ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち
コナミのMSX向け教育シリーズ第1弾 『けっきょく南極大冒険』
2021年8月18日 06:05
当時の懐かしい広告とゲーム画面で、国産PCの歴史とノスタルジーに浸れる連載コーナー。今回は、コナミが1983年にMSX向けに発売した“教育シリーズ”の1本目となった『I love 地理 けっきょく南極大冒険 ANTARCTIC ADVENTURE』を取り上げます。発売は1983年。
1980年代半ば、コナミと言えばアーケードゲームとMSXのソフトを数多くリリースしているソフトハウスの一つでした。そんなコナミが、“教育シリーズ”と銘打って発売したMSX用タイトルの第1弾となったのが、今回紹介する『I love 地理 けっきょく南極大冒険 ANTARCTIC ADVENTURE』です。ストーリーは特に設定されていなかったようで、パッケージでの紹介文は「ペンギン君、スケートをはいて南極大陸一周。アザラシをかわし魚をキャッチ!さあ、めざす基地は目前だ。」となっていました。その目的は、「ペンギン君のスケーティングやジャンプをうまく使って南極大陸での自然と戦いながら制限時間内に各国の観測基地を訪問していくゲームです。」と書かれています。
プレイヤーが操作するペンギン君は、カーソルキーの↑でスピードアップ、↓ではスピードダウン、←→で左右に移動ができるほか、スペースキーでジャンプもできます。ステージは画面奥から手前に向かってスクロールするので、道中に出現する氷穴やクレバスはジャンプで切り抜け、穴から出現するアザラシは左右へのスケーティングでかわし、先へと進みます。画面上には制限時間だけでなく基地までの距離も表示されているので、その情報も活用しながら先へと進みましょう。
クレバスに落ちてしまった時は、スペースキーを押せばペンギン君が這い上がり、プレイ再開となります。しかし、氷穴に足を取られたり、アザラシにぶつかってしまうと“おっとっと”となり、約2秒間ほど操作不能になるだけでなく、速度も0に戻ってしまいます。制限時間の残りが0になるとゲームオーバーですが、そうならない限りは何度でも挑戦可能なので、誰もがプレイを楽しめる優しい仕様と言えるのではないでしょうか。
道中に現れる旗をキャッチすると500点、魚を捕れば300点、氷穴やクレバスをクリアすると30点、ゴールするとステージボーナスとして残りタイム×100点が、それぞれ入ります。制限時間内に次の基地へ到着出来なければゲームオーバーです。
ルールがシンプルなので簡単かと思いきや、ただ最高速でスケーティングするだけではなかなか上手くいきません。例えば、クレバスが2つ連続して出現する部分では、スピードを落として1つずつ飛び越えなければならないパターンと、2ついっぺんにジャンプしてクリアする必要がある場合など、なかなかに工夫が凝らされています。しかも、旗や魚を狙って欲張ると、その先に上手い具合にクレバスやアザラシが登場するため、プレイしていると“ムキー!”となることも多いはず。カーブでは遠心力が働くため、直線の時と操作感も変わるなど、実はかなり練り込まれた造りとなっていました。
“教育シリーズ”ということで、同梱されている解説書には南極の氷について/南極大陸の夏と冬/南極の王様・コウテイペンギン/南極の探険史/南極大陸の地図と各国の基地の場所、が書かれています。これだけでも、かなり面白く読めるようになっているのがユニークな部分でした。同じような時代に南極点への冒険を繰り広げた3人についてもダイジェストで書かれているので、興味のある人にはぜひ読んでもらいたいものです。
“教育シリーズ”は他にも、第2弾『I love 体育 わんぱくアスレチック』、第3弾「I love 算数 モン太君のいち・に・さんすう』、第5弾『I love 社会 ぽんぽこパン』”が発売されていました。なお、コナミのMSXゲームと言えばF1でポーズ、ゲームオーバー時にはF5でコンティニューという操作方法が身体に染みついている人も多いと思いますが、本作は1983年の作品ということもあってか、どちらの機能も搭載していません。実機で遊ぶ際は“突然のトイレ”といった事態に対処できるよう、PAUSEキーが備わっている本体を引っ張り出してきてプレイするのが良いかもしれません。
ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち 連載一覧
- デカキャラが衝撃的だった「ザナドゥ」
- RPGが一気に身近なものに感じられた「ハイドライド」
- “スペースキーに重し”がキーワード!? 「夢幻の心臓II」
- PC-8801mkIISRの人気を不動のものにした「テグザー」
- ボクたちの堀井雄二さん作品といえば、コレ!「ポートピア連続殺人事件」
- 誰もが知っている“ボンバーマン”の元となった「爆弾男」
- “ボンドソフト”の名前を一躍有名にした名作「タイムシークレット」
- 日本での初期RPGの代名詞とも言える「ザ・ブラックオニキス」
- MSX用のベストゲームとして挙げる人も多い「グラディウス2」
- コンピュータRPGの原点とも言える「ウィザードリィ シナリオ#1」
- 光栄の歴史シミュレーションシリーズ、その柱となる1本にして今も新作が続く「三國志」
- ザインソフトの名前を広く知らしめた「トリトーン」
- 数多くの機種にハイクオリティな移植を実現したマイコンソフトの「パックマン」
- スクウェアとサンライズがタッグを組んだ「クルーズチェイサー ブラスティー」
- 可愛らしい絵柄とは裏腹に歯ごたえあるアクションゲームだった「メルヘン・ヴェール」
- 全世界で大ヒットを記録した歯ごたえあるアクションパズルゲーム「ロードランナー」
- テレネットの底力がいかんなく発揮されたアクションゲーム「夢幻戦士ヴァリス」
- これぞハードボイルドゲームの傑作といえる1本「マンハッタン・レクイエム ~闇に翔ぶ天使たち~」
- X68000の機能を活かしたアーケードクオリティのアクションゲーム「GENOCIDE」
- シンプルな画面に隠された謎に夢中になった「MYSTERY HOUSE」
- ポニカの強み、版権ものタイトルの1本として登場した「南極物語」
- 今も続く「A列車で行こう」シリーズの元祖がここにある
- 木村明広氏の美麗なビジュアルシーンが印象的なRPG「エメラルドドラゴン」
- シンキングラビットがおくるミステリアドベンチャーの傑作「道化師殺人事件」
- ボーステックから発売された、謎多きゲーム「レリクス」
- 敵をよけつつ岩を運ぶアクションパズルの名作 デービーソフトの「フラッピー」
- 初期アドベンチャーゲームの傑作にして、今も語り継がれる「デゼニランド」
- 巨大なスケールと隠された謎の多さに驚かされた名作第2弾「ハイドライド2」
- シリーズ1作目にして高い完成度を誇った光栄の「信長の野望」
- あの名作シューティングがついにPC-88シリーズにも移植された!「ゼビウス」
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- モンスターヒット作があらゆる面でパワーアップして帰ってきた!「ザナドゥ シナリオII」
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- マイコン初期時代に流行した野球拳の1本、九十九電機の『美少女ひっぱがしゲーム』
- スターアーサー伝説3部作のラストを飾った『テラ4001』
- 基本ゲームシステムはロードランナーと同じ!? 『ファンキーモンキー』
- 描画速度の速さに驚いた日本ファルコムの『デーモンズリング』
- “ハイドライド”の内藤時浩氏による商業デビュー作『コスモミューター』
- 90年代にゲームセンターで見かけた、あのゲームの元祖がここに『キャノンボール』~
- 名プログラマの森田和郎氏が手がけたフルカラースクロールアクションRPG『リグラス』
- 家族4人+1匹でドラゴンに立ち向かう『ドラゴンスレイヤーIV ドラスレファミリー』
- コンテストで最優秀賞を獲得、マジカル ズゥのアドベンチャー『黄金の墓』
- 幾千通りものシナリオを体験できた『ティル・ナ・ノーグ <ダーナの末裔>』
- 現在も続く「大戦略」シリーズの始まり『現代大戦略』
- 驚くほど滑らかに縦スクロール、名作シューティングゲーム『NOBO』
- PC-8001とは思えない滑らかな動きに驚かされた『FAN FUN』
- マイクロキャビンの名作アドベンチャーゲーム『ミステリーハウス』、その2作品目の難易度は!?
- 飛んでいくボールに合わせてスクロールする画面が斬新だった『アルバトロス』
- アーケード版と遜色ないクオリティで移植された名作『源平討魔伝』
- あまりにもカルト過ぎる問題が一部で話題を呼んだ『試験に出るうる星やつら』
- あの名作シリーズの3作目『ウィザードリィ #3 - Legacy of Llylgamyn』
- 魔城伝説シリーズの第2弾はアクションRPGとして登場! 『魔城伝説II ガリウスの迷宮』
- 当時としては驚くほどリアルなピンボールが遊べた『スーパーピンボール』
- 前作から大幅にパワーアップして舞台は全国に! 『信長の野望 全・国・版』
- 当時の移植作の中では秀逸な出来だったMSX版『グラディウス』
- 「あべしっ!」「ひでぶっ!」あの名台詞がゲーム中にも登場!~1986年発売『北斗の拳』~
- ギルに助け出されたカイがパソコンでも大活躍!『ザ・リターン・オブ・イシター』
- アーケードゲームを中村光一氏が移植、のちに改名されたPC-8001版「スクランブル」
- ザインソフトが手がけた SFハードアクションRPG『未来』
- ファルコムタイトルの中でも、群を抜いてレア度の高い1本『バードランド』
- より戦略性が増した「大戦略II」、生産タイプが増え、同時攻撃や間接攻撃も可能に!
- アドベンチャーゲームに新たな流れをもたらした『は~りぃ ふぉっくす』
- スクウェアの『アルファ』、ほぼ全シーンでアニメーション処理が導入されたADV
- ボクらのマリオ!ハドソンソフトの『マリオブラザーズスペシャル』
- 「Lotus 1-2-3 R2.1J」 あの頃の表計算ソフトと言えば、Microsoft Excelじゃなかった!
- 3機の合体シーンが印象的だった超メカシューティング『ヴォルガード』
- ファルコムのFM-7向け初アドベンチャーゲーム『異次元からの脱出』
- 「死体蹴り」の元祖といえばこのゲーム! 『エグゾアII ウォーロイド』
- 主役はマリオ、でも中身はハドソンオリジナルの「パンチボールマリオブラザーズ」
- みんな使った!日本を代表するワードプロセッサソフト『一太郎Ver3/Ver.4』
- サイバーパンクな雰囲気に飲み込まれ、そしてエンディングに驚かされた『ザ・スクリーマー』
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- 『SAVIOR(セイバー)』その滑らかなアニメーションは僕らの心を掴んで離さなかった……
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