ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

ハドソン版ギャラクシアン?様々なハードで遊べた『ベジタブルクラッシュ』

この時期のハドソンお馴染み、カセットテープケースをそのままパッケージとして採用したパターンとなっています。ロード方法もカセットテープに書かれているので、マニュアルなども同梱されていません。

 当時の懐かしい広告とゲーム画面で、国産PCの歴史とノスタルジーに浸れる連載コーナー。今回取り上げたのは、1983年2月にハドソンが発売したシューティングゲーム『ベジタブル・クラッシュ』のX1版です。

初登場した1983年3月号の広告では、リストの一覧に名前だけが載っています。翌4月号では、MZ-700用ソフトと並んで写真付きでX1用ソフトとして紹介されていました。

 1980年代早くから多数のソフトを作り発売していたハドソンですが、時間の経過と共に大量生産から少数精鋭へと少しずつ舵を切り始めます。1982年から83年はパソコンにとってのカンブリア紀と言える年で、それまで以上に多数のパソコンが発売されました。すると、ハドソンも発売するソフトの種類を徐々に減らして1本ごとのクオリティを高めつつ、多数の機種で発売するような方向へと進んでいきます。

 そんなタイミングで登場したソフトには、『あなたは名カメラマン』や『バブルクンド1999』『JUSTICE KNIGHT』といったタイトルがありますが、それらと同じ時期にリリースされたのが今回取り上げた『ベジタブル・クラッシュ』でした。1983年1月18日に発売された月刊『Oh!MZ』のハドソン広告ページには載っていませんでしたが、翌月号に“新発売!”として掲載されていたことを考えると、発売されたのは1983年2月頃だったと思われます。

タイトル画面は用意されていません。ロードが終わるとこの画面になり、スペースキーを押すとゲームが始まりました。

 本作のパッケージですが、前年11月にデビューしたX1のローズレッドモデルが中央に置かれているだけで、テレビにゲーム画面写真のはめ込み合成もありませんでした。そのため、どのようなゲームなのかはソフト単品からは判別できません。この時期のユーザーは、各種パソコン雑誌に出稿したハドソンの広告を見て注文書と代金を現金書留封筒に入れて送るという、通販のような形式でソフトを購入することも多かったので、掲載広告に手がかりが載っていれば問題無かった、という一面もあったと思われます。

 本作パッケージには製作者の名前が入っていますが、書かれている“S.NAKAMOTO”はもちろん、後に『デゼニランド』や『サラダの国のトマト姫』を手がけて一躍有名人となる、竹中コンビの“中”こと中本伸一さん。本作タイトルは、月刊『ログイン』1984年11月号のインタビュー記事内で中本さんが昔から「ダイコンやネギに触れると湿疹ができる(かもしれない)というほどの野菜嫌い」というのが元ネタで、“嫌いなベジタブル(野菜)をクラッシュ(破壊)する”というところから名付けられていました。

自機のショットはフォークになっていて、これを敵の野菜に当てれば倒すことができます。敵の数は全部で30で、2パターンに表情が変わる顔グラフィックが用意されているのがユニークなところでした。

 『ベジタブル・クラッシュ』は初期の作品ということで、パッケージにはマニュアルも同梱されていないだけでなくストーリーも用意されていません。広告によると「にんじん君、なす君、りんご君が青虫をまき散らしながら襲撃してくる。コミックな野菜たちの顔に笑ってるとやられちゃうぞ」とあり、これがストーリーの代わりと言えるでしょう。

 プレイヤーは自機を左右に操作し、青虫を避けながら画面上部で編隊を組んでいるにんじん、なす、りんごを、フォークを撃ち込んで全滅させるのが目的となります。この時期にゲームセンターへ出入りしていた人ならば一目見て分かったと思いますが、本作はハドソン版『ギャラクシアン』とも言える作品でした。ただし、『ギャラクシアン』の縦長自機と違い、本作の自機は思ったよりも幅が広く当たり判定が大きいので、慎重な操作が求められます。

ベジタブルが隊列を離れると、反対の向きになって自機を襲ってくるという、細かい部分の演出にも凝っていました。

 敵編隊は、上部のにんじんが2つ、その下のなすが4つ、更に一段下にもなすが7つ、そして下の2段にりんごが8つと9つの、合計で30の野菜が並んでいました。上空に待機している間、ベジタブルたちは攻撃をしてくることはありませんが、時間経過とともにりんごやなす、そして最上部に位置しているにんじんが直下のなすを引き連れて体当たり&青虫攻撃を仕掛けてきます。このときに倒すとなすとりんごは得点が倍になるほか、にんじんはなすを2つ倒してから破壊すると800点がゲットできました。ただし、野菜の攻撃は思った以上に激しいほか、横画面のため敵との距離も近く、自機にかなり接近した状態で青虫を撃たれることも……。そのため、気づいたときには被弾してミスになっていたりするので、とにかく先手必勝で敵の数を減らすのがコツとなります。

なすをひきつれたにんじんは、高得点ゲットのチャンス。しかし、敵が撃ってくる青虫の数も大量なので、なかなか思ったようにはいきません。なお、敵の弾はあくまでも“青虫”であって、似たような“何か”ではありません(笑)。

 自機のショットは画面内に1発しか撃てませんが、飛行速度が速いのとスペースキーを押しっぱなしで連射してくれるので、サクサクと敵を倒すことができました。この時期のタイトルとしては爽快感があったほか、キャラクターもカラフルで野菜には愛らしい顔が描かれていたこともあり、それまでに各種パソコン雑誌などで発表されていた『ギャラクシアン』っぽいタイトルと比べても、かなり目を惹くような完成度だったと言えたのではないでしょうか。『ギャラクシアン』ライクな“ブゥンブゥン”という効果音も流れていたので、そのような演出を含めて「自宅でギャラクシアンを遊んでいる」ような気分を味わうことができました。

 『ベジタブル・クラッシュ』はマイコンソフトから『ギャラクシアン』が発売されなかったMZ-2000/2200やFP-1100、S1、PASOPIA7、ベーシックマスターレベル3 Mark5といった機種でも発売されたこともあり、それらの機種を所有していて『ギャラクシアン』っぽい完成度の高い作品を遊びたかった人にとっては、ありがたいタイトルだったかと思われます。

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