ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

フルーツを食べてジャンプ!ちょっと変わったアクションゲーム『フルーツパーラー』

ゲームのイメージイラストが描かれた厚紙のパッケージに、カセットテープまたはフロッピーディスクが納められています。裏面には画面写真が載っているのですが、PC-8801版にもかかわらずなぜかPC-8001mkII版が使われているという、珍しいパターンです。

 当時の懐かしい広告とゲーム画面で、国産PCの歴史とノスタルジーに浸れる連載コーナー。今回取り上げたのは、富士音響マイコンセンターRAMから発売されていた、固定画面アクションゲームの『フルーツパーラー』です。

1983年夏頃と、本作が発売された頃の広告です。1983年はタイトルを並べて数をアピールしていましたが、翌年は見た目を重視してかカラーページでの掲載になっています。なお本作の発売日を調べてみましたが、ハッキリとは判明しませんでした。1984年1月号の雑誌広告には掲載がなく、2月から4月号まではパソコン本体の販売広告のみで、5月号にいきなりの登場となっているので、84年春にリリースという感じかと思われます。

 1980年代前半のパソコンゲームは、固定画面で進行するアクションやシューティングゲームなどが大部分を占めていました。中でも、例えば『ロードランナー』のようにアクション+パズル要素を採用したジャンルの作品が豊富でしたが、そのうちの1本が今回取り上げた『フルーツパーラー』です。発売元は富士音響マイコンセンターRAMで、1983年などは機種ごとに数多くのタイトルをリリースしていたのですが、本作がラインアップに載る84年に入ると少数精鋭へと方針転換を図ったようで、広告もソフトを一覧で並べるのではなく画面写真を掲載して見栄えで攻めるようになりました。

読み込みが終わると、タイトル画面や操作方法を教えてくれます。これを見ておけば、マニュアルやパッケージを見なくても遊べるのが便利です。ちなみに、ここでは敵はMONNYと表記されていて(パッケージやマニュアルにはトマト妖怪や毒キノコ)、フルーツポンチはクリームソーダと書かれていました。

 なお、この作品はRAMSOFTと“プログラマーズスリー(広告ではプログラマーズIII表記)”の合作シリーズ第1弾と書かれていますが、この“プログラマーズスリー”は、『A.E.』や『スターブレーザー』といったApple II用のソフトウェアで有名なソフトハウスとのことです。RAMソフトとは、本作と同タイミングで第2弾の『3Dデジタルボンバー』というタイトルも同時に発売していました。

 この時期のゲームは、アドベンチャーなどであればストーリーが用意されているのですが、本作はアクションゲームということでそのようなものはなく、厚紙1枚のマニュアルに簡単な物語とシンプルなルールが書かれているのみです。それは、こんな感じの内容でした。

プレイヤーはアイバー君を操作して、妖怪から逃げながらフルーツとフルーツポンチをすべて食べましょう。1面や2面は、移動しやすいので逃げるのも簡単です。

 ボクの名前はアイパーです。フルーツが大好きです。パーラーハウスの中のフルーツ、フルーツポンチを全部食べると面クリアーです。でも、パーラーハウスの中には妖怪が住んでいて簡単にフルーツを食べさせてくれません。

 アイパー君はフルーツを食べると1回ジャンプ出来ます。食べた回数だけジャンプ出来ますが、妖怪に捕まるとジャンプの回数はクリアーされてしまいます。フルーツポンチを食べると、相手がトマト妖怪の時は逆襲できますが、毒キノコの時は食べてもお腹を壊してしまいます。面が進むと、ガラスの欠片やワープゾーンが出現します。次は何が出てくるかな?

ピンチになったら、フルーツポンチを食べて逆襲! 妖怪に重なると倒したことになり相手は即座に巣に戻ります……が、あまり時間をおかずに再び出てきますので、巣の近くにいるのは危険です。逆襲できる時間は、先の面に進むほど短くなっていきます。また、毒キノコには逆襲できませんので注意しましょう。

 プレイヤーは主人公のアイパー君を操作して、4階建てのパーラーハウス内にあるすべてのフルーツとフルーツポンチを食べるのが目的です。テンキーの2・4_6・8でアイバー君の上下左右移動、スペースキーでジャンプとなりますが、“フルーツを食べた回数しか飛べない”というのがポイントです。

 フルーツを食べるまでは通路とハシゴで妖怪から逃げなければならないのですが、アイパー君の位置によって相手の進行方向が微妙に変化するため、それを見極めて誘導しないとスタートからものの数秒であっけなく捕まってしまうことも。また、フルーツを食べるとジャンプできるようになりますが、回数が限られているので危機回避に使うべく大事に保存しておかないと、肝心な時に使えなくて捕まるということも多々ありました。先のステージに進むと妖怪だけでなく、ガラスの欠片も飛び越す対象に入ってくるため、プレイヤーの思考ルーチンが問われます。

3面はハシゴの高さがイヤらしく、4面からはガラスの欠片が登場するなど、先に進むにつれて徐々に難しくなっていきます。敵やガラスの欠片は、タイミング良くジャンプすれば抜けられます。アイパー君のジャンプ力は思った以上にあるので、うまく操作すれば敵をまとめて飛び越したりもできます。

 通路にはフルーツだけでなくフルーツポンチも置かれていて、これを食べればトマト妖怪は見た目が透明になり反撃のチャンス! このときに相手と重なれば倒したことになり、1匹目は20点、2匹目が40点、3匹目60点、そして4匹目は80点をゲットできました。やられた妖怪は一定時間後、画面最下段にある敵の巣から再び出現してきます。逆襲できる時間には限りがありますので、もたもたしていると通常状態に戻ってしまい、そのタイミングで触れてミスになることも……。ただし敵が毒キノコだった場合は、フルーツポンチを食べてもアイパー君は逆襲することができません。それを無視して触れると、お腹を壊したということでミスになってしまうため注意が必要です。

6面以降は、画面の上下が繋がった紫色のハシゴが登場します。パーラーハウスの最上段にいた敵が、気づくと最下段に移動していることもあるので、画面すべてを常に見渡していないと危険です。

 ジャンプの回数が最大でも、各ステージに配置されているフルーツを食べた数までしか増えないということで、それを踏まえた攻略を考えなければならないというのが本作の面白いところでしょう。しかも、ジャンプの回数は画面のどこにも表示されていないため、プレイヤー自身が覚えておかなければなりません。

 ただ、画面の配色が地味だったり、フルーツポンチを食べて逆襲しても点数の増え方が少ないといったところで盛り上がりに欠けるかもしれませんが、敵の動きを見極められるようになると一気に面白くなっていきます。タイトル的にはちょっとマイナーなので、なかなか見かけることは無いかもしれませんが、機会があればぜひプレイしてみてください。

出現するフルーツですが、1面はサクランボ、2面3面はイチゴ、4面と5面が緑色の謎の物体(グミ?)、6面7面がバナナ、8面9面がメロンです。このあたりは1980年に登場した、“あの有名なドットイートゲーム”のフルーツターゲットと似たような感じになっていました。

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