ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

チェスとアクションゲームが融合した、ユニークな名作「アーコン」

パッケージには、中に収められているピクチャーディスクの絵柄が印刷されています

 当時の懐かしい広告とゲーム画面で、国産PCの歴史とノスタルジーに浸れる連載コーナー。今回は、「ザ・ムーンストーン」で話題になった(!?)BPSの「アーコン」を取り上げます。

 1980年代前半のBPSといえば、「ザ・ブラックオニキス」「ザ・ファイアークリスタル」などのRPGで名を馳せたソフトハウスでしたが、「ザ・ブラックオニキス3」として予告されていた「ザ・ムーンストーン」はなかなか発売されませんでした。それを待ち続けた人も多いと思いますが、そんな折りに海外からの移植タイトルとして発売されたのが「アーコン」です。後に「ミュール」「テトリス」といった名作を日本で発売する同社の、ヒットするソフトを発掘する眼力の凄さは、今考えると非常に鋭かったのではないでしょうか。

広告でも、パッケージに描かれたイラストが使用されています。右下に「ザ・ムーンストーン(The MOON STONE)」が開発中とあるのが、なんとも……

 ゲームは、9×9のマス目上に配置されたさまざまなコマを動かし、相手のユニットを全滅させるか盤面の5箇所にあるパワーポイントを占拠すれば勝利となります。チェスの盤面のようなストラテジスクリーンではコマを動かすのですが、コマは前方への移動だけが可能なもの、3マス以内ならコマを素通りしてどこへでも動けるものなど、それぞれが特徴を持っています。

巨大なBPSロゴが表示された後に、軽快なBGMと共に表示されるタイトル画面。パッケージイラストにある、ドラゴンとフェニックスがアニメーションします

 将棋やチェスであれば、コマが重なると指し手側が相手のコマを取りますが、本作ではコンバットアリーナと呼ばれるアクション要素のある戦闘画面へと遷移するのです。ここでの戦いで勝利した方が盤面に残るというのが、将棋やチェスにはない「アーコン」ならではの要素と言えるでしょう。

 盤面は、白または黒のマス目と、白→黒→白→黒→……と変化するマス目に分かれており、画面左に位置するライトサイド側は白のマス目、右側に配置されたダークサイド側は黒のマス目にコマが居ると戦闘時の初期HPが多くなるので、コンバットアリーナに入る前の戦略が非常に重要になります。他にも、大将であるウィザードとソーサレスは7種類の魔法を使うことができたり、パワーポイントにいると回復するHP、飛び道具や近接攻撃などキャラクターごとに設定された特徴的な攻撃方法など、さまざまな部分に思慮を巡らせる必要のある熱いタイトルでした。特に、ゴブリンやナイトといった最弱キャラでドラゴンやフェニックスなどを倒すと、その感覚が忘れられず、ついつい毎日遊んでしまうなんてこともありました。

ストラテジスクリーンでは、配置されたコマを相手と交互に操作します。それぞれの大将だけが使える魔法は7種類ありますが、どれも1度切りの制限なので、使うタイミングが重要になります
コンバットアリーナでは、アクションによる戦闘が繰り広げられます。射程の長さを活かして遠距離から攻撃したり、フェニックスのように自キャラの周囲に当たり判定があるキャラは相手に接近してアタックするなど、柔軟な戦い方が要求されます

 本作の対戦は、対コンピュータ戦だけでなく対人戦もプレイ可能です。同じ腕前くらいのプレイヤー同士で対戦すると盛り上がるのですが、思った以上に(今では貴重な)キーボードを酷使するため、当時ならともかく今は壊さないようにプレイする気遣いが必要かもしれません(笑)。

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