ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

上級ゲーマー向け本格派RPG『ファンタジアン』

ラスボスのビルアデスと対峙するパーティが描かれたパッケージで、帯には難易度として★★★★★★が表示されています。これは、クリスタルソフトが同時期に発売していた『夢幻の心臓』の★★★★★や『リザード』の★★★★より多く、非常に手強いことを表していました。ちなみに、現代では同じ名前のタイトルがいくつかありますが、私たち世代にとっての『ファンタジアン』はコレでしょう。

 当時の懐かしい広告とゲーム画面で、国産PCの歴史とノスタルジーに浸れる連載コーナー。今回取り上げたのは、1985年1月下旬にクリスタルソフトから発売された本格派RPG『ファンタジアン』です。

発売されたのはX1版とPC-88版、PC-98版、PC-8001mkIISR版と4機種ですが、PC-88版とPC-98版はいわゆるBEEP音、X1版はPSG音源でそれぞれ効果音が鳴ります。しかしPC-8001mkIISR版だけはFM音源を使用した豪華な効果音となっていました。

 最初期のRPGといえば、BPSの『ザ・ブラックオニキス』やT&E SOFTの『ハイドライド』、クリスタルソフトの『夢幻の心臓』や『リザード』、ファルコムの『ドラゴンスレイヤー』、光栄の『ダンジョン』、そしてコスモス・コンピューターの『カレイジアスペルセウス』のように、比較的シンプルな内容となっていました。それゆえ、まだ目新しいジャンルだったRPGでもユーザーはトライしやすかったのではないでしょうか。

 しかし、少しかじって面白さが分かるようになると、より歯ごたえのあるゲームで遊びたくなるというのがプレイヤーの心理というもの。そんなRPG上級者や、シンプルなRPGでは物足りなくなった人を対象に、クリスタルソフトが1985年1月下旬に発売した本格派RPGが『ファンタジアン』でした。広告ページでは「本格的と銘打つには、あまりにも初心者向けのR・P・Gが多すぎた。今までの初心者向けR・P・GやR・P・Gもどきでは満足できないという上級ゲーマーの方々をクリスタルソフトがファンタジアンの世界へ誘います」と謳い、これまでに発売された並み居るRPGでは満足できない上級者のためのタイトルとして宣伝していました。そんな本作に用意されたストーリーを、以下に掲載します。

本作の広告は、いくつかのパターンがあるようです。キャラクターメイキングをイメージした広告は、なかなか攻めたバージョンかもしれません。

 戦いが、遠い過去のものとなった地、ルイザード。人々が平和を享受していた時代は、長くは続かなかった。西方より現れた魔王ビルアデスが闇の生き物を従え、ルイザードにあるガイヤール城へと攻め込んできた。時の国王エルベスII世は、東方の大賢者ガザールに救いを求める。ガザールと5人の弟子達は魔王ビルアデスを討ち滅ぼすべくガイヤール城へ馳せ、その戦いは7つの昼と7つの夜の間続いた。5人の弟子達は息絶え、大賢者ガザールもまた死を待つばかりになったものの、魔王ビルアデスは倒されたかに思えた。

 しかし、大賢者から国王エルベスII世が聞かされたのは、恐ろしい事実だった。魔王は瀕死だが、城の南西にある遺跡の地下に潜み力の回復を図っていると。討ち滅ぼすには、遺跡の地下深くに魔王によって封じられた「Elven Seed」の力を解き放つしかない。そう告げ、ガザールは静かに息を引き取った。これを受けて国王はビルアデスを滅ぼすべく、ルイザードの地の果てまでも勇者を募ったものの、呼びかけに応じて集まった勇者はわずか。しかも全員が年若く未熟ではあったが、国の未来は彼らに託されることとなった。

ログイン85年3月号では発売直後に記事で取り上げられていて、そこではマニュアル表紙に掲載されている2名のスタッフのうち、“N.HONDA”さんことプログラマの本田直人さんが紹介されていました。

 プレイヤーは冒険に旅立つキャラクターを作り、ダンジョンに潜り鍛えながらマッピングして迷宮を踏破、地下深くに潜むビルアデスを倒したのちにElven Seedを解放することが目的となります。

 キャラクターメイキングは、日本では後に発売される『ウィザードリィ』と似たような感じで、名前の入力→種族選択→性別選択→ボーナスポイントの割り振り→職業選択と進みます。種族はHumanのほかHalfOrc、HalfElf、Elf、Dwalf、Halfling、Gnomeの7種類が用意されていて、Human以外はそれぞれ得手不得手の職業がありました。最初に選べる職業は戦士系のBattler、盗賊系のThief、修道士系のMonk、そして魔術師系のIllusionistとなっていて、レベルが最大になってから特定のアイテムを使用することで、上位職業のFighter、Robber、Magician、Clergyへと転職することができます。パーティは5人まで組むことができるので、全職業1人ずつ+もう1人という構成が無難でしょう。

 こうしてキャラクターメイキングが終わりパーティを組んだら、いよいよダンジョンへと潜ることに。プレイヤーを待ち受けるのは20×20の迷宮で、そこには数々の罠が仕掛けられています。上級者向けを謳っているだけあって、地下1階からワープポイントや落とし穴などが登場するほか、地下深くに進めば回転する床や毒ガスゾーンだけでなく、通過すると武器や防具が壊れてしまう場所までありました。

最初に、キャラクターメイキングを行います。種族や職業の特徴などはマニュアルに詳しく書かれていますが、男性女性どちらを選ぶかでも差が出てきます。また、特定の扉は盗賊系しか開けられないなどの制限もあるので、職業はまんべんなく揃えるのがオススメです。

 ダンジョン画面は3Dで描画されていて『ウィザードリィ』ライクな感じになっているため、マップを描くのはそう難しいものではありません。しかし、ワープポイントや毒ガスゾーンのような仕掛けが、プレイヤーのマッピングに障害として立ちはだかります。スタート地点は地下1階の左から10マス目上から11マス目なので、ここを拠点にパーティの位置が分かる魔法などのお世話になりながら、地道にマッピングを進めていきたいところ。

 ダンジョンを探索していくと、やがて敵に遭遇することになります。すると画面は一転して真上から見た戦闘フィールドへと変わり、パーティキャラクターが下に、敵が上に表示されます。戦闘はリアルタイムバトルとなっていて、素早い順にキャラクターに順番が回ってくるのですが、一定時間入力が無いと飛ばされて次のキャラクターへと操作が移ってしまうため、その前に操作しなければなりません。

 敵味方ともに一度のターンで動けるのは1マスのみなので、先のことを考えて移動させないと意外なところで仲間が移動の邪魔になったりしますので注意が必要です。なお戦闘から逃げたいときは、戦闘フィールドを囲う白いラインが見えない部分から画面外に全員が出れば逃走成功となりました。

ダンジョン内は、3Dで表示されます。地下1階からワープポイントやダークゾーンが出現するので、マッピングに手こずるかもしれません。大事なアイテムも拾えるので、くまなく回る必要があります。

 戦闘中はテンキー部分だけで操作が完結できるよう、工夫が凝らされています。キャラクターの移動は「2」「4」「6」「8」の各キーで、攻撃は敵に体当たりする方向に入力するか、飛び道具や単体魔法は「5」キーを押した後に「2」「4」「6」「8」キーで方向を選択でした。また、魔法使いと僧侶はレベルに応じた魔法が使えますが、序盤は修道士系の回復魔法が、中盤になると魔術師系の全体攻撃魔法がそれぞれ活躍するので、あらかじめマニュアルを読んで魔法を覚えておきたいところ。

 こうして経験値を稼いで城に戻り、経験値が一定以上になっていた場合は、寺院でHPをわずかでも回復させればレベルアップとなります。その時には、HPは確実に増えるのですが能力値は減ることもあるので、レベルアップ前のセーブを忘れずにしておき、納得いくまで何度でもやり直しましょう。

敵とエンカウントすると、画面がフィールドを真上から見た視点の戦闘シーンへと切り替わります。プレイヤーは順番が回ってきたキャラクターを操作するのですが、リアルタイムバトルなので一定時間が過ぎると自動的に次のキャラクターへと進んでしまいます。移動は一度に1歩ずつで、飛び道具や魔法は間に味方がいても素通りして敵に飛んでいきます。不意打ちを食らうと“BACKATTACK”と表示され、陣形がV字ではなく3枚目の写真のようにA字になるため、通常であれば後ろに位置している魔法使いなどのHPが少ないキャラクターが最前線に並びピンチに。

 レベルが最大の10になり、合わせて転職用のアイテムを所持していれば上位クラスへと転職が可能です。転職すれば装備できる武器防具が増え、魔法が使えるキャラは呪文がより強力になりました。ビルアデスを倒すためにも、何とかして転職はしたいもの。ただし、転職するとレベルは1に戻ってしまうので、再びレベルを上げるためにダンジョンを徘徊する必要がありますが……

 今回使用したのはX1用テープ版ですが、PC-8001mkIISR版と同じく最初に一括ロードしてしまうため、キャラクターのセーブロード以外はオンメモリで進行するので非常に快適でした。今プレイしてもなかなか面白いので、機会を見つけてぜひとも遊んでみてください。

戦闘が終了すると、宝箱が出ることがあります。盗賊系が開ければ問題無いのですが、それ以外の職業のキャラクターが開けると罠が発動することも。ゲットした経験値とお金はパーティメンバー全員へと均等に分配されますが、1人で潜ればどちらも独り占めできるため、あっという間に経験値もお金も貯まります。こうして1キャラだけ強くしてから下の階層に進むのも一つの手段でした。

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