ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

エニックスの第1回ソフトコンテスト受賞タイトル『宇宙の戦士』

エニックスお馴染みの紙パッケージに、ゲームに関係するイラストが描かれています。裏面には、お馴染みの作者近影写真とともに、プロフィールも記されていました。

 当時の懐かしい広告とゲーム画面で、国産PCの歴史とノスタルジーに浸れる連載コーナー。今回取り上げたのは、エニックスが開催したプログラムコンテストにて入賞した作品の一つ、『宇宙の戦士』となります。

 1982年末まで募集が行われ、1983年1月15日の朝日新聞に結果が発表、2月中旬から順次発売されたエニックスの「第一回ゲーム・ホビープログラムコンテスト」では、13本の作品が入賞します。『ドア・ドア』や『森田のバトルフィールド』『マリちゃん危機一髪』といったタイトルが並ぶ中、PC-8801用のアクションゲームで入賞したのが今回取り上げた『宇宙の戦士』でした。作者は、当時医学生だった岡田良行氏で、現在は医師として活躍しています。

 このとき作者ですが、「アップル並のゲームがやりたいと思い機械語の勉強を始め、マイコン歴2年でこれが第1作目。自分ではアップルに限りなく近づいたと思っています」とコメントしていました。なお、本作の着想は彼の愛読書、SF作家のハインライン作品からヒントを得ていると、当時の雑誌インタビューで語っています。そんな作品の物語は、以下のようになっていました。

広告には、第1回のコンテストで入賞した作品がズラリと掲載されています。合わせて、第3回までの募集ページも掲載してみました。

 西暦2201年、宇宙連邦軍の一員である惑星から、不思議な発信音を受けた。宇宙連邦機動歩兵の私は、その信号が他の惑星からのSOSであることを知り、モビルスーツを着て単身、救助へ向かう準備をした。宇宙船は緊急発進すると、信号を発する青い星に近づく。ハッチから飛び出した私は陸地へと軟着するが、突如上空からテトラポット状の見慣れないUFOに襲われてしまう。しかし、体当たりで破壊することができることを知り戦うものの、今度は新たなUFOが襲来してくる。燃料が持たない……敵の攻撃をかわしながら補給船を待つと、ついにその時がきた。何とか補給船に戻った私は燃料を補給すると、再びせわしく外へと出て行った……。

 プレイヤーは主人公の乗り込む機動歩兵戦士(宇宙の戦士)を操作し、次々と出現する敵を撃退していくことになります。地上での移動は左右のみで、弾丸は真上にしか撃てません。しかし、テンキーの5や8で戦士を上昇させることで空中戦を行うことが可能でした。このときは、戦士が右を向けば右に、左であれば左に撃つことができます。敵UFOの動きは思ったよりも素早く、正確に中央部分を貫かなければ破壊できません。しかも、弾のストックは100発しかないため、スペースキーを押しっぱなしにしておけば連射できるものの、そうするとあっというまに弾数が0に……。残弾が尽きた場合は、補給船が現れるまで逃げ回るしかありません。

ロードが終了すると、タイトル画面と共に登場キャラクターや操作説明が表示されます。シンプルなアクションゲームなので、ストーリーなどを気にしなければマニュアルいらずでした。

 補給船は一定時間ごとに画面上空に現れ、ゆっくりと降りてきます。そのタイミングで重なることができれば補給完了となり、残りの燃料と残弾数が増加! 一気にプレイヤーのやる気もみなぎるというもの。途中で登場する敵である赤の戦士は、宇宙の戦士が持つ残りエネルギーが相手を下回っていると破壊されてしまうため、補給は非常に重要な要素となっていました。

 敵UFOは、読みづらい軌道を描きながら地上に接近・または降りてくることもあり、しかもそのまま水平に移動しつつ真横に弾を発射することもがあります。そのままでは宇宙の戦士が被弾してしまうので、上へ移動して逃げなければならないのですが、上昇し始めてすぐの時は真上にしか動けないため、そのタイミングで敵に当たってしまうことも多々ありました。ただし、空中に浮いてしまえば右斜め上などへの移動もできるほか、空中遊泳中に敵を倒すことができれば2倍の得点をゲットすることができます。慣れてきたら、空中で敵を倒してハイスコアを狙うという熱いプレイも楽しめました。

各ステージとも、基本的には地面を左右に移動しながら上空のUFOを撃墜するという攻略方法です。ある程度の余裕ができたらハイスコアを狙うために、空中に上昇して遊泳しながらの戦いを展開するのも手です。

 こうして、各面ごとに指定されたノルマを達成すればステージクリアとなり、クリアをお祝いするキャラクターが登場後に次のステージへと移動します。用意されたのは10ステージですが、そこまで達成するのは一苦労なので、何度もプレイして戦士を自由自在に動かせるようになるのがコツでした。

先のステージに進むと、赤の戦士を3体倒せ、という指令が出ることも。相手は地上でも左右に弾が撃てるため、非常に戦いづらいです。空中に見えるのは障害物で、触れると宇宙の戦士は破壊されてしまうので要注意。

 この頃の作品はBASIC+マシン語という構成のものも多く、本作も例外ではありません。市販品の場合、通常はBASIC部分を見られなくするなどのちょっとしたプロテクトが施してあることも多いのですが、『宇宙の戦士』では親切な注釈が書き込まれたBASICプログラムリストを“LIST”コマンドで見ることができるため、比較的簡単に改造することが可能でした。例えば、戦士の残機数は初期設定で6ですが、これを大幅に増やすことができたり、さらには補給船の降りてくるタイミングも任意に書き換えるといったこともできてしまいます。とはいえ、それらパラメータは作者がさまざまなプレイを重ねた結果の最適な数値がプログラミングされているわけで、楽しく遊ぶのであれば改造せずに実力でプレイするのが一番でしょう。

最初にBASICのプログラムをロード後、またはゲームオーバーで表示されたメッセージにnと答えると、BASICに戻ります。ここではLISTを見る事ができて、いくつかのパラメータを変更することが可能です。今回は撮影のために、宇宙の戦士の残機を9(1160行のPOKE &HE45B,6をPOKE &H45B,9に変更)にしてからプレイしています。ズルではありますが、これも写真を撮るため(笑)。

 岡田氏は、『宇宙の戦士』とほぼ同タイミングで制作し、ポニカの第1回PONYCAオリジナル・プログラム・コンテストに応募した作品『スリーピーシェリフ』で最優秀賞を獲得。その後、エニックスからの依頼で『ライトフリッパー』をリリース後、パソコンゲームデザイナーとしての活動を終了しています。

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