ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

アニメーションするダンジョン、戦闘シーン……すべてが眩しかった ~1984年登場 『リザード』~

パッケージは、角が取れたデザインになっています。本来は、斜めの部分に機種名が書かれたシールが貼られているのですが、撮影したパッケージでは剥がれ落ちてしまいました。

 当時の懐かしい広告とゲーム画面で、国産PCの歴史とノスタルジーに浸れる連載コーナー。今回取り上げたのは、最初がPC-6001mkIIシリーズ向けRPGとして登場した『リザード』です。

 RPG時代の幕開けとも言える1984年には、数多くの作品が登場しました。そのなかにあって、RPG初心者でも遊びやすいタイトルだったのが、クリスタルソフトの発売した『リザード』です。

 プレイヤーの目的は、リザードが姫にかけた呪いを解くために必要となる、真実の書を手に入れることでした。そのために、主人公を鍛えながら10階層にわたるダンジョン内を探索していくことになります。

『リザード』は、『グランドクロス』や『バンダル』、『夢幻の心臓』といったタイトルが発売されていた時期にリリースされました。「ついに出た!PC-6001mkIIロールプレイング」というキャッチに、心躍らせた人も多いはずです。

 本作の特長は、そのルールのシンプルさと言えるでしょう。キャラクターメイキングでは、戦士・盗賊・商人から選ぶことでパラメータが決まるという簡潔さ。ダンジョン内での戦闘も、戦うか、逃げるかといった選択肢にとどめただけでなく、2等身のキャラクターとして相対する主人公と敵が、戦闘の結果に応じたアクションを行うのも、見ていて非常に楽しい限りでした。しかも、ヒットしたときの効果音が非常に気持ち良く、いかにも“敵に攻撃が当たってHPを削っている!”というSEだったのも印象深いです。

データロードが終わると、冒険の幕開けを告げるBGMが流れた後に、キャラクターメイキングがスタートします。といっても、職業を選ぶだけなのでシンプル。

 また、(当時としての)3Dで表示されるダンジョン内を歩き回ったとき、左右を向くと壁が“ズリズリッ”と移動するため、とてもわかりやすいのも有難い機能でした。この時期は、方眼紙に地図を描くマッピングが欠かせなかったため、プレイした人の多くはこの表示方法に賛美を送ったのではないでしょうか。

ダンジョンを移動すると、このような感じで壁がズリズリッと動きます。初めて見たときは「凄い!」と、大いに驚いたものです。

 ゲームの進行は難しくなく、敵を倒して経験値とお金を稼ぎつつ装備を調えて先を目指す、となっていました。本作ならではのユニークな部分としては、レベルアップで上がるのは各種パラメータだけであり、HPの最大値(LIM)は病院でお金を出さないと上げてもらえないというところでしょう。裏を返せば、お金さえ出せばレベルが1のままでも最大HPだけはドンドンUPしていくということです。

 もっとも、レベルアップしなければ迷宮の奥へ進むことは出来ないのですが……。また、装備しているアイテムなどが壊れる、という特徴もありました。装備品には耐久力があり、それを越えるとクリアに必要なアイテムですら壊れてしまうため、毎回緊張感のある戦闘を繰り返すこととなります。

敵と遭遇すると、戦うか逃げるか、または話すかを選びます。“話す”を選択しても相手が問答無用で襲いかかってきた場合、先手を取られてしまいます。
戦闘中は、画面中央左に表示されているキャラクターたちが、アニメーションで当たりハズレを教えてくれます。キーを押す指にも、ついつい力が入ってしまうというものです。

 後に、マイクロキャビンとリバーヒルソフトが他機種への移植を担当し、数多くのパソコンで遊ぶことが出来るようになりました。複雑なRPGが増えた今だからこそ、こういったシンプルに楽しめる作品に新鮮さを感じるかもしれません。

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