ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

マジカル ズゥのコマンド入力式アドベンチャー『続・黄金の墓』

この時期のマジカル ズゥお馴染み、ゼブラ模様の紙パッケージに、カセットテープとマニュアルが入っていました。それほど丈夫では無い紙が使われているため潰れているものも多く、原形を保っているものは少ないかもしれません。

 当時の懐かしい広告とゲーム画面で、国産PCの歴史とノスタルジーに浸れる連載コーナー。今回は、ゲームコンテストで選ばれた作品『黄金の墓』の続編として登場したアドベンチャーゲーム『続・黄金の墓』を取り上げました。

 ストラットフォードコンピューターセンター株式会社 ホビー事業部は1983年、ゲームソフトを発売するブランドとしてマジカル ズゥを打ち出します。そして「ツタンカーメンの謎」「ピラミッドの謎」「ムー大陸の謎」「インカ帝国の謎」4タイトルをお題とした“アドヴェンチャーゲーム・コンテスト”を行い、入賞した作品を『黄金の墓』『ムー大陸の謎』『ピラミッドの謎』として1983年8月1日に発売しました。ただし、お題の4作品のうち「ツタンカーメンの謎」は、コンテスト結果発表時に“当社にて開発中”と表記されていて(インカ帝国の謎は賞該当作品なし)、そこから約1年後となる1984年7月26日に『続・黄金の墓 ツタンカーメンの謎』として日の目を見ます。この日にリリースされたのはPC-6001/mkII版で、今回の記事で使用しているMSX用テープ版は、8月に発売と広告に書かれていました。そんな本作は、タイトルに“続”とついていることからも分かるように、物語は『黄金の墓』のその後から始まります。マニュアルには、以下のようなストーリーが書かれていました。

ゲーム冒頭では、プロローグが画面付きで語られます。それぞれの場面を表示し終わると、引き続きテープからのロードが始まって少々待たされますが、逆に気分は盛り上がるというものです。ちなみに倍速対応のデータレコーダを利用すると、かなり待ち時間を減らすことができます。

 P・チェモル博士は、イタリア数学学会屈指の大学者であると共に、屈強な探検家としても知られる人物です。彼は、その冒険旅行の途中で異次元の世界に吹き飛ばされたのでした。しかし、持ち前の勇気と知力によって、魔物や怪物にあふれた異次元世界からの脱出を成し遂げたのです。彼と同じ体験をした人物の記録を見つけたチェモル氏は、異次元世界についての数学的説明を完成させます。それが「時空のトンネル効果--シュセプアンクの世界」という論文であり、記録なのです。しかし、あなたがこの神話的世界から現世界に戻ってこれるかどうかはこれから決まることなのです……。

 この世界には、あなたを待ち受けるたくさんの魔物や怪物がいる。人間に化けてあなたを騙そうとする魔物もいるかもしれない。だれか道案内をしてくれる人間を味方にしなければならない。そして、自分の身を守る武器を手に入れなければならない。味方はたくさんいる方が良い。だが、気をつけてくれ。どこに敵がいるかわからないのだから。ともかく、出発だ!

移動の際は、“××へいく”と入力すればOKです。コマンドは動詞入力→名詞入力でも良いですが、“××を××”や“××に××”というように名詞と動詞をつなげて打ち込んでも問題ありません。

 プレイヤーは『黄金の墓』での謎を解き、一路エジプトへと向かう飛行機に乗り込んだチェモル博士として、現代への帰還を目的としてゲームを進めていきます。システムはコマンド入力式を採用しているのですが、使用する単語のほとんどはマニュアルに書かれているため、単語探しで迷うことはそうそうありません。入力例も掲載されているので、コマンドに悩んでしまった人は……ということではないかと思われます(笑)。

最初のパートには、5つの場面があります。とある場所にいる彼と話をして、アイテムの“けん”をもらえれば道が開けます。

 用意されている場面数は少ない代わりに、それらシーンのほとんどが意味を持っているので、前作と比べると難易度的にはやや下がったかなと思われます。ただし、プロローグ終了後の最初に表示される場面が蛇との戦闘シーンのため「戦わなければ!」と考え、さまざまなコマンドを入力するものの解決できず、ここで止まってしまった人もいたのではないでしょうか。筆者もあれこれコマンドを打ち込んでみたもののダメで、最終的に単に移動すれば良いことに気づくまでに相当の時間を要しました。

準備が整ったところで、いよいよ蛇との対決ですが、ここで武器を“つかう”しても勝機を見いだすことはできないようです。それならば、村でどうにかすると出会える彼女からアイテムをもらい、洞窟の中にいたアイツを丸め込んで助けてもらうしかなさそうです。

 ここでは、そのシーン以外に行ける場所が4カ所あるのですが、それらを順序よく回れば、あっという間に最初のパートはクリアすることができます。ちなみに、相手からモノをねだられたときに、持っているか否かにかかわらず“わたす”する、ということが分かれば、そう悩むことはありません。通常のアドベンチャーゲームでは、初期状態では何も持っていない場合がほとんどなので、このコマンドに行き着いたときには“それはないでしょ!”と叫んでしまいましたが……。

 ここから先は、手に入れたアイテムを各所で“つかう”していくことで、ある程度はサクサクと進めることができます。グラフィックも前作譲りのいわゆる“アップルっぽいテイスト”で描かれていて、他のソフトハウスの作品とはひと味違う雰囲気を楽しむことができるでしょう。

次のパートは、森の場面から始まります。歩き回ると、ゴチソウを出してくれる女の人に出会うのですが、途中で助けた仲間のネカウも怪しがっているようで……。

 なお、マニュアルの最終ページにはスタッフ一覧と権利表記が記されているのですが、そこを見ると「PROGRAMED BETWEEN DECEMBER 1983 AND JULY 1984」と書かれていて、本作が1983年12月に開発が始まり1984年7月に完成したことがわかります。

 マジカル ズゥが発売した“謎”シリーズは他にも2作品がありますので、それはまたの機会に取り上げたいと思います。

当時は、新発売時に2ページにわたり広告を掲載していたほか、後には教育用ソフトも一緒に宣伝していました。

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