ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

ゲームデザイナー 鈴木銀一郎氏が手がけた『モンスターメーカー』

カードゲーム版『モンスターメーカー』に登場する、お馴染みのキャラクターたちが描かれたイラストを、パッケージに採用しています。ディアーネよりルフィーアが目立っているイラストというのは珍しいかもしれません。

 当時の懐かしい広告とゲーム画面で、国産PCの歴史とノスタルジーに浸れる連載コーナー。今回は、いつもよりも若干新しい1993年発売のタイトルとなりますが、2021年1月6日(水)に亡くなられた鈴木銀一郎さんを偲び、WIZより発売されていたPC-98シリーズ向けソフト『モンスターメーカー』を取り上げました。

 『モンスターメーカー』というカードゲームがデビューしたのは、1988年のことです。有限会社翔企画の取締役にしてゲームデザイナーである鈴木銀一郎さんがゲームデザインを手がけ、イラストを九月姫さんが行ったこの作品は、シンプルにして奥深いルールと可愛らしいキャラクターがマッチしたことで大ヒットを飛ばし、カードゲームブームの火付け役ともなりました。

 その後も多数の続編や派生作品などがリリースされていきますが、残念ながら鈴木銀一郎さんは2021年1月6日(水)、老衰により永眠されました。今回取り上げたのは、そんな鈴木銀一郎さんがゲームデザインを手がけたうちの1作品となる『モンスターメーカー』を題材として、PC-9801向けに作られたカードゲーム『モンスターメーカー』となります。

発売前に掲載された広告ですが、このイラストがそのままパッケージ絵として使われているのが分かります。11月発売予定と書かれていますが、リリースされたのは1992年12月下旬から1993年1月上旬にかけてのようです。

 カードゲーム版のルールをザックリ説明すると「プレイヤーの人数は2~6人(3~4人が最適)。手札にある回廊カードを場に出していき、それが100p(パーチ)を越えたらお宝の在処に到着、お宝をゲット→復路は往路と同じ数値になるよう回廊カードを出して、ピッタリ戻ることができれば無事凱旋」というものです。

 カードの種類は回廊カードの他に、道中を邪魔することが出来るモンスターカード、それを倒せるキャラクターカード、そして罠などの特殊カードがありました。

最初に主人公を選ぶシステムは、カードゲーム版にはない本作だけの要素です。もう一つの特別な要素が、プレイ中にセーブが行えることです。10分だけ遊んで続きは明日また、ということができるようになりました。

 まずは手札から回廊カードを出していき、距離の合計が100pを越えることを目指すのが最初の目標となるのですが、複数人でプレイしていれば当然ながら他プレイヤーからの邪魔も入るわけで、他の人のターン時に回廊カードの先にモンスターカードを置かれてしまうと、それを排除しない限りダンジョンの先に進む(=回廊カードを出す)ことが出来なくなります。そんなときは、手持ちのキャラクターカードを1枚(場合によっては2枚や3枚)出して、モンスターに戦いを挑むのです。戦闘方法も極めてシンプルで、カードに“5D+3”とあれば、6面ダイスを5つ振って出た目の合計に3を足し、それがモンスターカードに書かれている数値(HP)よりも多ければ勝利してモンスターカードを排除できる、という仕組みです。

表示されている手札8枚の中から1枚を選んで、アクションを起こしていきます。回廊カードを出してダンジョンを進んでいくのが基本ですが、相手の邪魔をするのも重要に。ちなみに、往路と復路ではBGMが変わります。

 こうして回廊カードを100p以上にすると、お宝の在処に辿り付いたということでトレジャーカードを引くことが出来ます。このときにゲット出来たポイントが、“無事に帰ることが出来れば”獲得できました。

 復路は、往路と同じ距離を出さなければ帰り着けないというルールが新たに増えるため、ライバルの邪魔だけでなく回廊カードにも悩まされることとなります。こうしてプレイを重ねていき、一番多くの賞金を集めた人が勝ちとなります。

モンスターカードを出されてしまった時は、キャラクターカードで戦いを挑みます。ダイスはコンピュータが自動的に振ってくれるので、カードゲーム版のときは無くしてしまいがちだったダイスを失うことはありません(笑)。他の方法として回り道カードを出せば、モンスターのいる場所を回り道したということで、戦わずにモンスターカードを排除できます。

 これらのルールをそのまま適用して、プレイヤーvsコンピュータ3人という形で再現したのが本作『モンスターメーカー』でした。ほとんどの部分がカードゲーム版『モンスターメーカー』と同じですが、PC-9801版だけのオリジナル仕様として、最初に表示される8キャラクターから1枚を選んで主人公を決めるという要素が入っています。

カードゲーム版でのプレイ風景(イメージ)です。プレイヤーはこのように回廊カードを並べていき、モンスターカードで邪魔する場合は回廊の先頭部分にそのカードを配置しました。

 その後の展開は、カードゲーム版と変わりません。プレイヤーのターンで、画面に表示された8枚の手札から1枚を選び出していきます。他プレイヤーからモンスターカードを出されたときは、それを排除すべく自分のターンでキャラクターカードを選ぶのですが、1枚選択すると“続けて選びますか?”と聞かれるので、キャラクターカード1枚で戦う場合は“いいえ”を、追加する場合は“はい”を選んでカードを追加するのが若干の違いです。なお、回り道カードを出せば、戦わずしてモンスターカードを無効にできました。

「モンスターメーカー」シリーズは数多く発売されていますが、筆者の手元にあった関連アイテムを撮影してみました。一時期はテレビアニメ化という話もあったと、翔企画から発売されていたムック『RPGマガジン』でのインタビュー記事にて、鈴木銀一郎さんが語っています。

 基本的にはカードの引きの良さと、いかにして上手にライバルへの妨害工作を行うか、が軸になるのですが、人間相手の場合はかなり熱くなるものの、コンピュータ相手だと“それなりかな”という思考ルーチンなので、そう手強くはありません。とはいえ、通常は複数人を集めないとプレイ出来ないカードゲームを、一人でも楽しむことができるというのが大きなポイントかと思います。ちなみに、ゲームクリア時にとある条件を満たしていると、九月姫さん描き下ろしの特別なマルチエンディング画像を見る事ができます。

 最後になりましたが、鈴木銀一郎さんのご逝去を悼み、哀悼の意を表します。

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