥの名前を一躍有名にしたRPG『ザ・スクリーマー』です。

パッケージの、マンガ部分です。この後に、BIASの説明などが書かれていて、書籍後半のページがくり抜かれた部分にフロッピーディスク3枚が収められていました。

 1980年代中盤、アドベンチャーゲームブームが落ち着き、代わってRPGが盛り上がってくると、数多くのソフトハウスがRPGを発売するようになります。

 そんな中、『黄金の墓』や『ピラミッドの謎』などで知名度を高めていたソフトハウス・マジカルズゥが1985年10月16日にリリースしたRPG、それが“ハイパーロールプレイ”『ザ・スクリーマー』です。

広告では、「いま、戦慄の遊戯(ゲーム)がはじまる。」というキャッチコピーで展開していました。

 1990年、地球規模の異常気象による食糧不足が起きると、日本は人工的な食料生産を目的とした遺伝子工学研究所BIASに国家生命を託す。しかし、それをもってしても食糧危機を乗り越えることは出来ず、折しも勃発した第三次世界大戦の最中にBIASは廃棄。しかし、その中ではでたらめな遺伝子操作などが起き、次々と新たな怪物を生み出していた。

 BIASを破壊することは内部の怪物が外に出てくる危険性を持っていたため、唯一の方法としてBIAS内部に潜入し、怪物をすべて殺し尽くすことが求められた。内部には怪物だけでなく、狂ったアンドロイド、さらには有毒なガスなども充満している。だが、怪物達のクビに懸賞金がかけられるようになると、各地から命知らずたちが一攫千金を求めBIASに集まってきた。そんな彼らのことを、人々はいつしかこう呼ぶようになった。「ザ・スクリーマー」と……。

街の中には商業施設があり、そこに登場する人物たちも濃いキャラクターデザインになっています。なお、最初に首屋でFRD(FIGHTING RECORDER DEVICE)をもらっておかないと、どれだけ敵を倒してもお金になら無いので注意!

 プレイヤーはスクリーマーの一人として、BIASにうごめく怪物を倒し、BIASの機能停止を目指します。BIAS内は3Dダンジョンになっているので、当然ながらマッピングは欠かせません。

 世紀末特有の、俗に言う「ヒャッハー!」感(笑)が全編ににじみ出ていて、登場人物たちは全員が“濃い”キャラばかりとなっているのも特徴でしょう。今風に説明するのであれば、映画『マッドマックス』の世界観の中でバイオハザードが起きた、と例えると、しっくりくるかもしれません。

BIAS内は3Dダンジョンになっているので、マッピング必須です。右下のコンパスをしっかり見ておかないと、回転床に乗った時に方向が分からなくなってしまうことも。ドアは5キーで開きますが、中にはパスワードのかかったものもあります。

 本作ならではの部分は、なんと言っても敵との戦闘シーンでしょう。それまでのRPGは主に、コマンド選択式を採用していました。しかし本作は、敵と遭遇するとサイドビューのアクションゲームとなるため、アクションゲームが苦手な人だと序盤で詰まってしまうのです。

 アクション自体はシンプルで、敵が飛ばしてくる弾を避けつつ、こちらの攻撃を当てればOKというもの。敵の攻撃として火の玉のようなものが飛んでくるのですが、これをジャンプで避けたり盾でガードするタイミングを憶えるまでが難しいです。しかも、ガードし続けていると敵が目の前で攻撃し続けるため、逃げる以外の行動を取ることができなくなってしまうという厳しい面も。

 防御と攻撃をいかに素早く行えるかが、戦闘シーンで勝利を得るためのコツとなっていました。しかも、戦闘シーンなどで死んでしまうと、それまでセーブされてあったキャラクターのデータが消去されるという極悪非道(?)なシステムも相まって、本作の難しさを際立たせていました。

 もっとも、あらかじめフロッピーディスクにプロテクトシールを貼っておき、セーブのタイミングで剥がすようにすれば、事なきを得ることが出来ましたが。

戦闘シーンは、サイドビューのアクションゲーム形式で行われます。敵の上段攻撃は、しゃがんでいれば当たりません。中段や下段攻撃は、Xキーで防御する必要があります。相手の攻撃をガードした直後に攻撃し、再び守りを固める、を繰り返しましょう。

 また、ダンジョンにもさまざまな罠が仕掛けてあるためマッピングもかなり手こずることや、BIAS内で出会う同業者(=他のスクリーマー)に会って話を聞かないと先へ進めないドアなどがあり、他のRPGと比べても難易度は高めだったといえます。

 特に、最後に待ち受けるファイナルドアを開けるためのパスワードは難しく、ここで詰まった人も多かったのではないでしょうか。

 そこを見事にクリアした人は、その先の展開で更に度肝を抜かされたことかと思います。そして迎えたエンディングを見て、複雑な気持ちになったのは筆者だけではないはず。後に、「あのストーリー展開は凄かった」と、非常に感心した記憶が残っています。

 現在はプロジェクトEGGにて配信もされていますので、久しぶりに歯ごたえのあるRPGを遊びたくなった人やエンディングが気になった人は、ぜひプレイしてみてください。

BIAS内で出会う他のスクリーマーたちとは、会話をかわせます。主人公のハンターランク(=レベルのようなもの)がある程度まで上昇していれば、会話時に単語を入力することで色々と教えてくれます。

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