ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

ぴゅう太の顔ともいえる看板ゲーム『ナイトフライト』

複葉機に乗るパイロットが夜空を飛んでいる様が、コミカルタッチで描かれていました。自機を邪魔する流星とカミナリも、上手にイラストの一部として取り込まれています。現在、ぴゅう太のゲームソフトはカートリッジのみで流通していることが多いですが、パッケージ裏が説明書を兼ねているので、出来ればパッケージを含めて手元に置いておきたいものです。

 当時の懐かしい広告とゲーム画面で、国産PCの歴史とノスタルジーに浸れる連載コーナー。今回は、ぴゅう太用ゲームソフトとしてリリースされたタイトルから『ナイトフライト』を取り上げます。

 ゲームセンターで陣取りゲームの『QIX』が流行したのは、1981年のことでした。その後、パソコンでも同じようなゲームが遊びたいという需要があったようで、PC-8001版としては『3BY4』、MZ-700用やFM-7用には『QIX』など、各機種ごとにアーケード版ライクな作品がいくつか登場しています。それらの中で、1982年夏にトミーから登場したパソコン・ぴゅう太向けにリリースされた陣取りゲームが、広告でもお馴染みの同年12月15日に発売された『ナイトフライト』でした。

 簡易なストーリーとしては“夜空を複葉機でフライトし、暗闇(黒地)部分を囲んで昼間(水色地)にしよう”ということですが、暗闇(黒地)を背景に飛び回る複葉機が囲んだ場所が、ゲーム進行と共に明るくなっていくのは当時としては非常に印象的で、コンセプト的によく考えられているなと感心したものです。

ゲーム単体での広告は見かけませんでしたが、このような感じで本体の広告用に掲載されていることもありました。これは、ぴゅう太の全国販売代理店として活動していた株式会社エフ・ビー・システムズの広告ですが、“新・カートリッジ”として『ナイトフライト』が12月15日発売予定とあるのがわかります。

 プレイヤーは、自機である複葉機をジョイコントローラの方向キーで上下左右にコントロールし、カミナリの攻撃と流星をかわしながら夜空に陣地を作っていきます。長距離を飛んでから囲むことで、その面積に応じたボーナス点が獲得可能でした。線上であれば複葉機はどこでも移動できるため、囲み内の戦場に自機を移動させてカミナリに当たらななくし、そこでじっくりと作戦を練ることができます。ただし、流星は囲みに関係なく飛んでくるので、それは避けなければなりません。

ゲームスタート時に中央部分が自動で四角く囲まれるので、そこを足がかりに陣地を広げていきます。夜空には、プレイヤーが操作する複葉機の行く手を遮るカミナリと、突然現れて降ってくる流星が登場します。それらを避けながら囲っていき、青空にしてしまいましょう。なお、筆者の撮影環境の都合上、すべての画面写真上部に歪みが出てしまっていますが、実機が正しく稼働していればこのようにはなりません。調整しても直らなかったことを、お詫びします。

 複葉機、またはまだ囲みきっていない線にカミナリや流星が当たるとミスとなるのですが、本作ではパイロットが機体から投げ出されパラシュートで脱出したという設定があるため、ここからチャンスゲームが始まります。上空からパイロットがフワリフワリと降りてくるので、左右にパラシュートをコントロールして複葉機に乗せることが出来れば、残機数はそのままにパイロットは再び任務に戻ることができました。残念ながら地上へと降りてしまうと、残機が減ってしまいますが……。

 こうして画面内の75%を明るくするか、または雷を複葉機で囲むことが出来れば1面クリアとなり、塗った陣地の広さに応じて点数が追加された後、次の面へと進みます。3面クリアすると、複葉機が1機追加されるボーナスもありました。

線で囲めばその部分が水色で塗られ、昼間の空へと変わっていきます。スコアの下に表示されているゲージが75%を越えれば1面クリアとなり、次の面に進みます。囲む部分が大きかったり複雑な場合、“I AM COMPUTING NOW!(計算中!)”と表示して、少し待たされることがあるのが可愛いところです。

 オリジナル版の『QIX』では、自機の移動速度を早い・遅いボタンで選ぶことができましたが、本作では使用するのは以前に紹介した『QIX』のFM-7版と同じく方向キーのみで、ボタンを押さなくてもほどよい速度で移動し自動で線を引いてくれます。移動をやめて止まりたい時には、T字路に突っ込むような形で線に向かって進むことで、その場にとどまれました。また、画面の上下左右は行き止まりになっていますが、接触しても何も起きないため、安心して端までキッチリと囲めます。

カミナリや流星に当たってしまうとミスになりますが、チャンスゲームがスタート。上から降ってくるパイロットを操作して、複葉機に乗せれば残機は減りません。無事に乗ることが出来れば、アップになったパイロットがピースサイン!

 実は本作は、見た目ほど簡単ではありません。最大の敵は、行く手を邪魔するカミナリです。斜め方向にしか移動しないのに、あっちへフラフラこっちへウロウロと、『QIX』におけるクイックス以上に予測できない動きをしてくるため、思ったよりも難易度は高いです。ぴゅう太のゲームには、AMAとPROという2段階の難易度が設けられているのですが、慣れるまではAMAですら1面をクリアするのが安定しませんでした。よく「ぴゅう太のゲームは簡単すぎる」などという話を耳にしますが、そんな人にはピッタリのタイトルかもしれません。

 惜しいのは、ミスしてしまうとすべてが最初からやり直しになってしまうところではないでしょうか。特に、もう少しで75%を越えてクリアになる! という時に欲張ってミスしてしまうと、頭をかきむしりたくなってしまうほど(笑)。

このようにカミナリを上手に囲んでしまえば、一気にクリアとなります。カタルシスが気持ち良いぶん危険度合いも増すので、まさに諸刃の剣です。

 『ナイトフライト』は広告でも使用されていたほか、デパートのおもちゃ売り場などで展示されていたぴゅう太で動いていたところも多かったため、“ぴゅう太のゲーム=ナイトフライト”という印象を強く植え付け、本体のイメージ定着に貢献したのではないかと思われます。遊びごたえ十分なので、機会があればぜひプレイしてみてください。

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