ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

ゲーセンで流行った陣取りゲームがパソコンでも遊べる!「QIX(クイックス)」

フェニックスブランドから発売されていましたので、パッケージデザインも共通のものになっています。可愛らしいイラストが描かれていますが、ゲームはそんなに簡単ではありませんでした

 当時の懐かしい広告とゲーム画面で、国産PCの歴史とノスタルジーに浸れる連載コーナー。今回は、アーケードゲームとしても大流行したタイトル「QIX」のFM-7版を紹介します。

 1978年頃より、ゲームセンターは『スペースインベーダー』などのタイトルで盛り上がりを見せていきます。その後、数多くの作品がリリースされますが、なかでも1981年に登場した『QIX』は、それまでにはなかった“ラインで囲んで自陣を広げていく”というルールが人気を呼び、当時としてはヒット作品となりました。そうなると、同じゲームを自分が所有するパソコンで遊びたくなるのが定番でしたが、それを実現させてくれたのがフェニックス(タカラ)から発売された『クイックス』です。

フェニックスのソフト広告右ページ下に『クイックス』が掲載されていますが、“ランニングポイントを移動させ、オーロラをよけながら~(後略)”と、マニュアルやパッケージとはまったく違う名称が使われているのが面白いです

 ルールはアーケード版と同じく、自機であるカーソルを操作しながらフィールドを移動しているクイックスに触らないようラインを引いていき、陣地を75%以上確保すればクリアとなります。境界線上を移動しているスパークに接触したり、境界線を離れたカーソルがフィールドで止まると出現するヒューズに触れれば、カーソルを1つ失ってしまいます。それらに気をつけながら、フィールドをドンドン囲んでいきます。

タイトル画面では、ラインで渋くQIXの文字が描かれます。この後、あの作品が自宅で遊べるのかと思うと、とてもワクワクしました

 ただし、ゲームセンターの筐体には高速移動・低速移動のボタンがありましたが、本作ではフィールド内での移動ボタンは省略され、境界線からフィールド方向へ移動させると自動的にラインが引かれる仕組みになっていました。移動速度はアーケード版の高速に近いため、サクサクとラインを引けるのは気持ち良いです。

 FMシリーズ特有のキー入力問題があるため、自機がやられての再スタート時には、その前に押下していたキーの方向へ自動的に動き出してしまいます。これのために、最初のうちは連続して自機を失うことがありますが、慣れればすぐに5キーを押すようになるので問題は無いはずです。それよりは、フィールド内での移動ボタンが存在しないため、ちょっとした弾みで境界線からフィールドへ飛び出してしまい、クイックスに当たりミスになることが多々あるのがツライところでした。

 75%以上自陣が占めるとクリアとなり、獲得したパーセンテージに応じてスコアが入り次のステージへと移行するのですが、数面ごとにスパークが増えクイックスの動きが少しずつ賢くなる以外は特に代わり映えしないため、ある程度の腕があると飽きてしまうのが惜しいです。

カーソルを移動させ陣地を奪ったところは、青く塗られていきます。この割合が一定以上になれば、各ステージクリアとなります
周りから囲んで地道に占領率を増やしていくか、細かく陣地を伸ばして一気に囲むか……プレイヤーの手腕が問われます。慣れるまでは操作が難しく感じますが、そこを越えれば快適に遊べます

 アーケード版は不明ですが、本作にはイメージストーリーが設定されていて、なぜ囲まなければならないのか? といった理由がきちんと説明されています。これを読めば、全プレイヤーが使命感を持ってゲームに向かえる……かもしれません(笑)。最後に、そのストーリーを記述して締めたいと思います。

 西暦198X年、某国の生化学兵器研究所では、強力な毒性を持つ細菌兵器が秘密裏に開発中であった。ある暑い夏、開発中の生物兵器:暗号名QIXが、暑さのために以上発育してしまう。さらには、スパークしながら壁沿いに動き回る生物も出現。これらを退治すべく、研究員はカーソルと呼ばれる有線制御の作業用ロボットを壁沿いに走らせ、安全なところから徐々に青い薬品を散布していき、室内を薬品で満たしていくことにした。応援に駆けつけた他の研究員たちと共に、作戦は成功するだろうか……。

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