ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

時空を越える演出が魅力の「タイムトンネル」、物語は前作よりも壮大なスケールで展開

パッケージは、写真が異なるなど複数の種類があったようです。MZ-700版は、あの特徴ある写真がパッケージにも使われているので、購入時には参考になったと思います

 当時の懐かしい広告とゲーム画面で、国産PCの歴史とノスタルジーに浸れる連載コーナー。今回は、「タイム」シリーズ第2弾となる「タイムトンネル」を取り上げます。

 ボンドソフトの名前を有名にした作品と言えば、「不思議の森のアドベンチャー」や「タイム」シリーズ1作目の「タイムシークレット」(過去の紹介記事はコチラ)など、ネコジャラ氏の作品が挙げられると思います。その後、満を持して発売された「タイム」シリーズ2作目が「タイムトンネル」でした。作者はもちろんネコジャラ氏で、移植やイラストなどをLEMI氏が担当しているのは前作同様です。

シリーズ2作目ということで気合いが入っていたのか、よく広告を目にしました。しかし、なぜかカラー版は一度も見たことがありません。なお、唯一PC-8801用だけディスク版が発売されていました

 「タイムシークレット」にてダナーク星人に対抗しうる武器を見つけ、宇宙へと飛び立った主人公。ところが宇宙船は隕石に激突、大破してしまい、何とか地球連邦の植民地惑星の一つである惑星ベガサイドの宇宙ステーションにたどり着きます。命は助かったものの、すべての持ち物を失ってしまった主人公ですが、その使命はダナーク星人の手から地球連邦を守ること。果たして、迎える結末は悲劇か、それともハッピーエンドか……

シンプルなタイトル画面ですが、待っていた続編が発売されたということで、当時はとにかくワクワクしたものです。一部機種では、登場人物たちが描かれた後にタイトル画面となります

 パッケージに「初めて世に問うマルチプロセス・マルチエンディングのアドベンチャーです」とあるように、道中の過程は一通りではないし、エンディングも複数用意されているため、アドベンチャーゲームにありがちな“一度エンディングを迎えてしまうとおしまい”というわけではなく、何度も遊べるような工夫がなされていました。画面数は140、登場人物21人と、テープ2本の容量を活かした、壮大なスケールで物語が進んでいきます。攻略方法も一本道では無いため、先に進んではアイテムを手に入れて以前のシーンへ戻り道具を入手するなど、かなり考えさせられる仕組みになっているのも良く出来ている点と感じました。テープ2のロードがちょくちょく入るので、待たされる感はありますが……。

ゲーム画面は1作目「タイムシークレット」と同じく、画面の左上領域を使用して描かれます。色数が限られている機種でも塗り方を工夫し、美しいCGにしているのが特徴です
コマンド入力式ではありますが、頻繁に使用するものはファンクションキーに登録されているので、単語探しで悩むということはそれほど多くは無いと思います。複数用意されている道中のクリア方法とエンディング、すべて見られるでしょうか

 コマンドは選択式ではなく入力方式を採用していますが、画面が切り替わるごとに使用されそうな単語が自動でファンクションキーの5番目へ割り当てられるため、思った以上に楽に進めることができます。ただしカナ入力なので、ローマ字入力に慣れている人にはツラいかもしれません。

 本作の見所は、タイムワープする際の演出と、美しい女性・エリーゼでしょう。タイムワープする際は、本作のタイトル通りにタイムトンネルを使用しているエフェクトがアニメーションで描かれるのですが、PC-8801版やX1版などではパレット機能を使いワープしている雰囲気を醸し出してくれます。初めて見たときも、今回も、思わず感嘆の声が出たほどでした。

MZ-700版はテキスト画面での描画なので、一瞬にして表示されます。非常に快適にプレイ出来るだけでなく、ワープシーンや建物などのグラフィックのクオリティは高いです。ぜひ、エリーゼとのハッピーエンド画面を見て欲しいものです

 ところが、表示できる色数の少ないPC-8001mkII版ではかなり簡易な表現を採用しているため、今ひとつ盛り上がらないのが惜しいところです。ちなみに、アスキーキャラクターで画面を構成しているMZ-700版でのワープシーンですが、画面構成はPC-8001mkII版に近く、雰囲気はX1版ライクな感じで思った以上に“ワープしている”感じが出ていて盛り上がります。

 今プレイしても十分に面白いのですが、続編となる3作目が製作されなかったのが非常に残念でなりません。実機でプレイするのであれば、瞬間表示で処理の早いMZ-700版か、効果音で賑やかしてくれるX1版をオススメします。

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