ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

君は序盤の高難易度シーンを超えられたか?エニックスの『エルドラド伝奇』

登場キャラクターのうち、ミケ族とシャム族、予言者のエイダが描かれたパッケージとなっています。手がけたのは、漫画家としてもお馴染みの、槙村ただし(現在のペンネームは、どろんぱ)さんでした。“槙村アドベンチャー”との副題もついています。

 当時の懐かしい広告とゲーム画面で、国産PCの歴史とノスタルジーに浸れる連載コーナー。今回取り上げたのは、エニックスから発売されていたアドベンチャーゲーム『エルドラド伝奇』となります。

 「リーン! リーン!」夜中に突然鳴った電話、それは親友アキラからだった。彼の声は恐怖に震え、「殺される」「エルドラド」などと、訳の分からないことを言っている。「ウワアーーッ!!」その悲鳴を最後に、アキラからの電話は切れてしまった。ボクは、アキラの家へと走った。そこで見つけたのは、彼の無惨な死体と、アキラの残したビデオテープ。それには、黄金の都エルドラドに関する数々のデータと、アキラの妹・ホシコが掠われたというメッセージが残されていた。これを受けて、ボクはアマゾンの奥地に存在するというエルドラドへと向かう。獣の咆哮するジャングルで待ち受けていた新人種アマゾネコとは、敵か味方か!? 見たこともない怪獣達との死闘、そして数々のトリック。ボクはホシコを救い出し、エルドラドに眠る巨大な黄金を手に入れることができるのだろうか……。110画面の美しいアニメグラフィックで展開する、伝奇スペクタクル巨編。君の名推理に、この事件の解明を任せる!

発売月以外にも毎回掲載されていた『エルドラド伝奇』ですが、驚くべきことに4月にはエニックス自らが序盤の一番難しい場面の攻略方法を掲載していました。

 このようなストーリーの本作は、ロード終了後にアキラからの電話のシーンからスタートします。今回使用したFM-7版では、電話が鳴る音や雷鳴、飛行機のプロペラ音などが効果音として入っているため、プレイ中は非常に盛り上がりました。PC-8801などの他機種版では、効果音はBEEP音となってしまうため、臨場感が少々欠けるのが惜しいところです。

アキラからの電話のシーンから始まり、タイトル画面の後にアキラ宅前へと到着します。ここからが本番ですが、随所で効果音が流れるため臨場感抜群です。

 本作は、アドベンチャーゲームにありがちなコマンド入力式ではなく、コマンド選択式を採用していました。動詞は画面右側に一覧が表示されているので、そこからカーソルで選ぶと、続けて対象物を選択する仕組みです。その際にも、8×4のグリッドに分かれた指定範囲から、または持ち物一覧から選ぶだけという、とてもシンプルなシステムでした。

システムは、画面右にあるカーソルを動かして動詞を選び、続いて画面内の場所をカーソルで選択するとなっています。

 だからといって謎解きが簡単、というわけではありません。本作は、序盤を越えられない難易度のゲームとして発売当時から話題となっていて、山下章さんが執筆した書籍「山下章のレスキュー!A.V.G&R.P.G」の『エルドラド伝奇』コーナーでも「かつて『サザンクロス』や『デゼニランド』の最初で悩んでいる人もわりといたけれど、この『エルドラド伝奇』の最初のムズカシサはそれと段ちがい。おそらく、今までのAVGの中で最高に難しいスタート場面だろうね。」と書かれていたほどでした。

アキラの部屋では、さまざまなアイテムが見つかります。それらを駆使して最終的にビデオテープを見つけ再生するのが目的ですが、肝心のアキラは……。

 その序盤ですが、ストーリーに書かれているように主人公はアキラからの電話を受けて彼の自宅へと向かい、アキラの部屋に入ります。ここで各所を調べた後に条件を揃えると第1章が終了するのですが、その最後に「アキラのプログラムを持っているか」という質問が出され、これに“Y”と答えられないとゲームオーバーでした。この“アキラのプログラム”が見つからないため、買った人の多くがここで挫折したのではないかと思われます。もちろん、プログラムを持っていないのに“Y”と答えても先には進めませんが……。

アマゾンの奥地で数多くの謎をクリアしなければ、ホシコの姿を拝むことは出来ません。。途中で出会える予言者エイダの助けを借りて、先へと進みましょう。

 そこを抜けても、ちょっとした心理のスキをついた罠が数多く仕掛けられていたので、全般的にはコマンド選択式らしからぬ、非常に歯ごたえある謎解きが楽しめました。当時挫折してしまったという人も、大人になった今ならばクリア出来るかもしれません?

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