ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

全MSXファンよ、戦闘準備はいいか?オリジナル要素満載の『沙羅曼蛇』

 当時の懐かしい広告とゲーム画面で、国産PCの歴史とノスタルジーに浸れる連載コーナー。今回取り上げたのは、タイトルはアーケード版と同じながらも内容が大幅に異なる、MSX版『沙羅曼蛇』です。

「グラディウス」シリーズと言えば、MSXプラットフォームでは独自の進化を遂げたタイトルとして有名ですが、1作目の『グラディウス』、2作目『グラディウス2』に続いて1987年12月23日に発売された3作目は、『グラディウス2』の続編としての立ち位置で登場した『沙羅曼蛇』でした。タイトルこそ、アーケード版の『沙羅曼蛇』と同じですが、ゲーム内容はMSXオリジナル要素をふんだんに詰め込んだものとなっています。

広告には、「全MSXファンよ、戦闘準備はいいか?」というキャッチコピーが添えられていました。ソフトの価格は6,800円で、オリジナルテレホンカードが同梱されていたことも記されています。

 生命誕生から1億2千万年の歴史を有するラティス系惑星群は、4つの惑星で構成されている。古代ラティス人は大いなる力により未来を見通した“炎の予言”を記し、そして今、その予言の時がやってきた。サラマンダ軍が攻撃を仕掛け、惑星ラティスは瞬く間に制圧されてしまう。辛くも逃げ出した人々は同盟国である惑星グラディウスに向け救援を要請、これを受けたグラディウス皇帝ラーズ18世はラティス系惑星群の危機を救うべく、シードリーク作戦を開始する。この件には反逆者であるヴェノムが関わっている可能性が高いということもあり、発見した場合は速やかに掃討することも命じられた。この作戦に起用されたのは、最新鋭の超時空ファイター“スラッシャー”を操るイギーと、“サーベルタイガー”を駆るゾウイーの両隊員。果たして彼らは、ミッションを遂行できるだろうか。

ステージ1は、アーケード版と同じく横スクロールです。雰囲気も似通っていますが、道中で縦スクロールが入るなどMSX版らしさもそこかしこに見られます。ボスは、ゴーレムです。

 本作の特長はなんといっても、オプションが4つ装備できるようになったことでしょう。本作以前にリリースされていた『グラディウス』『グラディウス2』さらにはPC-88&X1版『グラディウス』では、さまざまな制約からオプションを2つしかつけられませんでした。この当時、4つのオプションはアーケード版とX68000同梱版の特権で、多くのパソコンユーザーが羨ましく思っていたものです。しかし、MSX版『沙羅曼蛇』ではその壁を破り、ついに待望のオプション4つを実現したのでした。さらに、アーケード版と同じく二人同時プレイが可能になっているのも特筆すべき点でしょう。条件を満たせば1Pと2Pが合体しての攻撃も行えるという、アーケード版にすら無かった仕様を収録したのも驚愕すべきポイントです。

ステージ2は、縦スクロールに変わります。道中には隕石が飛んできたり、障害物で塞がれている場所をショットで破壊して進むことになるので、オプションを広げて対処しましょう。

 パワーアップの方法ですが、アーケード版の『沙羅曼蛇』はパワーアップパーツを回収することで即座にその装備になりましたが、MSX版『沙羅曼蛇』は『グラディウス2』や『ライフフォース』などと同じく、カプセルストック方式を採用していました。このほかに、特定の敵を倒した後に出現する“E”カプセルを15個回収することで、『グラディウス2』のように武装が追加されていく要素も盛り込まれています。

プレイしていると、“E”と記されたカプセルが出現することがあります。これを15個回収した時点で新たな装備が追加されます。ただし、ミスするとそれまでストックしていたEの数は0に戻ってしまうので、再び溜め直しとなってしまうのが辛いところ。

 このように数多くのフィーチャーを実装し、『グラディウス2』の続編に恥じないタイトルとして登場したのですが、その魅力を上回るほどに目立ってしまったのが『グラディウス2』をスロットに挿してプレイしないと、真のエンディングが見られない”という部分でした。また、『グラディウス2』と比べても難易度は大幅にアップしているにもかかわらず、道中でミスしてしまうと復活するよりも最初からプレイし直す方がリカバリしやすいという面も、残念だったと言わざるを得ません。

オープニングデモでは、前作『グラディウス2』から更に美しくなったグラフィックで、今回のいきさつを簡易に説明してくれます。

 とはいえ、それらのことを差し引いても、アーケード版にすらない合体プレイが楽しめたり、『グラディウス2』から引き続きのSCCを使用した美しく迫力のあるBGMなど、良い部分もたくさんあります。ちなみに、当時相当な時間をかけてプレイ回数を重ね、無事ノーコンティニューで真のエンディングを拝みましたが、今ではステージ3に辿り付くことすら困難になっていました……時の経つのは早いものです(笑)。

ステージ3、4、5は、プレイヤーが自由に選択できます。今回はラウィニアから攻めましたが、ここは攻略中にステージが真っ暗になるギミックが仕掛けられているほかレーザーを跳ね返す物体も登場するなど、非常に難しい構成になっています。

 なお、現在は『コナミアンティークスMSXコレクション』を入手するか、プロジェクトEGGでの配信で気軽にプレイ出来るようになったので、今こそ時間をかけてじっくりとプレイして、真のエンディングを見てみるのも楽しいかもしれません。

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