ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

少々謎なパッケージイラストの『コナミのゴルフ』

主役と思われる女性ゴルファーよりも、なぜかゲーム中に登場しない男性ゴルファーが大きく描かれている、少々謎なパッケージイラストになっていました。女性ゴルファーの、太ももの筋肉が凄いのも目を引きます。

 当時の懐かしい広告とゲーム画面で、国産PCの歴史とノスタルジーに浸れる連載コーナー。今回取り上げたのは、MSX向けにコナミが発売してた「コナミの◯◯」シリーズから、『コナミのゴルフ』を取り上げました。

広告では、『イー・アル・カンフー』や『コナミのベースボール』と同時期に掲載されていました。

 MSX規格のパソコンが登場してさまざまなソフトハウスが参入すると、数多くのソフトがリリースされるようになります。中でも頭角を現していたのがコナミで、アクションゲームからシューティング、そしてレースにスポーツゲームと、多数のジャンルで秀逸なタイトルを発売していました。特にスポーツゲームに関しては、ゲーム名に「コナミの◯◯」と付けたために覚えやすくなっていますが、そのうちの1本が今回取り上げた「コナミのゴルフ」となります。発売されたのは1985年の1月で、マニュアルには簡単なプロローグも書かれていました。

 KCC・コナミカントリークラブ、ここに待望のオープン。ホール数は9、パー36の雄大な本格的高原カントリークラブだ。ストロークプレーにするかマッチプレーで競うか、それは君の自由。風は? 芝目は? クラブは何を使う? 一打一打に君のゴルフセンスが光る。素敵なギャルといっしょに、爽快な高原の休日を満喫しよう!

まずは1ホール目で、プレイ感覚をつかみたいところです。風を計算に入れて打つ方向を決めたら、あとは思い切りショットするのみ。2打目以降は、ボールのある場所からの景色が表示されるので、当時としては臨場感がありました。

 本作は、9ホール終了までの打数の合計を競うストロークプレイを1人または2人で遊べるほか、1ホールごとに勝ち敗けを決めてその勝敗数を競う2人用のマッチプレイが楽しめます。ゲーム中には、プレイヤーの代わりに女性ゴルファーがティーグラウンドに立ち、なぜかパッケージに描かれている男性ゴルファーが登場することはありません(笑)。

 プレイするのはハーフラウンドの9ホールで、パーは36となっています。1人プレイ時にはスカートが赤い女性ゴルファーが、2人プレイ時は青いスカートの女性ゴルファーが、それぞれ1プレイヤー/2プレイヤーの代わりに登場しティショットを打ってくれました。

コースは9つと少々寂しく感じるかもしれませんが、どこも一癖ある造りになっているので、攻略ルートを作るまではなかなか手強いです。

 この時期のゴルフゲームということで、システムは非常にシンプルです。まずは、カーソルキーの上下などでショットを選びます。用意されているのは、真っ直ぐに打つストレート、右へ曲がるスライス、左へ曲がるフックの3種類。これを決めたら、次はカーソルキーの左右などで十字のポインタを動かして打つ方向を決めます。画面右上「WIND」の部分には、風の方向と強さも表示されているので、それを参考にしつつスペースキーを押して決定したら、いよいよショットに。

 画面下でパワーメーターの黄色いバーが伸び縮みするのですが、打つ前のこのタイミングで、上下方向キーなどを操作してクラブを選びます。ティーショット時はドライバーになっているので、ミドルやロングホールならそのままでも問題ありませんが、ショートホールではアイアンに変更しておかないと、飛距離が出過ぎてOBになってしまうので要注意。

 用意されているクラブは、ドライバーとスプーン、1、3~9番アイアン、ピッチングウェッジとサンドウェッジ、そしてパターの13本です。しかも、それぞれのクラブがどの程度の飛距離になるのかもマニュアルに書いてあるので、クラブ選びで悩むことはなかったのもありがたい部分でした。

グリーン上では、芝目として“>”などが表示されます。尖っている方向にボールが流されるということを考慮して、パッティングをしましょう。思ったよりも芝目は強く干渉してきますので、下りラインは慎重に、上りラインは大胆に打つのがコツです。

 最後に、パワーメーターを見ながらスペースキーを叩いて打つ強さを決めれば、あとは飛んでいくボールの軌跡を見守るだけ。以降、これを繰り返してボールをグリーンにオンさせましょう。なお、バンカーからのショットは飛距離が落ちるほか、ラフからウッドで打つと打球は延びません。

 パワーメーターは、目一杯に延びた場所に目印があるわけではないので、その位置をしっかりと暗記しておかなければパワーMAXでショットを打つことはなかなか難しいでしょう。例えば、2番ホールは360メートルでありながらも途中でコースが途切れているので、OBを避けるためには確実にフルパワーでのショットが求められました。それができないと、中央部分を超えることができず何度もやり直すハメに……。

コースや風の影響を考えて、フックやスライスをストレートと使い分けることで、よりスコアを伸ばせるかもしれません。黄色のパワーゲージは全部で10マスあるので、MAXパワーでショットするときはタイミングを上手に計りたいものです。

 本作が優れていたのは、ピンまでの残り距離数が画面右上に表示されていたことではないでしょうか。他のソフトでは、ピンまでの距離からショットで飛んだと思われるおおよその距離を引いて、脳内計算での残った長さに合わせてクラブを選ぶ、というのも珍しくありませんでした。これだと、かなりの誤差がでることもあって、クラブ選択で大いに悩みます。しかし『コナミのゴルフ』では自動的に正しい残り距離数が表示されるので、それを見てクラブを選択できるのがとても親切でした。

 無事にグリーンオンさせることができたなら、クラブはパター固定になります。あとは“<”などで表示される芝目を見て打つ方向を決め、パワーを調節してショットするだけ。グリーン上ではカップまでの残り距離は表示されないため、距離感はプレイしながらつかんでいくしかありません。また、芝目もショットパワーが低いときは大きく影響してくるため、思った以上に難しいです。

2人でプレするときは、1P側が赤いスカートの女性ゴルファー、2P側は青いスカートの女性ゴルファーが登場します。違いはスカートの色だけで、そのほかはすべて同じでした。

 今のゴルフゲームから考えるとコース数も少なくシンプルなので、かなり牧歌的な感じではあります。それでも、友人との対戦となれば熱中してしまうのは、いつの時代も同じというもの。

 ゴルフゲームはあまり子供が好きこのんで遊ぶジャンルではないので、本作はMSXがあった家庭でお父さんが買って遊んでいたのかと思われます。そのためか、ネット上や中古ショップでもそれほどは見かけないのですが、価格としてはお手頃なので興味があればぜひプレイしてみてください。ちなみに、のちにプレイステーション用とセガサターン用に発売された『コナミアンティークス MSXコレクション Vol.2』にも収録されていますので、そちらを持っているならばより手軽に遊べるかと思います。

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