ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち
「女神転生」はここから始まった!『デジタル・デビル物語 女神転生』
2023年1月5日 07:05
当時の懐かしい広告とゲーム画面で、国産PCの歴史とノスタルジーに浸れる連載コーナー。今回取り上げたのは、「女神転生」と名前がつくタイトルの中でも最初に発売された、日本テレネットの『デジタル・デビル物語(ストーリー) 女神転生』です。
日本テレネットと言えば、『ファイナルゾーン』や『夢幻戦士ヴァリス』などのタイトルでビジュアルシーンとゲームパートを合わせた作品作りを行い、大ヒットさせたソフトハウスとして有名ですが、そんな同社が1987年に発売したソフトが、今回取り上げた『デジタル・デビル物語 女神転生』です。
当時の雑誌に掲載されたOVAの広告を見ると、パソコン版が1987年6月10日発売予定で、ファミコンソフト版が6月発売予定/発売元・価格が未定とありました。パソコン版は詳細が載っている事や、このほかの雑誌でも6月中旬発売という広告が掲載されていたことから察するに、ほぼこの予定通りに発売されたとみて問題無いかと思われます。
なお、ファミコンソフト版は後にナムコ(当時)より、OVA広告記載の6月から3ヶ月遅れた同年9月に発売されましたが、世の中に最初に登場したのは間違いなくパソコン版なので、「最初の『女神転生』はパソコン版なんだよ!」と周りに言いふらしても問題無いでしょう(笑)。そんな本作のストーリーは、以下のようになっています。
天才プログラマの異名をとる好青年の中島朱実は、高校3年生の17歳。そんなある日、クラスに1人の少女が転校してくる。白鷺弓子と紹介された彼女は、なぜか中島に心引かれるものを感じるのだった。
このとき、中島は既に悪魔を呼び出すプログラムを完成させ、プログラムによりコンピュータ内でデジタル化して魔界から降臨したデジタルデビル“魔神ロキ”の力と権力を得ていた。その代償として女の犠牲を要求していたロキは、次のターゲットとして弓子を選ぶ。
しかし、悪魔に取り込まれる一瞬、彼女の体内に“もう一人の彼女”ともいえる前世の姿、女神イザナミが宿る。必死に抵抗するものの、弓子が我に戻った瞬間にロキは弓子をクリスタル化して鷲掴みにし、魔界へと消えてしまう。
すべてを目の前で見ていた中島へ女神イザナギは、ロキによって人間界は地獄と化してしまうことと、それに対抗できるのは中島しかいないことを告げ、武器としてヒノカグツチをつかわし、消えてしまう。右手に神秘の光を放つ剣を握りしめた中島は苦悶の末に決意し、魔界へと旅立つ……
原作となった小説での舞台は現実の世界でしたが、パソコン版は“飛鳥の石舞台古墳の地下から魔界に足を踏み入れる”という設定のため、登場するのは魔界そのものとなっていました。また、月刊マイコンBASICマガジン1987年9月号に掲載されたテレネットスタッフのコメントによると「アドベンチャーゲームにしたくなかったために、小説の内容を踏まえながらもゲーム性を高めるため、弓子には悪魔にさらわれてクリスタルの体にされてしまった少女の役を演じてもらっています」とのことで、このあたりも原作小説とは違っていました。
本作ですが、プレイヤーは魔界へと降り立った中島として、生命の木になぞらえた全20ステージ160フロアにも及ぶマップを探索しながら、ロキを探し出して倒すのが目的となっています。各面は生命の木にあるようなつながり方をしているため、それを理解しなければ思うようには移動できません。先に進むにはある程度のマッピングが必要になりますが、今なら当時の攻略記事を探し出すのが早いでしょう。
主人公はテンキーまたはカーソルキーで4方向に移動できますが、攻撃時は2つのキーを組み合わせることで斜め方向へも撃つことができます。これを上手に利用して、障害物の陰から狙うのが攻略方法の一つです。攻撃時は、キーを押しっぱなしにしておけば連射もしてくれますので、連打する必要がないのはありがたい限りです。敵は“攻撃に思考・論理パターンを持つ”と広告に書かれてるように、何もせずにぼーっとしているものもいれば、主人公を見つけると執拗に追いかけてくる相手もいます。どんなタイプの敵かを見分けられるようになれば、被ダメージも減るでしょう。
主人公が最初に持っている武器はヒノカグツチですが、無限に使える代わりに射程が短いという特徴があります。ステージ内ではほかの武器を見つけられるのですが、剣以外の武器には残量が設定されているので、むやみやたらに使えばあっという間に無くなってしまうのが悩み所。なお、様々な情報を提供してくれるハンドヘルド・コンピュータもフロアのどこかに落ちているので、最初はそれを見つけることを目標にして動くのが良いでしょう。また、途中で捕らえられたケルベロスや弓子を救出できれば、追加戦力として一緒に戦ってくれます。
改めてプレイしてみると、自キャラが4方向にしか動けないのに敵は8方向移動ができるため、追いかけてくる敵に対しては避けるのが難しかったり、マニュアルに書かれている情報があまりにも少なく雑誌の攻略記事などで補完しないと意味がわからない、というのが気になりました。回復薬をゲットすべく歩き回っているうちに、回復量より多くダメージを受けてしまうというのも痛い部分です。いろいろわかってから遊んでみれば面白いのですが、体力回復の手段がもう少しあれば当時の評判も変わったのでは? と今更ながら思いました。
現在プレイするのはなかなか難しいですが、当時遊んで良く分からなかった、という人はぜひこの機会に再び挑戦してみてほしいものです。
ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち 連載一覧
- デカキャラが衝撃的だった「ザナドゥ」
- RPGが一気に身近なものに感じられた「ハイドライド」
- “スペースキーに重し”がキーワード!? 「夢幻の心臓II」
- PC-8801mkIISRの人気を不動のものにした「テグザー」
- ボクたちの堀井雄二さん作品といえば、コレ!「ポートピア連続殺人事件」
- 誰もが知っている“ボンバーマン”の元となった「爆弾男」
- “ボンドソフト”の名前を一躍有名にした名作「タイムシークレット」
- 日本での初期RPGの代名詞とも言える「ザ・ブラックオニキス」
- MSX用のベストゲームとして挙げる人も多い「グラディウス2」
- コンピュータRPGの原点とも言える「ウィザードリィ シナリオ#1」
- 光栄の歴史シミュレーションシリーズ、その柱となる1本にして今も新作が続く「三國志」
- ザインソフトの名前を広く知らしめた「トリトーン」
- 数多くの機種にハイクオリティな移植を実現したマイコンソフトの「パックマン」
- スクウェアとサンライズがタッグを組んだ「クルーズチェイサー ブラスティー」
- 可愛らしい絵柄とは裏腹に歯ごたえあるアクションゲームだった「メルヘン・ヴェール」
- 全世界で大ヒットを記録した歯ごたえあるアクションパズルゲーム「ロードランナー」
- テレネットの底力がいかんなく発揮されたアクションゲーム「夢幻戦士ヴァリス」
- これぞハードボイルドゲームの傑作といえる1本「マンハッタン・レクイエム ~闇に翔ぶ天使たち~」
- X68000の機能を活かしたアーケードクオリティのアクションゲーム「GENOCIDE」
- シンプルな画面に隠された謎に夢中になった「MYSTERY HOUSE」
- ポニカの強み、版権ものタイトルの1本として登場した「南極物語」
- 今も続く「A列車で行こう」シリーズの元祖がここにある
- 木村明広氏の美麗なビジュアルシーンが印象的なRPG「エメラルドドラゴン」
- シンキングラビットがおくるミステリアドベンチャーの傑作「道化師殺人事件」
- ボーステックから発売された、謎多きゲーム「レリクス」
- 敵をよけつつ岩を運ぶアクションパズルの名作 デービーソフトの「フラッピー」
- 初期アドベンチャーゲームの傑作にして、今も語り継がれる「デゼニランド」
- 巨大なスケールと隠された謎の多さに驚かされた名作第2弾「ハイドライド2」
- シリーズ1作目にして高い完成度を誇った光栄の「信長の野望」
- あの名作シューティングがついにPC-88シリーズにも移植された!「ゼビウス」
- デカキャラとの戦いが3Dアクションで展開された呉ソフトウェア工房の「アルゴー」
- モンスターヒット作があらゆる面でパワーアップして帰ってきた!「ザナドゥ シナリオII」
- 「テグザー」に続く、ゲームアーツの傑作タイトル「シルフィード」
- 中村光一氏の大ヒット作にして、数多くの機種へと移植された名作「ドア・ドア」
- コンテストグランプリを受賞した、シミュレーションRPGの先駆けとも言える「ボコスカウォーズ」
- “集まれ!”“散れ!“の吹き出しがユニークだった「大脱走」
- 「スペシャル」「パンチボール」じゃない元祖「マリオブラザーズ」が、パソコンに移植されていた!
- あの「グラディウス」が、ついにPC-8801mkIISRシリーズに移植された!が……
- デモシーンやBGMに心を震わせた、日本テレネット初期の名作「ファイナルゾーン」
- とんでもない難易度は数々の悲喜こもごもな思い出をもたらした「ロマンシア」
- スターアーサーシリーズ3部作はここから始まった「惑星メフィウス」
- あの「ゼビウス」っぽいゲームをPC-8801でも遊べた!~1983年発売「アルフォス」~
- 可愛らしいキャラクターと考えられた謎にプレイヤーが魅せられた「サラダの国のトマト姫」
- いつまでも耳に残るサウンドが印象的だった珠玉の1本「ボスコニアン」
- シンプルなルールと熱い攻防、ノリの良いBGMが揃った秀作「魔城伝説」
- 名作「ウィザードリィ」の2作目が遂に国産パソコンで遊べるように「ウィザードリィ #2 - Knight of Diamonds」
- チェスとアクションゲームが融合した、ユニークな名作「アーコン」
- あの「爆弾男」が3Dになった!? 「三次元ボンバーマン」
- 時空を越える演出が魅力の「タイムトンネル」、物語は前作よりも壮大なスケールで展開
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- スターアーサーの冒険、再び! T&E SOFTの「暗黒星雲」
- コンパクトながらもツボを抑えたリバーヒルソフト初期の秀作ミステリアドベンチャー「手掛りを探せ」
- アーケードゲームライクなシューティングゲームが自宅でプレイ可能になった「ルクソール」
- “アイコンで行動を選ぶ”斬新なシステムに感心した「太陽の神殿 ~ASTEKA II~」
- その移植度の高さに驚愕した「沙羅曼蛇(サラマンダ)」
- あの「オレたちひょうきん族」のあみだくじがゲームになってた!? ポニカの「あーみだーくじ」
- ゲーセンで流行った陣取りゲームがパソコンでも遊べる!「QIX(クイックス)」
- 100部屋全部をひっくるめてのパズルゲーム「ザ・キャッスル」
- 人間の心理を突いたマップに悩まされる人が続出したアクションRPG「ゼリアード」
- ミリカの美しいCGに心躍らせた『ザース 人工頭脳オリオンの奪還』
- 光栄の歴史三部作シリーズ、その一翼を担った『蒼き狼と白き牝鹿』
- 全世界よ、これが日本のアドベンチャー・ゲームだ! コンプティーク『カムイの剣』
- 日本からアメリカまで、ヨットで太平洋を横断するスケールの大きなゲーム『セーリングクルーザー入門 太平洋横断11000km』
- 散々苦労させられた『サザンクロス』
- “大戦略”のソフトハウスがリリースした意外なアクションゲーム『冒険浪漫』
- まさに“前代未聞麻薬的爽快遊技”な傑作『ドラゴンスレイヤー』
- 執刀医ではなく麻酔科医の仕事がゲームになった!? 『Dr.麻酔科医』
- アニメーションするダンジョン、戦闘シーン……すべてが眩しかった ~1984年登場 『リザード』~
- あのアーケードゲームがそっくりそのまま動いた衝撃! 『X68000版 グラディウス』
- 可愛らしい“ちゃっくん”が自宅のパソコンでも動いた! 『ちゃっくんぽっぷ』
- 難易度 五つ星のファンタジーアドベンチャー『ドリームランド』
- マイコン初期時代に流行した野球拳の1本、九十九電機の『美少女ひっぱがしゲーム』
- スターアーサー伝説3部作のラストを飾った『テラ4001』
- 基本ゲームシステムはロードランナーと同じ!? 『ファンキーモンキー』
- 描画速度の速さに驚いた日本ファルコムの『デーモンズリング』
- “ハイドライド”の内藤時浩氏による商業デビュー作『コスモミューター』
- 90年代にゲームセンターで見かけた、あのゲームの元祖がここに『キャノンボール』~
- 名プログラマの森田和郎氏が手がけたフルカラースクロールアクションRPG『リグラス』
- 家族4人+1匹でドラゴンに立ち向かう『ドラゴンスレイヤーIV ドラスレファミリー』
- コンテストで最優秀賞を獲得、マジカル ズゥのアドベンチャー『黄金の墓』
- 幾千通りものシナリオを体験できた『ティル・ナ・ノーグ <ダーナの末裔>』
- 現在も続く「大戦略」シリーズの始まり『現代大戦略』
- 驚くほど滑らかに縦スクロール、名作シューティングゲーム『NOBO』
- PC-8001とは思えない滑らかな動きに驚かされた『FAN FUN』
- マイクロキャビンの名作アドベンチャーゲーム『ミステリーハウス』、その2作品目の難易度は!?
- 飛んでいくボールに合わせてスクロールする画面が斬新だった『アルバトロス』
- アーケード版と遜色ないクオリティで移植された名作『源平討魔伝』
- あまりにもカルト過ぎる問題が一部で話題を呼んだ『試験に出るうる星やつら』
- あの名作シリーズの3作目『ウィザードリィ #3 - Legacy of Llylgamyn』
- 魔城伝説シリーズの第2弾はアクションRPGとして登場! 『魔城伝説II ガリウスの迷宮』
- 当時としては驚くほどリアルなピンボールが遊べた『スーパーピンボール』
- 前作から大幅にパワーアップして舞台は全国に! 『信長の野望 全・国・版』
- 当時の移植作の中では秀逸な出来だったMSX版『グラディウス』
- 「あべしっ!」「ひでぶっ!」あの名台詞がゲーム中にも登場!~1986年発売『北斗の拳』~
- ギルに助け出されたカイがパソコンでも大活躍!『ザ・リターン・オブ・イシター』
- アーケードゲームを中村光一氏が移植、のちに改名されたPC-8001版「スクランブル」
- ザインソフトが手がけた SFハードアクションRPG『未来』
- ファルコムタイトルの中でも、群を抜いてレア度の高い1本『バードランド』
- より戦略性が増した「大戦略II」、生産タイプが増え、同時攻撃や間接攻撃も可能に!
- アドベンチャーゲームに新たな流れをもたらした『は~りぃ ふぉっくす』
- スクウェアの『アルファ』、ほぼ全シーンでアニメーション処理が導入されたADV
- ボクらのマリオ!ハドソンソフトの『マリオブラザーズスペシャル』
- 「Lotus 1-2-3 R2.1J」 あの頃の表計算ソフトと言えば、Microsoft Excelじゃなかった!
- 3機の合体シーンが印象的だった超メカシューティング『ヴォルガード』
- ファルコムのFM-7向け初アドベンチャーゲーム『異次元からの脱出』
- 「死体蹴り」の元祖といえばこのゲーム! 『エグゾアII ウォーロイド』
- 主役はマリオ、でも中身はハドソンオリジナルの「パンチボールマリオブラザーズ」
- みんな使った!日本を代表するワードプロセッサソフト『一太郎Ver3/Ver.4』
- サイバーパンクな雰囲気に飲み込まれ、そしてエンディングに驚かされた『ザ・スクリーマー』
- 歯ごたえたっぷり!全50面のパズルゲームでモグラのツラさを知る!?『モール・モール』
- 『SAVIOR(セイバー)』その滑らかなアニメーションは僕らの心を掴んで離さなかった……
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- 君はホームズかポアロか?ルナ企画の『京都ミステリーツアー』