ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

アーケード版と遜色ないクオリティで移植された名作『源平討魔伝』

パッケージに使われているのは、BIGモード時の画面写真です。巨大なキャラが動いているのは、まさに迫力満点でした

 当時の懐かしい広告とゲーム画面で、国産PCの歴史とノスタルジーに浸れる連載コーナー。今回取り上げたのは、マイコンソフトより発売されたX68000用ソフト『源平討魔伝』です。発売は1988年。

 X68000が登場してからというもの、少し前のアーケードゲームであれば、少なくとも見た目は“ほぼ”完全に近い移植が実現できるようになったため、数多くのアーケードタイトルが各社からX68000に発売されるようになります。そのうちの1本として、今回取り上げたのがマイコンソフトからリリースされていた『源平討魔伝』です。

広告ではパッケージに使われた画面を中央に配置し、その周りに遊び方の解説を記していました。ページのデザインも、パッケージの色と同じものを使用しています

 平家復讐絵巻とのタイトルがついているストーリーを、簡単に解説しましょう。

 1192年に鎌倉幕府を開いた源頼朝ですが、彼は魔族を率いて地上を征服し、対した平家の者達は討たれて壇ノ浦に沈んでしまいます。しかし、世の乱れを憂いた天帝は三途の渡守である安駄婆に命じて平景清を選び、“ぷれいや”のお布施により地獄から蘇ることができるようにしました。“ぷれいや”は彼に三種の神器を集めさせ、鎌倉に向かいて頼朝を討ち取る戦いへと赴きます。

 始めてゲームセンターで見かけたときは、すべてのメッセージが縦書きで表示されることや純和風のグラフィック、印象的なBGMなどに、衝撃を受けたものでした。当時のハイスコアラーの人たちに攻略のコツを教えてもらったことで1コインクリアできるようになり、その後もプレイ回数を重ねましたが、忘れた頃にX68000へと移植されて即座に飛びついたのを憶えています。

アーケード版は至る所にボイスが入っていましたが、もちろんX68000版でも再現されています

 操作方法はもちろんアーケード版と同一で、プレイ感覚も個人的にはまったく同じだと思ったほど、移植クオリティは高かったと感じました。特に、BIGモードの義経や弁慶がそのままにX68000上で動いているのを見たときは、本当に感動したものです。

 本作を見てからというもの、どんなゲームでもX68000にかかれば完全移植できるのでは? と妄想したほどでした。永久パターン防止キャラとしてではなく、ステージに配置されている鷹の挙動や、ボーナスステージで落とすお釈迦様の玉がアーケード版と比べて若干違うかな? など重箱の隅を突けば相違点も出てくるかもしれませんが、1コインクリアできる身としては少なくとも十二分に満足できる完成度でした。

相模など画面に大量にオブジェクトが表示されるシーンでは、スプライトがちらつくことがあります。しかし、逆に言えばその程度の差異しか見あたらないということで、それだけ移植のクオリティが高かったといえるでしょう

 実際、執筆にあたりゲームセンターと実機でプレイし直してみましたが、どちらも同じようにプレイしてエンディングを拝むことができましたので、ゲームセンター感覚で遊べるのは間違いないと思います。

コツを掴むまでは難しく感じる横モードですが、上下に動く足場でジャンプするタイミングさえ憶えてしまえば、簡単にクリア出来るようになります

 なお、本作が難しいと感じる人は、斬れない物体に切りつける・義経相手にしゃがみ下斬り連打で剣力を減らす、難易度が簡単ではないルートを進んでいる、ということが原因かと思います。また、横モードの上下に動く足場は上昇中にジャンプすれば簡単に攻略ができますので、ぜひそのあたりを意識してプレイしてみてください。

平面モードの一部ステージには、壊せるお城や壁などが設置されています。壁の中には、三種の神器が隠されていることも

 ちなみに、アーケード版ではディップスイッチを設定することでゲーム中に登場しない国をプレイできましたが、X68000版はメニューからCONFIGURATIONを選び、“SELECT”の項目をONにすることで、同様のことができます。

設定画面でステージセレクトをオンにすると、本来ならばプレイ出来ないステージを遊ぶことが出来ます。写真は、通常は出現しないボーナスステージの伊豆です

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