ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

思わずハマってしまうレースゲームMSX版『ロードファイター』

プレイヤーが駆る、真っ赤なスポーツカーが中央に位置し、その下にはドライバーのイラストも描かれているパッケージでした。ロゴの下には、道中に邪魔をしてくる巨大なトレーラーの姿も見えます。

 当時の懐かしい広告とゲーム画面で、国産PCの歴史とノスタルジーに浸れる連載コーナー。今回取り上げたのは、コナミが1984年にアーケード版としてリリースした『ロードファイター』の、MSX移植版です。

 1983年にMSX規格が登場し、さまざまなソフトハウスが作品をリリースするようになりますが、その中でも代表格と言えるのがコナミ(当時)でした。名作や秀作を多数発売していましたが、そのうちの1本となるのが今回取り上げたレースゲームの『ロードファイター』です。ベースとなったのは、1984年にアーケード版として登場した同名作品で、その面白さやエッセンスをほぼそのままにMSX向けへと移植したソフトでした。どのようなレース設定なのかが簡易にマニュアルに書かれていて、以下のようになっています。

 世界のライバル達が集まったスタジアムは、興奮で沸き返っている。マシンがうなり、マシンが飛ぶ。そのパワフルな走りは尽きることを知らない。さく裂するボディを自由に操り、冴えたテクニックで目前にしたチェッカー・フラッグを狙え!!

夏は浴衣姿で夕涼み、秋はスポーツの秋なのでパソコンのスポーツということで、同時期に登場したソフトと一緒に広告が掲載為れていました。ちなみに、夏広告の左下に小さく見える「おいでよ!こども博'85」は、開催場所が多摩テックのコナミコーナーとあることから、1985年7月25日から8月31日まで多摩テックにて開催された「コナミのパソコン・ワンダーランド」の1コーナーのようです。内容としては、それまでに発売されたMSXとファミリーコンピュータ用のコナミソフトがすべて遊べるほか、毎週日曜日に2回ずつゲーム大会も開かれたとのことでした。

 プレイヤーは赤色のマイカーを操作して、全6コースの制覇を目指します。コース上には自車の他、青色の“ライバル”、緑の“普通車”、紫の“GTカー”、黒の“ヤンキー”、そして“トレーラー”の5車種が走ります。普通車はコースをマイペースで走っているだけですが、ライバルは猛スピードでプレイヤーカーを抜き去っていくことがあるほか、GTカーはプレイヤーカーにわざとぶつかりにきたり、ヤンキーはしつこく邪魔しに来るなど、個性豊かな挙動でプレイヤーを翻弄しにくるのでした。特に巨大なトレーラーにいたっては、突然プレイヤーの車が走行する車線にコースを変更してはドラム缶を落としたりオイルを流すなど、とんでもない妨害を仕掛けてきます。

ゲームスタート時には、初心者向けのLEVEL Aと、上級者用のLEVEL Bから難易度を選択します。

 これらの障害を回避しながら燃料が尽きる前にゴールできればクリアとなり、次のステージへ進むことができました。用意されているのは車線も広い住宅街のステージ1から始まり、難易度が少し上がる海岸線のステージ2、そして海峡橋のステージ3、森林街道のステージ4、断崖街道のステージ5、氷雪街道のステージ6と全部で6つです。もちろん、先に進むにつれてコースも険しくなっていくので、そう簡単にゴールインすることはできません。

 ミスせずにプレイしていると、時々コース上にBと書かれたハートマークが流れてきます。ボーナスラブと呼ばれるこのアイテムは、取ると燃料ゲージのFUELが増えるだけでなく、合わせてボーナス点もゲット! しかも、取り逃さずに連続して回収することができれば、300点→500点→800点→1000点→1000点→……とアップしていくので、ハイスコアを獲得するには欠かせない要素でした。

プレイヤーは自車をカーソルキーの左右またはジョイスティックの左右で操作し、上手に運転しながらゴールを目指します。アクセルはスペースキーまたはジョイスティックのボタン1で、離すとエンジンブレーキがかかるようになっています。急激に速度を落とすことはできず、いわゆる“車は急に止まれない”状態なので、テクニックが問われます。

 そんな本作の特徴は、なんといっても“カウンタステア(逆ハン・いわゆる逆ハンドル操作)”でしょう。マニュアルにも“テクニック”という項目で解説されていますが、敵車と接触してスピンした場合、その方向と同じ向きのキーを押すことで自車が立ち直り、速度低下がほぼないまま即座にレースに復帰できるというものです。
 それまでのレースゲームでは、敵車への接触がそのままミスとなる場合が多かったため、本作のようにぶつかっても即クラッシュにならないというのは新鮮に感じられました。

 とはいえ、実際にプレイしてみると敵車と接触すると慌ててしまい、逆ハン操作をするどころではないという事態に……。とはいえ、敵車の妨害が激しくなる中盤以降を乗り切るためにはカウンタステアは必須なので、何度もプレイして覚えるしかありません。ライバルカーと接触してスピンしそうになったら、即座にカーソルキー左右を連打する方法でも何とかなりますが、やはりカウンタステアはマスターしたいものです。

ミスをせずに走行していくと、Bと書かれたボーナスラブと呼ばれるハートマークが出現します。クラッシュせずに獲得し続ければ高得点をゲット出来ますが、燃料を補給する唯一の手段でもあるので、逃さないようにしましょう。

 ちなみに自車のスピードが速すぎる場合は、カウンタステアを当てても復帰が間に合わず、そのままガードレールや敵車などにぶつかり大破ということもあるので万能ではないので注意しましょう。

 アーケード版ではステージクリア時、順位や抜いた車に応じてボーナス得点を獲得できましたが、MSX版ではそういった要素は省かれています。それでも、レースゲームとしてのスピード感や敵車を追い抜いたときの爽快感、燃料が減っていく緊張感などはアーケード版と同じく感じ取ることができる、非常に良い移植作品となっていました。MSX本体のメインRAMが8KBあれば問題無く遊べたということで、当時プレイした人も多いのではないでしょうか。

他の車と接触してスピンしてしまったら、カーソルキーを自車が向いている方向とは反対側を押す(カウンタステアを当てる)と、姿勢が戻り無事レースに復帰できます。マニュアルにも、やり方が図で説明されていました。

 それなりの数が出回ったらしく、現在でもフリマアプリやオークションサイトなどでよく見かけることができます。興味を持った人は入手して、ぜひ遊んでみてください。

ステージ1の住宅街から始まりステージ2の海岸線、ステージ3の海峡橋と、どんどん難しくなっていきます。果たして、あなたはゴールまでたどり着けるでしょうか!?

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