ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

あの心躍らせるBGMで一気にハイテンションに『ギャラックス』

他機種版では、集中線のような感じで描かれていた背景ですが、m5版はいわゆる“マケドニア背景”のような感じになっています。タイトルも『ギャラガ』ではなく『ギャラックス』で、パッケージは「Galax」ですがゲーム画面では「GALAX」と表示されていました。

 当時の懐かしい広告とゲーム画面で、国産PCの歴史とノスタルジーに浸れる連載コーナー。今回は取り上げるのは、1982年末にソードから発売された、ナムコの有名なタイトル『ギャラガ』をm5へと移植したタイトル『ギャラックス』です。

1982年12月に発売された雑誌に掲載の広告です。この時点でナムコ移植タイトルは発売済み、他のカセットも12月から順次発売とありました。

 1981年に、アーケードゲームとしてデビューした『ギャラガ』は、前作にあたる『ギャラクシアン』の続編としてゲームセンターで大人気を博すこととなります。しかし、『ギャラクシアン』はパソコン雑誌などに勝手移植のプログラムリストが掲載されることはあっても、『ギャラガ』を勝手移植した作品はほとんど見かけることはありませんでした。

 当時は、「やっぱり『ギャラクシアン』と違って『ギャラガ』は(何となく)難しいことをしているから、誰かの勝手移植は無理なのかな……」と考えていたのですが、1982年の冬にソード社から登場したパソコン・m5用のタイトルとして、12月に発売されたのが『ギャラガ』ならぬ『ギャラックス』でした。起動時に表示されるタイトル名は違っていますが、プレイすれば中身はまごうことなき『ギャラガ』ということが分かります。ちなみに、概要については説明書ではなくパッケージ裏に、以下のように書かれていました。

タイトル画面は非常にシンプルで、タイトルは■を並べて描かれていました。クオリティに「うーん」と思ったのですが、この直後にあの聞き慣れたBGMが流れてきたので、そのギャップで思わず感動しました(笑)。

 頭上から列をなしていた敵は突如反転し、編隊飛行。そして奇怪な急速旋回攻撃。敵は極悪凶暴な異星人“ギャラックス”だ!一方、迎え打つ我がファイター機も2機合体が可能な最新型。敵の体当たりや爆弾攻撃を避けながらミサイルを発射するスペースアタック!「ギャラックス」

ギャラックスは、アーケード版と同じく上下左右から出現します。一定の軌道を描きながら飛行後に定位置へと整列、出揃ったところで攻撃を開始してきます。

 登場キャラクターですが、アーケード版などとは違い最上段の水色キャラが“ギャラガー”、アーケード版では“ゴエイ”と呼ばれていた赤いキャラクターは“中型爆撃機”、同じく青色の“ザコ”は“小型爆撃機”と設定されています。ただし自機は変わらず、ファイターとなっていました。

 プレイヤーはファイターをコントローラーまたはキーボードで操作し、極悪凶暴な異星人ギャラックスを倒すのが目的です。敵は画面上または左右から現れ、一定軌道を飛行後に画面の定位置に待機。すべてのギャラックスが出撃すると、いよいよ敵の攻撃開始です。

 中でもギャラガーは、護衛の中型爆撃機を伴って攻撃を仕掛けてくるため、早めに対処しないと危険なことに。しかし、中には単機で降りてきたかと思うと画面中央で突然停止して、画面下部めがけてトラクタービームで攻撃してくるものもいます。これにファイターが接触すると、そのままギャラガーに連れ去られてしまい敵の捕虜にされるのでした。

単機で飛んでくるギャラガーは、一定ラインまで降りてくるとトラクタービームを照射します。これに触れると、自機がさらわれて捕虜に。しかし、次に飛来したときに撃ち落とせば、ファイターを取り返せるだけでなくドッキングして2倍の攻撃力になりました。横幅が広がる分、当たり判定も大きくなる諸刃の剣ですが。

 しかし、ファイターを伴って降下してくるギャラガーを撃てばファイターを助け出せるだけでなく合体して、デュアルファイターとなり攻撃力が大幅にアップ! ただし、敵爆撃機のミサイル攻撃や体当たりを受けるとファイターを失い、ストックがなくなるとゲームオーバーとなりました。

 基本的なルールは、アーケード版の『ギャラガ』とほぼ同じ。細かいところを見れば、隊列が膨らんだり縮んだりしないほか、ゲームオーバー後に命中率などが表示されない、トラクタービームに吸い上げられているときにショットボタンを押しても回転乱れ撃ちができない、などの相違点があります。

ファイターが捕虜の状態で編隊にいるときにギャラガーを撃ってしまうと、その後はファイターが敵として襲ってきます。終わらせるには、撃破するしかありません。

 ありがたい部分としては、自機のショットスピードがアーケード版よりも速いため、横画面と相まってシングルファイター状態でもそれなりに強いというのがありました。デュアルファイターになればなおさらで、敵が出現しきる前に敵弾を撃たせることなく全滅させることも可能です。

 決定的に違うのは、自機を捕虜にしたギャラガーを、編隊上部に待機しているときに撃ってしまった後の挙動でした。アーケード版であれば、ファイターが一度攻撃してきた後に消えて次の面で現れます。しかし、本作ではファイターが延々と攻撃し続けてくるので、終わらせるためには泣きながら自機を撃ち落とすしかありません。さすがにこれは、悲しさMAXでした。

先の面に進むと、敵の移動速度はアップし攻撃は激しくなります。自機のショットスピードは速く比較的連射が効くので、当たり判定を小さくするべくシングルファイターのままプレイし続ける、というのも攻略方法の一つでした。

 もう一つの大きな違いが、『ギャラガ』の目玉ともいえるチャレンジングステージが入っていないことでしょう。これがあることで、最初を除けば3ステージごとに気分を変えてプレイできるのですが、本作では緊張感を解きほぐすことは許されませんでした。

 アーケード版とは色々と違う部分も多い本作ですが、それでも1981年9月にゲームセンターで稼働を開始した作品を、どの機種よりも早く約1年少々後に移植したというのは、素晴らしい部分だと思います(MSX版は、1984年5月のリリース)。それ故と思えば、上記の各種仕様も「まあ、しょうがないか」と考えられるでしょう。『ギャラガ』をプレイしたことがある人には、何らかの機会に遊んでもらいたい1本です。

ゲームプレイを動画で撮影しました。これを見てもらえれば、雰囲気はつかめるかと思います。

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