ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

ハドソンソフトのアクションゲーム『ゼロファイター』

この時代にはお馴染みだったハドソンソフト共通のカセットテープパッケージに、ゲームのイメージイラストが描かれていました。パッケージイラストの裏面には、ゲームの起動方法が書かれています。

 当時の懐かしい広告とゲーム画面で、国産PCの歴史とノスタルジーに浸れる連載コーナー。今回は、ハドソンソフトが1983年に発売したアクションゲームの『ゼロファイター』(PC-8001mkII版)を取り上げました。

1978年6月に、ハドソンソフトが初めて雑誌に載せた1ページ広告(月刊マイコン1979年7月号)と、その1年後となる1980年の広告です。とある界隈で話題に上る『野球拳』は、最初の広告からずっと掲載されていました。

 ハドソンソフトにとっての1983年といえば、年末近くにヒット作となる『デゼニランド』を発売した歴史的タイミングの年になるのですが、雑誌に広告を出し始めた1979年後半くらいからしばらくは、とにかく数多くの作品をリリースしていくという感じでした。しかし、徐々に“小粒でもピリリと辛い”作品をリリースするという方針になっていき、またゲーム自体もそれまでの“ベーシック”メインや“ベーシック+マシン語”から“マシン語”オンリーソフトが増えていったことで、面白さや操作性なども格段にアップしていきます。購入する側としても、“マシン語”と書かれている方がそれだけで面白く感じてしまった時代でした。

こちらは、『ゼロファイター』の初出広告(Oh!PC1983年9月号)です。後に登場するPC-8801版は画面写真が掲載されるのですが、このときはイメージイラストのみだったため、どのようなゲームなのかが想像できませんでした。

 そんなタイミングとなる1983年に発売されたソフトのうちの1本が、今回取り上げた『ゼロファイター』です。広告を調べたところ、初出が1983年8月号の雑誌だったため、そこから逆算すると登場したのは同年7月くらいかと思われます。この時点での対応機種はPC-8001mkIIとFM-7でしたが、9月くらいにはPC-8801用の広告ページも見つかっていますので、PC-8801版は後からリリースされたようでした。そんな本作のストーリーですが、カセットテープパッケージをひっくり返した反対側に“ゲーム説明”として、以下のように書かれています。

 幻の名機ゼロ戦! 気難しい名機もパイロットの君の手にかかると自由自在に大空を飛びまわる。次々と飛来する敵機に前後左右から果敢に攻撃したまえ。ゼロ戦と一体になった君は、もはや無敵のゼロファイターだ!

メイン画面には敵機が所狭しと飛び回っているので、画面右の高度計を見ながら高さを合わせつつ、同じ大きさになったらショットを撃って撃墜していきます。各面ごとに、規定数の敵機を倒せばクリアです。セオリーは現実と同じく、敵機の背後を取って弾を撃ち込むことです。

 プレイヤーは自機のゼロ戦を操作し、敵空母から次々と離陸して襲ってくる敵機をすべて撃ち落とすのが目的です。自機は、テンキーの4と6を押すとそれぞれ左(に90度)旋回、右(に90度)旋回します。よくある、テンキーの2、4、6、8で上下左右の移動ではないので、慣れるまでは上手に操作出来ないのが難儀なところであり面白いところでした。なお、画面の上と下、左と右はそれぞれ繋がっているので、画面端に進むとぶつかってしまう、ということはありません。

 自機にはFUEL(燃料)とSHOT(残弾数)が設定されているのですが、燃料は飛んでいる間に少しずつ減っていきます。これが100を切ると自機が点滅し始め、0になると墜落してミスとなりました。また、SHOTが0になると弾を撃つことができなくなります。

 メイン画面には、緑の自機と赤の敵機が表示されているのですが、大きさが同じだったり小さかったりします。これは、自機と敵機の高さが違っているためでした。本作には三次元的な要素として高さの概念が取り入れられていて、同じX軸、Y軸に並んでも高さが合っていなければ、攻撃は当たりません。

 そこで、テンキーの8と2で上昇/下降して、自機の高度を敵機に合わせる必要があります。画面の右側には高度計が描かれていて、赤い丸が自機・緑の×印が敵機の高さを表していました。それを見ながら高さを調整し、ゼロ戦が敵機と同じ高さになるように上昇や下降すると、相手の飛行機も自機と同じ大きさで描かれます。そうなったタイミングでショットを当てれば、見事撃墜に! こうして、各面のスタート時に空母から離陸した数の敵機をすべて撃ち落とせば1面クリアとなりて、次の面へと進むことができました。

自機のショットだけでなく、敵弾も“敵に対して当たり判定を持つ”ので、このような感じでうまく敵機を騙すことができれば、相手が撃った弾で敵機を倒すことが可能です。

 敵機は1面が1機、2面が2機……と増えていき、5面の5機をクリアすると1ループ終了となり、6面では再び1機出撃の2ループ目へと突入します。ここからはループを重ねるごとには敵機の移動速度がアップするだけでなく、積極的に自機を狙って撃ってきたり、素早く高度をズラしてこちらの攻撃が当たらないように行動するため、倒すのがより困難に。

 こうなると撃墜までに時間がかかってしまい、ゼロ戦の燃料や残弾数がどんどん心細くなってしまいます。しかし、本作には補給という、当時としてはちょっと凄いと思わせる手段が用意されていました。画面右下には、自機が出撃してきた飛行場が常に描かれているのですが、ここへ着陸することで燃料と残弾数をMaxにすることができます。

先の面に進むと、敵機も高高度に逃げたり頻繁に高さを変えたりするなど、賢くなっていきます。その一枚上手を取って攻めないと、こちらが撃墜させられてしまうことに。ただし、撃ち落とされてもパイロットはパラシュートで脱出して次のゼロ戦に乗り込むので安心(?)です。

 補給方法はX軸を飛行場のラインに合わせて、さらに高度計を見ながら一番下まで自機を下げるだけでした。これで飛行場に着地成功となり、補給後に自動で再出撃します。ところが、補給に関してはパッケージのどこにも書かれていないため、リアルタイムでプレイしていた人の中には「なんだよ、燃料が無くなったら1機終了かよ」と思った人もいたのではないでしょうか。

 この時期にありがちなアクションゲームでしたが、敵の行動が徐々に賢くなっていったり、補給というルールを知ることで1機でも粘れるようになるなど、分かると面白くなってくる作品でした。今の時代に大勢でハイスコア争いをすれば、まだまだ楽しくプレイ出来ますので、機会があればぜひゼロ戦を駆って敵を撃墜しまくってみてください。

X軸を合わせた後、高度をめいっぱい下げると基地に着陸できます。燃料と弾の補給が終われば、再び大空に飛び出して敵とのドッグファイトが待っています。しかし、高度を下げすぎると地面に接触となりミスに……。

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