ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

前作よりも難易度アップ!ペンギンくんの大冒険『夢大陸アドベンチャー』

オーロラをバックに、氷上を一生懸命に走るペンギンくんが描かれているパッケージでした。背後から覗いているのはフリーザウルスで、ゲーム中は青色で出現しますが、当初は広告の写真にあるようにパッケージと同じ赤っぽい色だったようです。

 当時の懐かしい広告とゲーム画面で、国産PCの歴史とノスタルジーに浸れる連載コーナー。今回取り上げたのは、1983年にコナミ(当時)から発売された『けっきょく南極大冒険』の続編となる『夢大陸アドベンチャー』です。

MSXマガジン1986年10月号掲載広告を見ると、当初は1986年10月中旬発売予定だったものの、翌月号の広告では10月下旬発売に変わっていました。キャッチコピーは「勇者よ、夢大陸のコロンブスとなれ。」という、壮大なものでした。ちなみに、10月号広告に載っている新世SIZERは、今やプレミアが付くタイトルになっています。

 MSX規格に則ったパソコンが発売された1983年以降の80年代は、コナミ(当時)が積極的にMSX向けソフトを発売していた時期でもあります。どれもこれも名作揃いではありましたが、そのうちの“教育シリーズ”と銘打った作品の1本目となった、1983年に発売された『I love 地理 けっきょく南極大冒険 ANTARCTIC ADVENTURE』の続編として誕生したのが、その3年後にリリースされた『夢大陸アドベンチャー』でした。今作にはストーリーが設定されていて、それは以下のようになっています。

今作の舞台は南極にとどまらないため、ステージも水中や渓谷、洞窟内など多岐にわたります。それらグラフィックが美しいのも特徴で、タイトル画面などはMSX(1)とは思えないほどのクオリティでした。

 昔々、ペンギンたちは幻の国・夢大陸で平和に暮らしていました。そこには、どんな病でもたちどころに治すことができる“ゴールデン・アップル”と呼ばれる黄金のリンゴの木があり、彼らは大切に育てていました。ところがある日、強暴な肉食恐竜のフリーザウルスの群れが侵略しにきたことで、ペンギンたちは夢大陸を追われます。

 長い年月が経過後、新たな地で繁栄していたペンギン王国に不治の病が流行し、王国のペン子姫までが病にかかってしまいました。治す方法はただ一つ、ゴールデン・アップルの実を食べさせること。王様は一人の若きペンギンに、ゴールデン・アップルの実を持ち帰って来る使命を託すのですが……

 プレイヤーは若きペンギンくんを操作して、ゴールデン・アップルの実を持ち帰るのが目的です。ジャンルは前作と同じアクションで、画面奥に向かってペンギンくんが進んでいくので、障害物や敵に当たらないよう操作します。カーソルキーの左右でペンギンくんの左右移動を行い、上でスピードアップ、下でスピードダウン、スペースキーでのジャンプにくわえて、今作ではコナミのゲームではお馴染みのMキーを押すことで、特定のアイテムを持っていればショットが撃てるようになりました。

小さな地割れに入ると、物々交換ステージに。これまでにゲットした魚と、各種の宝物を交換できます。なかには、クリアに必要不可欠なものもあるので、魚は必死になって回収しておく必要があります。ちなみに、大きな地割れはプレイヤーキャラがいる場所(画面左なら左側)に出現しますが、1ステージや6ステージで反対側に現れた時は、そこに落ちてカーソルの下を押すとワープすることができます。

 道中は、画面中央上に表示されているDIST(ゴールまでの残り距離)が、貴重な情報となっています。たとえば、これが一定数に達するとハートが出現。ペンギンくんをジャンプさせるごとに色が変わり、キャッチすると色に対応したパワーアップがゲット出来ました。さらに、各ステージごとに決められた数値の時にジャンプすると黄色い羽が現れ、それに触れると魚取り放題なだけでなく黄金の1UP魚も出現するボーナスステージへ行くことができるので、何かあったらDISTをメモっておくことがクリアまでの最短距離となるでしょう。

 舞台が南極に限定されなくなったことでステージが様々に変化するのが大きな特徴ですが、それに伴い現れる障害物もクレバスではなく大きな地割れに、魚が飛び出してくる穴もフジツボになっています。これらに接触すると、ペンギンくんは“おっとっと”となってバランスを崩しスピードが0に戻ってしまいますが、それ以外の敵に当たると今作では一発アウトというシステムに変わりました。

いくつかのステージで、特定DISTでジャンプすると出現する黄色い羽をキャッチすると行くことができるのが、ボーナスステージの宇宙です。水中ステージと同じくスペースキーでフワフワと上に移動するので、早くコツをつかみたいところ。赤い魚は魚+1、金色の魚はペンギンくん+1なので、金色の魚を優先して狙いましょう。残り時間が0になるか、奥から迫ってくる隕石に当たるとボーナスステージは終了です。

 各ステージに複数ある小さな地割れに落ちると物々交換ステージとなり、それまでにゲットした魚と引き替えに、様々な宝物(アイテム)を入手することができます。ここで特定の宝物を手に入れておけば、対応する攻撃に対して“おっとっと”で耐えられるようになるので、当たったら即ミスという事態は避けられました。なお、物々交換ステージで“とある”宝物を入手しておかなければ、道中に大事な隠しアイテムが出現しなかったり、一部ステージではゴールにたどり着けないこともあるので、適当に宝物を選んでいては先に進むことすら困難になります。

 3ステージごとに宿敵のフリーザウルスが登場しますが、倒すには対決が始まると同時に設置される4本の杭の上で3回ジャンプするか、物々交換ステージでゲット出来るガンを20発当てなければなりません。フリーザウルスとペンギンくんの距離が近いため吐く炎がよけづらく、しかもヒットすると一発ミスとなってしまうため、杭を踏むよりもガンで攻撃するのが安心安全でした。

 こうして無事に24ステージをクリアするとエンディングが待っているのですが、ハッピーかバッドかは、それまでのプレイヤーの行動次第。果たして、あなたはハッピーエンドを見ることができるでしょうか?

各ステージごとに一定距離を通過すると出現するハートを取ると、様々な効果が発揮されます。覚えておきたいのは、イエローのクラッシュ(一定時間無敵)と、ブルーの筋斗雲(空中を飛べる)です。

 今作は、普通にプレイしているだけではコンティニューができなかったり、ノーヒントの隠しアイテムやマルチエンディングの採用など、80年代をギュッと詰め込んだ感じに仕上がっているため、前作に比べて難易度が大幅に上がっています。これを、ヒントもナシにハッピーエンドでクリアできた人は、周りに自慢しても良いかもしれません(笑)。

 余談ですが、本作はあの小島秀夫氏がコナミで最初に関わった作品だそうで、「(夢大陸アドベンチャーが)最初の仕事です。企画のサポートでアイデア出しを一ヶ月くらいしました。地下のスロットマシンやボス敵の倒し方等は僕のアイデアです。」と自身のTwitterでTweetをしていました。

3ステージごとに出現する、フリーザウルス。4本ある杭すべてを3回踏みつければ落とせますが、ガンで20発撃つほうが簡単です。倒したときのTIME下一桁が2、4、6、8の場合、その数だけチアペンギンが登場して応援してくれました。

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