ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

「スペシャル」「パンチボール」じゃない元祖「マリオブラザーズ」が、パソコンに移植されていた!

カセットテープがパッケージを兼ねています。描かれたイラストなどは、見覚えのあるものだと思います。

 当時の懐かしい広告とゲーム画面で、国産PCの歴史とノスタルジーに浸れる連載コーナー。今回は“あの”ソフトハウスからリリースされていた、任天堂の有名作品「マリオブラザーズ」です。

 1980年代前半、パソコンで「マリオブラザーズ」を遊びたいという要望に応えたタイトルとして、ハドソンソフトからリリースされた「マリオブラザーズスペシャル」や「パンチボールマリオブラザーズ」などがありましたが、本家の「マリオブラザーズ」は当時、パソコン雑誌の紹介記事では見かけることがありませんでした。ところが、「WIZARD98」などのバックアップソフトで有名なウエストサイドソフトハウスから、1984年にPC-8001用タイトルとして「マリオブラザーズ」がひっそりと(?)発売されていました。発売元が発売元なだけに変なことを勘ぐってしまいますが、任天堂から許諾を取って発売された正式な製品です。

探し出せたのはモノクロ版の広告のみですが、当時は半ページ分ぐらいのスペースを割いて掲載されていました。残り半分は、ディスクやテープに関連するツールの広告です。

 ゲームのルールはオリジナルと同じで、敵が居る床を下から突き上げて相手をひっくり返し、すべて蹴り飛ばせばステージクリアです。画面中央下には四角いブロック(POW)があり、これを下から叩くと画面内の敵すべてを1回突き上げたことになります。使用回数は3回と限られているので、無駄遣いは厳禁です。アーケード版と同じく2人同時プレイも可能となっていて、PC-8001という非力なハードとは思えないほどの頑張りようです。ステージ開始時に流れるBGMも、ハード特性を考えればかなり似ているといえます。

タイトル画面はかなり頑張っていて、ひっくり返った文字をマリオとルイージが下から突き上げて正しい状態に戻すというデモが見られます。この後、1P2Pの操作方法が表示されます。

 ハドソンソフトから発売されていた「マリオブラザーズ」シリーズは、床を突き上げるシステムを採用していませんが、あれは「プログラムするのが大変だったから」と元ハドソンソフトの中本氏が語っていました。しかし本作では、見事にその処理をやってのけています。同じステージで一定時間が経過すれば火の玉も出現するし、敵を倒すごとにコインも流れてきます。とはいえ、プレイ感覚はアーケード版からは少し距離があり、慣れないとツライ戦いを強いられるのはご愛敬といったところかもしれません。

 発売本数としては多くないらしく、あまり見かけることはありませんが、腕に自信のある人にはぜひプレイしてもらいたいものです。

ゲーム画面を見ると、上下の左右端に土管が無いのがわかります。スコア表示も最上段ではなく最下段になっていますが、それ以外はかなり忠実に移植されていて、床を突き上げるとその部分だけが凸るなど、かなり頑張っています。
もちろん、ボーナスステージも存在します。コインを獲得したときの効果音もそれらしく鳴るので、思った以上に盛り上がります。

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