ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

“ハイドライド”の内藤時浩氏による商業デビュー作『コスモミューター』

パッケージには、ボディに“T”の文字が描かれた主人公・ミューター君と敵2体、ペッタン、そして宇宙戦闘艇ザンジバーがコミカルに描かれています。

 当時の懐かしい広告とゲーム画面で、国産PCの歴史とノスタルジーに浸れる連載コーナー。今回は、「ハイドライド」シリーズでお馴染みの内藤氏の処女作である、『コスモミューター』を取り上げました。発売は1984年。

 「ハイドライド」シリーズでお馴染みの人と言えば内藤時浩氏ですが、氏が最初にT&E SOFTで関わったタイトルは『暗黒星雲』だったそうです。その後、初のオリジナルタイトルとなる『コスモミューター』を、PC-8801用として発売しました。

当時雑誌に掲載された広告では、アーケードゲーム『ギャラガ』のボーナスステージのようなシーンが掲載されていて、固定画面のアクションパズル面をクリアするとシューティングゲームが遊べると言うことで、非常にワクワクさせられた覚えが残っています。

当時の広告を見ると、“PC-8801 スーパーゲームソフトシリーズ第一弾”という触れ込みで発売されていたのが分かります。第二弾の予定は何だったのか、今更ながら気になります(笑)

 プレイヤーは主人公のミューター君を操作し、地上編では宇宙戦闘艇“ザンジバー”の部品集めに奔走します。部品は画面一杯に散らばっていて、その上を通り過ぎるとミューター君の後ろにくっつき“ズリズリ”と一緒に移動します。部品を、画面中央にある設計図の所定の場所へとはめ込めば1つ完了となるのですが、部品を拾う時とはめ込む時は、その位置が1ドットでもずれていると回収できなかったりはめることができません。

 画面内には、ミューター君の行く手を邪魔する敵がうろついていて、触れるとミスになってしまいます。ただし、愛くるしい表情の敵・ペッタンは、触れてもミスにはなりませんが、部品を持っているときには取られてしまいます。

まずは、画面内に散らばっているザンジバーの部品を設計図の場所へと持って行きます。最初は平凡なフィールドですが、ステージが進むと橋が架かっていたりするので、一筋縄ではいきません。

 ミューター君は敵への反撃手段として誘導ミサイルを持っていて、スペースキーで発射後、キーを押しっぱなしにしておけば、自分が移動できない代わりにミサイルを自由に動かすことができます。これを敵やペッタンにヒットさせれば、相手を一定時間行動不能にすることができるほか、ペッタンが部品を運んでいる場合は、それをその場に置いて行きます。

敵が近づいてきたら、誘導ミサイルを当てて足止めしましょう。爆風が描かれている間は、敵は動けません。なお、ミサイルは自分にも当たり判定があるので、操作ミスで自爆しないように……。

 こうして、それら障害を乗り越えて全部品を設計図の場所へセット出来ればステージクリアとなり、舞台は宇宙編へと移ります。宇宙編では乗り込んだ宇宙戦闘艇ザンジバーを操作し、8機編隊で飛来してくる敵コスモシップを光子ミサイルで撃破するのが目的です。

 敵コスモシップは『ギャラガ』のボーナスステージのように、一定の飛行コースを移動します。相手は攻撃してきませんので、いかにコスモシップの動きを覚え、先に移動して攻撃するかが高得点の鍵でした。用意されているのは20面なのですが、全面クリアは相当な腕が無いと難しいかもしれません。

宇宙編では、編隊を組んで飛来するコスモシップに光子ミサイルを当てて撃破します。PC-8801用ディスク版では、このステージでの敵宇宙船の飛行コースを自由に変更することができました。

 この時代のアクションゲームは操作性が悪いものが少なくなく、ゲームシステム以前にイライラさせられるタイトルもありましたが、本作はその部分が非常に良く出来ていました。例えば角を曲がりたい場合は、ピッタリの位置ではなく少し手前から曲がりたい方向のキーを押しておくことで、スムーズに移動することができたのです。

 なお、本作のオリジナル版はPC-8801用ですが、なぜPC-8001mkIIに移植したのかを内藤氏に聞いたところ「アドレスを変更したら動いたので、出すしかないということになったため」だそうです。また、売れた本数は5,000本にも満たなかったことも、合わせて語ってくれました。

ロード終了後に表示されるデモ画面を見ておけば、ルールはだいたい分かるのがありがたいです。ハイスコア表示画面には、内藤氏の名前も。

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