ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

PC-8001とは思えない滑らかな動きに驚かされた『FAN FUN』

主人公と思われる人物が、扇風機を操り風船を動かしているイメージイラストが描かれています。が、ゲーム中には主人公の人物は登場しません(笑)

 当時の懐かしい広告とゲーム画面で、国産PCの歴史とノスタルジーに浸れる連載コーナー。今回取り上げたのは、エニックスから発売されていたゲーム『FAN FUN(ファンファン)』です。発売は1983年。

 1979年に発売されたPC-8001は数多くの名作ゲームに恵まれましたが、そのうちの1本がエニックスから発売された『FAN FUN(ファンファン)』です。作者は、2019年9月28日(木)に秋葉原のラジオ会館で開催された「PasocomMini PC-8001体験会」にて、トークを行った一人である宮田康宏氏でした。

タイトル画面です。作者である宮田氏の名前が書かれているのが分かります。見ているとデモ画面が表示されるので、マニュアルを見なくてもプレイ方法が分かるのが有難いです。

 1983年といえば、PC-8801やFM-7、X1といった640×200ドットで8色カラーが表示できる機種が登場していて、もはや160×100ドット8色カラーというPC-8001の出番は無いかと思われた時代でもあります。そんな時に登場したのが『FAN FUN(ファンファン)』ですが、作者の宮田氏は、エニックス(当時)主催の「第2回ゲーム・ホビープログラムコンテスト」の受賞作品が掲載された広告にて「ゲームのおもしろさはアイデアしだいで機種は関係ありません。それを実証する作品です(原文ママ)」と、ピシャリとコメントしていたのが印象的でした。

紹介スペースは他のタイトルと同じですが、そこに書かれた宮田氏からのメッセージが今も心に残ります。
ジャンルは「思考型風力学シミュレーションゲーム」

 そんな本作は、「風力学を忠実にシミュレートし、47種類128画面の新鮮アイデア満載ゲーム。180度回転自在の扇風機を駆使して、オバケ風船を収納庫に入れる思考型反射ゲームの傑作」と別の広告には書かれていて、そのジャンルも思考型風力学シミュレーションゲームとつけられていました。

 プレイヤーは扇風機を左右移動と首振り、そして羽根を飛ばすなどして、次から次へと生み出されるオバケ風船を地面に触れて割らせることなく、左右の収納庫に風で導きます。地面にはトゲがあり、触れるとオバケ風船は割れてしまいます。危なくなったときはスペースキーで羽根を飛ばしてオバケ風船にヒットさせられれば、画面上まで運んでくれるため一時的にピンチを脱出できます。ただし、時間と共にオバケ風船はドンドンと作られてしまうため、収納庫に入れられずアタフタしていると、画面内がオバケ風船だらけになりパニックになってしまうことも。

プレイヤーは、最下段に設置されている扇風機を左右に移動させながら首を左右に振り、風を上手にオバケ風船へと送り収納庫へ導きます。
もたもたしていると、次のオバケ風船が生産されて画面に登場するため、一度に複数のオバケ風船を収納庫へ運ぶことに。

 一定面数をクリアすると、登場するオバケ風船をショットで破壊していくボーナスステージがプレイできます。この時のオバケ風船は、『ギャラガ』のボーナスステージのように一定の軌跡を辿って移動しますので、コースを憶えて一気に破壊するのがポイントです。一人でプレイしている時は問題にはなりませんが、大勢でハイスコア争いをしている場合は、このボーナスステージでパーフェクトを取れるか否かがカギとなるでしょう。

ボーナスステージでは、収納庫から出現するオバケ風船にショットを当てて破壊することになります。軌跡を憶えてパーフェクトを狙いましょう

 『FAN FUN(ファンファン)』はこの後、PC-6001mkIIシリーズに『ニューファンファン』として移植され、機種を問わず人気を得ました。製品を持っている人であれば、「PasocomMini PC-8001」を購入して一手間かけることで懐かしいソフトを今遊ぶことができるようになりますので、ぜひ試してみてください。

 なお、本作を手がけた宮田氏は、この後に傑作『ザクサス』を、再びPC-8001用ソフトとしてリリースすることになります。

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