ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

「みんなのゴルフ」開発キーマンが世に送り出した『ワールドゴルフ』

女子プロゴルフを題材としているわけではありませんが、パッケージに大きく描かれているのは女性のゴルファーでした。全体的に、女性キャラクターのイラストが目立つパッケージとなっています。

 当時の懐かしい広告とゲーム画面で、国産PCの歴史とノスタルジーに浸れる連載コーナー。今回取り上げたのは、1985年6月下旬にエニックスから発売されたゴルフゲーム『ワールドゴルフ』です。

発売直前となる1985年6月号のパソコン雑誌掲載広告では「6月末発売」との予告が書かれていました。最初はPC-88版のみが発売され、移植中との触れ込みだったFM版は10月に、X1版は一時音沙汰が無くなるものの、1986年1月下旬に発売となっています。

 マイコン・パソコンゲームの黎明期から存在したジャンルにシミュレーションがありますが、中でもゴルフゲームは時代を問わずに一定の人気があったことで、現代に至るまで多数の作品が作られています。その最初期に発売されたタイトルは、画面はシンプルにアスキーキャラクターを使って描かれたり、パターゴルフを拡大したようなコースで操作もショットの強弱のみだったりと、できることが限られていました。

 そんな時代から少しずつ進化してきたゴルフゲームですが、世の中にゴルフゲームブームを巻き起こした作品の代名詞とも言える「みんなのゴルフ」シリーズ開発のキーマンとして活躍した人物・村守将志さんが生み出したタイトルが、今回取り上げた『ワールドゴルフ』です。村守さんは本作の前に『NO.1ゴルフ』という、自身にとって初となるゴルフゲームを生み出していますが、そちらはまたの機会に取り上げましょう。

ロード中には、黒バックにタイトルロゴが表示されます。パッケージではカタカナなのですが、ゲーム中に出てくるのは英語表記のみでした。元となったPC-88版は村守さんの名前のみですが、手元にあるFM-7版は移植者の河野清隆さんの名前も入っています。

 『ワールドゴルフ』が最初に発売されたのはPC-8801版ですが、後にFM-7版とX1版が登場しています。ゴルフゲームなので、これといったストーリーは用意されていません。プレイヤーはトッププロ30人との、スリリングなトーナメントゴルフを戦っていくことになります。18ホールを素晴らしい成績で回り、エニックスオープンの覇者になることはできるでしょうか?

 本作は、ディスク版とテープ版では収録されている項目が少々異なります。ディスク版の場合、30人のプロとトーナメント形式でプレイするTOURNAMENT MODE(トーナメントモード)、好きなホールを練習できるTRAINING MODE(トレーニングモード)、保存してあるトーナメントモードのスコアをロードできるTOURNAMENT DATA LOAD、そしてこれまでの記録を表示できるRECORD INDICATIONが用意されていました。トーナメントモードの途中では、3回までであれば好きなタイミングで保存でき、メニューのTOURNAMENT DATA LOADでロードすればトーナメントを再開することができます。

起動するとメニュー画面が表示されますので、スペースキーでモードを選択してリターンキーで決定します。テープ版の場合、選べるのは2つのモードのみでした。

 テープ版では、用意されていたのはトーナメントモードと、後述するCHALLENGE EXTRAHOLE(チャレンジエキストラモード)の2つのみで、トーナメントモード中にデータのセーブは行えません。ただし、システムや収録されているホール数は同じでした。

 『ワールドゴルフ』の画面は、左半分が各ホールのグラフィック、右半分がコースに関するデータとショット関連グラフィックで構成されています。ショット方法は簡単で、最初にクラブを選択してテンキーの5で決定後、ショット方向をテンキーの4と6で調節して5で終了後、画面右にLOWとHIGHと描かれた四角い枠の中に矢印が表示されるので、これをテンキーの2468で上下左右に移動して球質を選択。このとき、上に移動させれば打力アップ、反対ならダウン、枠の左側に矢印を動かすと左に、反対なら右へ曲がるショットが打てます。

ショットオペレーションは5キーで決定するごとにアイコンが随時変わっていくので、マニュアルを読まなくても直感的にわかります。四角い枠が表示される部分では、左右でボールの飛ぶ方向、上下でパワーの強弱調整となっています。

 ここまで決定するとインパクト(ショット)となり、スペースキーを押すとゲージ右側のカーソルが上へと移動し下がってきますので、緑のゾーン内でタイミング良くもう一度スペースキーを押すことでショットとなりました。カーソルが緑ゾーンの上の方で決定すると高い弾道でバックスピンのかかる、下なら低い弾道でランの長いトップスピンのかかるショットが打てます。ただし、赤いゾーンでヒットしてしまった場合はミスショットとなり、ボールはあらぬ方向へ!?

 グリーンオン後は、パターでのショットとなるのですが、このときはゲージの上ほどショットパワーが強く、下なら弱くと変わりました。これらの操作方法をマスターして、さらには画面に表示されている風向きと強さ、グリーンオン後は芝目を参考にして、なるべく少ない打数で18ホールアウトするのが目的となります。

ボールがグリーン付近に落ちると、グリーン周りの拡大グラフィックに変わります。画面上部に芝目が表示されるので、それを手掛かりにショットを決めてカップインさせましょう。

 カップの位置や芝目はプレイするたびに異なるため、一度攻略したからといって次のプレイでも同じく攻められる……という甘い考えは通用しません。なお、ショット後に残り距離数などは表示されないため、グリーン中央から200mの位置に赤い杭、150mの地点に青い杭、100m地点に黄色い杭がそれぞれ打たれているので、それらを参考に自ら計算して最適なクラブを選ぶ必要があります。本作でプレイヤーが所持しているクラブは1W、3W、4W、2I~9I、ピッチングウェッジ、サンドウェッジ、パターとなっていました。

 『ワールドゴルフ』の特徴は、1人だけではなく最大で3人までのプレイが楽しめること、ゴルフコースの微妙なアンジュレーションを完全にシミュレートしていること、そして美しいグラフィックなどが挙げられるでしょう。トーナメントモードも、同時にラウンドしているトッププロ30人の成績が1ホールごとに表示されるので、この時期の作品としては現実感がありました。弾道計算などもかなりリアルにできているため、実際にゴルフをプレイしている人の方が場合によっては良いスコアを記録することもあるかもしれません。

ボールの挙動やコースのリアルさに関しては、それまでに発売されていたゴルフゲームの中でもトップクラスを誇っていました。コースのグラフィックも美しく、当時としては頭一つ飛び出していた感じです。

 トーナメントモードですが、18ホール終了時にベスト10以内に入っていればコースの会員として認められました。すると、トレーニングモードでエキストラホールの使用許可が下りて、19~27ホールを遊ぶことができるようになります。10位の場合は19ホールしか選べませんが、1位になれば27ホールまでのエキストラ9ホールすべてを堪能できました。

 このエキストラホールですが、ディスク版ではトーナメントモードで上位に入賞しないと体験できないものの、実はテープ版なら最初からチャレンジエキストラモードを選べばエキストラホールをプレイすることが可能です。とはいえ、トーナメントモードでそれなりの成績を残せるほどの腕がなければ、いきなりラウンドしてもカップインはほど遠く、下手をすれば表示限界の+99までスコアが崩れてしまう可能性もありますが……

 ユニークなのは、マニュアルの最後にQ&Aコーナーが掲載されていることでしょう。ここには、ボールが木の根元にある場合の脱出方法や、スコアをアップさせるための秘訣が掲載されていました。特に、実際のゴルフでも大事になってくるアプローチショットに関しては、チップショットやピッチ&ラン、バックスピンを使うことを勧めていて、パワーだけで解決するのではなくボールを転がすことの大事さを解説しています。このあたりは、実際にゴルフを嗜んでいる人であれば大きく頷く部分かもしれません。

エキストラホールをいくつか掲載してみました。「そんな無茶な!」と思わず叫んでしまうほどの難解なコースだらけですが、エキストラホールをアンダーパーで回れるようになれば、あなたも立派な『ワールドゴルフ』プロに。

 本作は好評を博し、1987年に続編となる『ワールドゴルフII』、そして1990年に『ワールドゴルフIII』とシリーズ化される人気タイトルとなりました。これらも、近いうちに紹介したいと思います。

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