ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

より戦略性が増した「大戦略II」、生産タイプが増え、同時攻撃や間接攻撃も可能に!

『現代大戦略』ではカラーのイラストが使われていましたが、今作はパッケージ正面に描かれているのは航空機(トムキャットと思われます)と英語でのタイトル『Strategic Simulation Series Strategic Confrontation』のみと渋くなりました。

 当時の懐かしい広告とゲーム画面で、国産PCの歴史とノスタルジーに浸れる連載コーナー。今回取り上げたのは、1985年に発売された『現代大戦略』の続編と言える作品『大戦略II』です。

 『現代大戦略』ではカラーのイラストがパッケージに使われていましたが、今作はパッケージ正面に描かれているのは航空機(トムキャットと思われます)と英語でのタイトル『Strategic Simulation Series Strategic Confrontation』のみと渋くなりました。

 『現代大戦略』で、それまでとは異なったシミュレーションゲームの方向を切り開いたシステムソフトですが、その評判は上々で、8ビットパソコン向けにアレンジした『大戦略88』『大戦略FM』『大戦略X1』をリリース。さらに裾野を広げていきました。そして、『現代大戦略』から2年後となる1987年の3月に発売したのが、続編となる『大戦略II』です。

アメリカ、ソ連それぞれのユニットを撮影してみました。アメリカ軍の兵器には今もよく名前を聞くF-15やM1、ヒューイコブラなどが並ぶ傍ら、ソ連兵器はSuシリーズやMiGシリーズなどのほか、射程の長い間接攻撃ユニットのガネフやゲンフルなどが揃っています。

 大きくパワーアップしたのは、生産タイプが設定されたことでしょう。前作では、どの陣営も同じ兵器しか生産できませんでしたが、本作では“アメリカ”や“ソ連(!)”、NATO、ワルシャワ(条約機構)といった有名どころにくわえ、イスラエルや西ドイツ、自衛隊などの生産タイプがも選べました。生産タイプが異なれば作れる兵器も代わり、アメリカなら戦車はM1でソ連はT-72、イスラエルであればメルカバという感じです。もちろん、戦闘機なども異なるので、当時はその種類の多さに驚いたものでした。

 また、『現代大戦略』では先に攻撃を仕掛けた方が必ず先制することが出来ましたが、『大戦略II』では同時攻撃方式が採用されたことで、新しいユニット同士であれば必ず10対10の戦いが行われるようになっています。これにより、前作のように先に攻撃すればほぼ反撃を受けない、ということにならないため、戦闘は常に緊張感に包まれたものとなりました。

通常の攻撃は敵味方同時に行われるため、見ていて手に汗握ります。特に、補給車などの弱いユニットに高価な航空機が落とされると、ついつい机を殴ってしまうことも……。間接攻撃の場合は、当たれば攻撃側が一方的に攻撃を仕掛けることができます。この快感が、ヤミツキさを生み出しているのかもしれません。

 さらに、新しく間接攻撃ユニットが追加されたことで、離れた場所から敵ユニットを攻撃することも可能になっています。ただし、現実でもミサイルが誤射するように、ゲーム中でも誤射してしまうことも……。周りに味方ユニットがいた場合は、そこに自軍の弾が雨あられと降り注ぐことになります。

 他にも前作では、都市を大量に占領して収入を増やせばユニットが作り放題になっていましたが、今作では都市だけでなく工場という要素を追加しています。このため、兵器生産にはお金の他に工場が生み出す工業力が無ければ作ることができないため、早い段階からゴリ押しすることが不可能となりました。

新しく船舶ユニットが増えたので、前作にも増して賑やかな画面になることも。護衛艦や空母は海から陸上ユニットに対して間接攻撃も行えるので、かなり使えます。

 都市や工場を破壊できる爆撃機や一度に戦車などを4ユニット運べる輸送機、これまでは航空機だけのエリアだった海を移動することができる護衛艦や空母、都市や工場の耐久度を上げられる工作部隊など、新ユニットも続々と投入されています。隠し兵器として、B-52に核爆弾を搭載できるのは有名な話なので、知っている方も多いのではないでしょうか。

広告は渋いものを含めいくつかのバリエーションがありますが、「大戦略」シリーズっぽくない、お姉さんを起用したパターンもありました。

 思考ルーチンも『現代大戦略』と比べて早く、強くなったものの、登場ユニットが多いためにそれほど強化された感じがしなかったのが惜しいところかもしれません。なお、前作から引き継いでいるマップとして「アイランドキャンペーン」がありますが、このマップはその後も「大戦略」シリーズの顔として後の数々の作品にも収録されることとなります。

 他に追加された要素としては、部隊の合流や国同士の同盟などがありましたが、『現代大戦略』の持つわかりやすさを失うことなくパワーアップさせた『大戦略II』は、地味なシミュレーションゲームとしては大ヒットしました。システムソフトは、この後に8ビットパソコン向け『スーパー大戦略』を生み出し、さらに2年後には『大戦略III』を発売することとなります。

本作だけでなく、『大戦略IIエディタセット』や『大戦略IIデータコレクション』といった、カスタマイズ用ソフトも発売されました。これらを使った企画としては、アスキー(当時)から発売されていた月刊誌『ログイン』にて発表された、“犬戦略”が有名かと思われます。

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