ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

日本からアメリカまで、ヨットで太平洋を横断するスケールの大きなゲーム『セーリングクルーザー入門 太平洋横断11000km』

 当時の懐かしい広告とゲーム画面で、国産PCの歴史とノスタルジーに浸れる連載コーナー。今回取り上げるのは、日本から太平洋を横断してアメリカへとヨットでたどり着くことを目的とするシミュレーションゲーム『セーリングクルーザー入門 太平洋横断11000km』(1983年発売)です。

広告はモノクロではなく、青も使われたページに掲載されていることが多かったです。初掲載時は、タイトルが『セーリングクルーザー入門 太平洋横断11000km』となっていました

 1938年に大阪市港区で生まれた海洋冒険家・堀江謙一氏が、1962年に兵庫県西宮 - サンフランシスコ間をヨットにて太平洋単独横断航海に成功したことをヒントにして生まれたのが、ライブハウスアローというソフトハウスから発売された『セーリングクルーザー入門 太平洋横断11000km』です。

 プレイヤーはヨットを操作し、西宮から太平洋を横断してサンフランシスコまで航海するのが目的となります。ただし、食料と水は60日分しか所持していないため、その期限内にたどり着けないとゲームオーバーです。

タイトル画面は特になく、ヨットを背景にゲームの簡単な説明が書かれるだけというシンプルなものになっています。以下使用しているのは、PC-8001mkII版の画面です

 ヨットの動きは、メインセールが7通り、ジブセールはポートサイド(左舷)とスターポートサイド(右舷)の2通り、そしてパウ(へさき)の方向が8通りあり、さらに風の向きが8方向用意されているので、組み合わせ総数は896通りにものぼります。プレイヤーはその挙動を制し、太平洋を横断しなければなりません。史実では途中、水がなくなってしまうトラブルなどがありましたが、ゲームではそういったことを心配する必要がないのはありがたいです。代わりに、風に流されてあらぬ場所へと移動させられてしまうことがあります。そんなときは海図を開いて全体マップを表示させ、現在地を確認する必要があります。

ゲームは、西宮と思われる場所から出港するシーンから始まります。といっても、このグラフィックでは、そのような場所に見えないのが惜しいところです
現在航海中の場所が分からなくなったときは、海図を開いて全体マップを確認します。ハワイの文字が見えますが、そこへヨットを移動させても何もなく、無駄に日数を消費してしまうだけでした

 また、洋上では大型タンカーや親子連れの巨大クジラ、嵐など、とんでもないものに遭遇することもあります。タンカーに接触すると冒険は終了となってしまいますが、クジラの場合は日数を数日消費するだけで再び冒険に復帰することができます。とはいえ、日数は限られているので、慎重な操作が求められます。

 基本的な操作はテンキーの0から9までを使用するのですが、この時期に一般的な“2”“4”“6”“8”で上下左右に移動するというものではなく、メインセールの動きを1、2、4、5、7、8、9で、ジブセールを3、6で行うなど、かなり独特の操作方法を採用していました。

プレイ中は、一定時間ごとに昼と夜が入れ替わります。画面下の各種情報を読み取りながらヨットを操作し、サンフランシスコを目指しましょう

 こうして地道に風を読みヨットを操作し続けると、ようやく対岸であるサンフランシスコの港が見えてきます。ところが、着岸できる場所は限られているので、最後の最後で到着出来ず座礁しゲームオーバーになってしまうことも。そうなると、これまでの苦労がすべて水の泡になってしまうわけで、ショックでその日は再プレイできないほどです(笑)。

 風の動きに合わせてヨットを操作するという地味な内容ながらも、肝心の部分に関しては(当時としては)かなり良く出来た部類に属するシミュレーションゲームとして仕上がっていますので、興味のある人は当時の文献を読んだり、ツテをあたって遊んでみてください。

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