ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

マップ構成が新鮮だったハドソンソフトの『スーパーマリオブラザーズスペシャル』

発売されたのは、PC-8801mkIISR版とX1版のみです。中央に描かれているマリオは、ファミリーコンピュータ版『スーパーマリオブラザーズ』のパッケージとほぼ同じです。右下には、帽子を脱いでる珍しいマリオの姿も。

 当時の懐かしい広告とゲーム画面で、国産PCの歴史とノスタルジーに浸れる連載コーナー。今回取り上げたのは、任天堂作品を積極的に移植していたハドソンから発売されたビッグタイトル『スーパーマリオブラザーズスペシャル』のX1版です。

 1980年代中盤、ハドソンソフトは任天堂がアーケードやファミリーコンピュータで発売していたタイトルなどを、パソコンへと移植していました。中でも、さまざまな意味で有名になった作品が、今回取り上げた『スーパーマリオブラザーズスペシャル』ではないでしょうか。

タイトル画面です。右上に筆記体で燦然と輝く(?)Specialの文字が、パソコン版だけのオリジナルです。X1版は文字が白ですが、PC-8801mkIISR版は文字が黄色いので、若干見づらさがありました。

 パッケージ裏面には、このように書かれていました。「日本国中、大騒ぎ!! あのスーパーマリオがパソコンソフトになった。幼稚園児からおじいちゃんまで、日本中の人々を熱中のウズに巻き込んでいるスーパーマリオ。あまりの面白さに、仕事を忘れてしまったお父さん。ピーチ姫こそ理想の恋人と思い込んでしまったお兄さん。いまや“ピーチ姫を救え”が、みんなの合言葉になったのだ。マリオの行く手を阻む、さまざまな苦難や謎。そして次々と展開するワールド、たくさんの隠れキャラ。ファンタスティック・アドベンチャー、スーパーマリオの素晴らしさを、いまあなたもパソコンで体験する。」

WORLD1-1の1画面目と2画面目です。コンソール機版とほぼ同じなのは1画面目だけで、2画面目からは既に構成が違っています。これなら、『スーパーマリオブラザーズ』を遊び尽くした! という人でも新鮮な気持ちで楽しめるのではないでしょうか?

 ゲームの目的はコンソール機版と同じで、プレイヤーはマリオを操作し、各ステージ右端のゴールへたどり着かせることです。マリオは、ジャンプボタンを押した長さによって高さの変わるジャンプができるほか、もう一つのボタンでダッシュも可能でした。道中の「?」ブロックなどからは、取るとマリオが大きくなるスーパーキノコや、火の玉が撃てるようになるファイアフラワー、一定時間無敵となるスターなどのアイテムが登場するので、それらを利用してプレイヤーはマリオをゴールへと導きます。

ゴール地点のお城にはポールが建っていて、上に飛びつくほど高得点ボーナスがゲット出来ます。スコアの下一桁が特定数値の時にポールにタッチすれば、花火が上がることも。

 行く手を遮る敵は、一部を除き上から踏みつけることで倒したり気絶させられるほか、ファイアボールでも倒せます。逆に、敵に触れたりマップから落ちるなどするとミスとなりますが、マニュアルには「ミスについて:敵にかみついたり、炎などにぶつかった時(以下略)」と書かれていたほか、「スーパーマリオ・ファイアマリオは、敵にかまれても元のマリオに戻るだけで、プレイヤーダウン(ミス)にはなりません」ともありました。なんと、かみつき攻撃を行っていたとは……。

WORLD 1-2は地下面ですが、天井の上を走れば簡単に先へと進めます。WORLD 1-3は空中面で、移動する床などの上を上手に渡らなければなりません。ほかにも、WORLDが進むと水中面なども登場します。

 各ワールドが4つのエリアに分かれている部分などはファミリーコンピュータ版と同じですが、大きく異なるのがマップ構成でした。WORLD 1-1は、最初の1、2画面はほぼ同じなのですが、そこから先は完全なオリジナル構成になっているため、プレイすると非常に新鮮さを感じます。そもそも、ゲームタイトルに“スペシャル”と付加されているのですから、“スペシャルな仕様”としてマップが違うのは魅力の一つ、と今なら考えられますが、当時はスクロールしないことと相まって“何じゃこりゃ?”と思った人も多かったのではないでしょうか。ほかにも、土管から入る地下面の構成も、1画面ではなく2画面構成だったりするなど、あちこちで違いを見つけることができます。

各ワールドの最終ステージ最後には、ボスの大魔王クッパが待ち構えています。クッパにファイアボールを5発当てるか、背後にある金の斧を取ればクリアです。なお、コンソール版ではファイアボールを5発当てられたクッパは正体を現しますが、パソコン版では即座に点数が表示されるだけになっていました。

 発売時の対応機種はPC-8801mkIISRとX1シリーズでしたが、画面はコンソール版のように右から左へとスクロールするのではなく、両機種ともマリオが右端付近まで移動すると隣の画面へと切り替わる方式を採用していました。ただし、PC-8801mkIISR版が暗転後に次の画面が“パッ”と現れるのに対して、X1版では右の画面が“ズリズリ”と左へ移動してくる方式になっています。この仕様のために、PC-8801mkIISR版は非常に高難易度な仕上がりでした。本作は、PC-8801mkIISR以降対応にもかかわらずマニュアルに「ジョイカード(PC-8801、PC-8801mkIIでは使用できません)」とあるので、もしかすると当初はPC-8801/PC-8801mkII/PC-8801mkIISR対応版として進んでいたのかもしれません。

何も無い場所に隠しブロックが仕掛けられていたり、とあるブロックを叩くとツタが伸び、それに飛びつくと空中ボーナスステージに行くことができたりと、この辺りはコンソール機版に似ています。空中ボーナスステージでは、あのBGMにノりながら雲に乗って移動しつつコインが取り放題!

 また、X1版はジョイカードなどがあればX1シリーズでプレイすることもできますが(キーボードでの操作は不可)、BGMのテンポがバラバラになってしまったり、所々で処理が重くなってしまいます。しかし、X1turboシリーズ以降であればキーボードでプレイ出来るだけでなくBGMの問題も解決されているので、かなり快適に遊ぶことが出来るでしょう。

当時の広告を探しましたが、“近日発売予定”というパターンのみが見つかり、発売後には掲載されていないようです。ちなみに、ハドソンの広告ページは本作発売直後から、BEEカードのバージョンへと切り替わっています。

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