ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち
レベルアップがなかったRPG『夢幻の心臓』、シリーズ3部作の第1弾
2021年1月20日 06:05
当時の懐かしい広告とゲーム画面で、国産PCの歴史とノスタルジーに浸れる連載コーナー。今回取り上げたのは、クリスタルソフトよりリリースされていたRPG『夢幻の心臓』です。
アドベンチャーブームが落ち着きを見せてきた頃、入れ替わるように盛り上がりを見せたジャンルがRPGです。『ブラックオニキス』や『ハイドライド』といったタイトルが登場する中で、クリスタルソフトが発売した作品が『夢幻の心臓』でした。
剣と魔法が支配する黄泉の世界、夢幻界。この世界のどこかには、読みの秘密を握る“夢幻の心臓”が隠されているという。地上での闘いに敗れて命を落としたあなたは、死ぬ間際に神々への呪いの言葉を発したことで天国でも地獄でも無い、この不思議な夢幻界へと落ちてしまった。“夢幻の心臓”を30,000日以内に見つけて蘇らなければ、あなたは再び死んでしまい、その魂は輪廻の輪から切り離され、永久に続く苦痛の中に封じ込められてしまうのだ……。
プレイヤーは主人公となり、30,000日以内に“夢幻の心臓”を見つけるのが目的ですが、この“30,000日”、実際の時間で換算すると約80年になります。ほぼ平均的な人生1回分という設定が、なんとも不思議な気持ちにさせてくれます。その期間をかけて旅する夢幻界は非常に広く、マッピングをしなければ即座に迷子になってしまうほど。フィールドをウロウロしているとエンカウントする戦士たちや、町などで話を聞けいて手掛かりを入手し、先へと進んでいきます。
本作のフィールドは2D、ダンジョンは3Dという、『ウルティマ』と『ウィザードリィ』を足したシステムを採用していました。そのフィールドも広大で、通常画面では5×5のサイズしか見えないため、序盤はすぐに迷子になってしまうことも。途中、魔法を憶えてしまえば、広範囲を見渡したり毒を治すことなどができるようになるため、一気に行動範囲が広がります。
とはいえ、軌道に乗るまでが『夢幻の心臓』の難しいところでした。序盤は主人公が弱く、敵を倒して経験値を得てもレベルという概念が無いためパラメータがアップしないので、いつまでたっても強くなれません。そこがユニークなところで、実は強化のためには城下町でお城へ行き、お金を払いパラメータを鍛えてアップさせる必要がありました。HPも、病院でお金を払えば1回に上限の1割ずつ最大値を増やすことが出来る(最初は100で、アップさせると110、次は121……)ので、とにかくお金を稼がないと話が始まりません。しかし、そのバランスがうまく取れているだけでなく、この時期のタイトルとしては話を聞くことでそれなりの手掛かりが得られたため、じっくりとプレイすれば必ず先へと進めるようになっていました。
厳しいのは、ゲームオーバー時にネックレスを持っていないと、それまで育てたデータを消されてしまうことです。この当時は、そんなゲームもいくつかあったので決して酷いものではありませんが(いややっぱり酷いですけど(笑))、何があってもキャラを守りたい場合は、セーブする時以外はプロテクトシールを貼っておくに越したことはないでしょう。
現在プレイしても面白いのですが、若干厳しいのが描画速度や読み込み回数などシステム面での遅さでした。当時のログインにも「ディスクからのロード回数がやたら多すぎる(中略)プログラム構造をもっと考えて欲しかった」と書かれていたりするのですが、実際に実機で遊んでみると、確かに待たされる場面が多いです。筆者は手元のPC-8801mkIIFRをV1Sモードに設定して、当時と同じ早さでプレイしていましたが、タイトル画面の描画からゲーム中まで、すべてがのんびりでした。そこで、PC-8801FE2を取り出して“V1H”“8MHz”に設定すると、かなりサクサクと進むように!
これならば、今でも十分に遊べる速度になると思いましたので、『夢幻の心臓』とPC-8801FE2やPC-8801MCを持っている人は試してみてください。
ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち 連載一覧
- デカキャラが衝撃的だった「ザナドゥ」
- RPGが一気に身近なものに感じられた「ハイドライド」
- “スペースキーに重し”がキーワード!? 「夢幻の心臓II」
- PC-8801mkIISRの人気を不動のものにした「テグザー」
- ボクたちの堀井雄二さん作品といえば、コレ!「ポートピア連続殺人事件」
- 誰もが知っている“ボンバーマン”の元となった「爆弾男」
- “ボンドソフト”の名前を一躍有名にした名作「タイムシークレット」
- 日本での初期RPGの代名詞とも言える「ザ・ブラックオニキス」
- MSX用のベストゲームとして挙げる人も多い「グラディウス2」
- コンピュータRPGの原点とも言える「ウィザードリィ シナリオ#1」
- 光栄の歴史シミュレーションシリーズ、その柱となる1本にして今も新作が続く「三國志」
- ザインソフトの名前を広く知らしめた「トリトーン」
- 数多くの機種にハイクオリティな移植を実現したマイコンソフトの「パックマン」
- スクウェアとサンライズがタッグを組んだ「クルーズチェイサー ブラスティー」
- 可愛らしい絵柄とは裏腹に歯ごたえあるアクションゲームだった「メルヘン・ヴェール」
- 全世界で大ヒットを記録した歯ごたえあるアクションパズルゲーム「ロードランナー」
- テレネットの底力がいかんなく発揮されたアクションゲーム「夢幻戦士ヴァリス」
- これぞハードボイルドゲームの傑作といえる1本「マンハッタン・レクイエム ~闇に翔ぶ天使たち~」
- X68000の機能を活かしたアーケードクオリティのアクションゲーム「GENOCIDE」
- シンプルな画面に隠された謎に夢中になった「MYSTERY HOUSE」
- ポニカの強み、版権ものタイトルの1本として登場した「南極物語」
- 今も続く「A列車で行こう」シリーズの元祖がここにある
- 木村明広氏の美麗なビジュアルシーンが印象的なRPG「エメラルドドラゴン」
- シンキングラビットがおくるミステリアドベンチャーの傑作「道化師殺人事件」
- ボーステックから発売された、謎多きゲーム「レリクス」
- 敵をよけつつ岩を運ぶアクションパズルの名作 デービーソフトの「フラッピー」
- 初期アドベンチャーゲームの傑作にして、今も語り継がれる「デゼニランド」
- 巨大なスケールと隠された謎の多さに驚かされた名作第2弾「ハイドライド2」
- シリーズ1作目にして高い完成度を誇った光栄の「信長の野望」
- あの名作シューティングがついにPC-88シリーズにも移植された!「ゼビウス」
- デカキャラとの戦いが3Dアクションで展開された呉ソフトウェア工房の「アルゴー」
- モンスターヒット作があらゆる面でパワーアップして帰ってきた!「ザナドゥ シナリオII」
- 「テグザー」に続く、ゲームアーツの傑作タイトル「シルフィード」
- 中村光一氏の大ヒット作にして、数多くの機種へと移植された名作「ドア・ドア」
- コンテストグランプリを受賞した、シミュレーションRPGの先駆けとも言える「ボコスカウォーズ」
- “集まれ!”“散れ!“の吹き出しがユニークだった「大脱走」
- 「スペシャル」「パンチボール」じゃない元祖「マリオブラザーズ」が、パソコンに移植されていた!
- あの「グラディウス」が、ついにPC-8801mkIISRシリーズに移植された!が……
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- スターアーサーシリーズ3部作はここから始まった「惑星メフィウス」
- あの「ゼビウス」っぽいゲームをPC-8801でも遊べた!~1983年発売「アルフォス」~
- 可愛らしいキャラクターと考えられた謎にプレイヤーが魅せられた「サラダの国のトマト姫」
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- 名作「ウィザードリィ」の2作目が遂に国産パソコンで遊べるように「ウィザードリィ #2 - Knight of Diamonds」
- チェスとアクションゲームが融合した、ユニークな名作「アーコン」
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- スターアーサーの冒険、再び! T&E SOFTの「暗黒星雲」
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- アーケードゲームライクなシューティングゲームが自宅でプレイ可能になった「ルクソール」
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- その移植度の高さに驚愕した「沙羅曼蛇(サラマンダ)」
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- ミリカの美しいCGに心躍らせた『ザース 人工頭脳オリオンの奪還』
- 光栄の歴史三部作シリーズ、その一翼を担った『蒼き狼と白き牝鹿』
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- 日本からアメリカまで、ヨットで太平洋を横断するスケールの大きなゲーム『セーリングクルーザー入門 太平洋横断11000km』
- 散々苦労させられた『サザンクロス』
- “大戦略”のソフトハウスがリリースした意外なアクションゲーム『冒険浪漫』
- まさに“前代未聞麻薬的爽快遊技”な傑作『ドラゴンスレイヤー』
- 執刀医ではなく麻酔科医の仕事がゲームになった!? 『Dr.麻酔科医』
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- 可愛らしい“ちゃっくん”が自宅のパソコンでも動いた! 『ちゃっくんぽっぷ』
- 難易度 五つ星のファンタジーアドベンチャー『ドリームランド』
- マイコン初期時代に流行した野球拳の1本、九十九電機の『美少女ひっぱがしゲーム』
- スターアーサー伝説3部作のラストを飾った『テラ4001』
- 基本ゲームシステムはロードランナーと同じ!? 『ファンキーモンキー』
- 描画速度の速さに驚いた日本ファルコムの『デーモンズリング』
- “ハイドライド”の内藤時浩氏による商業デビュー作『コスモミューター』
- 90年代にゲームセンターで見かけた、あのゲームの元祖がここに『キャノンボール』~
- 名プログラマの森田和郎氏が手がけたフルカラースクロールアクションRPG『リグラス』
- 家族4人+1匹でドラゴンに立ち向かう『ドラゴンスレイヤーIV ドラスレファミリー』
- コンテストで最優秀賞を獲得、マジカル ズゥのアドベンチャー『黄金の墓』
- 幾千通りものシナリオを体験できた『ティル・ナ・ノーグ <ダーナの末裔>』
- 現在も続く「大戦略」シリーズの始まり『現代大戦略』
- 驚くほど滑らかに縦スクロール、名作シューティングゲーム『NOBO』
- PC-8001とは思えない滑らかな動きに驚かされた『FAN FUN』
- マイクロキャビンの名作アドベンチャーゲーム『ミステリーハウス』、その2作品目の難易度は!?
- 飛んでいくボールに合わせてスクロールする画面が斬新だった『アルバトロス』
- アーケード版と遜色ないクオリティで移植された名作『源平討魔伝』
- あまりにもカルト過ぎる問題が一部で話題を呼んだ『試験に出るうる星やつら』
- あの名作シリーズの3作目『ウィザードリィ #3 - Legacy of Llylgamyn』
- 魔城伝説シリーズの第2弾はアクションRPGとして登場! 『魔城伝説II ガリウスの迷宮』
- 当時としては驚くほどリアルなピンボールが遊べた『スーパーピンボール』
- 前作から大幅にパワーアップして舞台は全国に! 『信長の野望 全・国・版』
- 当時の移植作の中では秀逸な出来だったMSX版『グラディウス』
- 「あべしっ!」「ひでぶっ!」あの名台詞がゲーム中にも登場!~1986年発売『北斗の拳』~
- ギルに助け出されたカイがパソコンでも大活躍!『ザ・リターン・オブ・イシター』
- アーケードゲームを中村光一氏が移植、のちに改名されたPC-8001版「スクランブル」
- ザインソフトが手がけた SFハードアクションRPG『未来』
- ファルコムタイトルの中でも、群を抜いてレア度の高い1本『バードランド』
- より戦略性が増した「大戦略II」、生産タイプが増え、同時攻撃や間接攻撃も可能に!
- アドベンチャーゲームに新たな流れをもたらした『は~りぃ ふぉっくす』
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- 「Lotus 1-2-3 R2.1J」 あの頃の表計算ソフトと言えば、Microsoft Excelじゃなかった!
- 3機の合体シーンが印象的だった超メカシューティング『ヴォルガード』
- ファルコムのFM-7向け初アドベンチャーゲーム『異次元からの脱出』
- 「死体蹴り」の元祖といえばこのゲーム! 『エグゾアII ウォーロイド』
- 主役はマリオ、でも中身はハドソンオリジナルの「パンチボールマリオブラザーズ」
- みんな使った!日本を代表するワードプロセッサソフト『一太郎Ver3/Ver.4』
- サイバーパンクな雰囲気に飲み込まれ、そしてエンディングに驚かされた『ザ・スクリーマー』
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- 『SAVIOR(セイバー)』その滑らかなアニメーションは僕らの心を掴んで離さなかった……
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