ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

マイクロキャビンの隠れた名作アドベンチャー『ゴーストタウン』

舞台となるゴーストタウンとなった町が描かれています。まるで夕方のような空色のもと、人が住まない建物や枯れ木が描かれているため、非常に不気味な印象を醸し出していました。下段には、第1回アドベンチャーゲームコンテスト優秀賞受賞作品と書かれています。

 当時の懐かしい広告とゲーム画面で、国産PCの歴史とノスタルジーに浸れる連載コーナー。今回取り上げたのは、1984年9月18日にマイクロキャビンから発売された、隠れた名作アドベンチャーゲーム『ゴーストタウン』です。

コンテスト結果発表の広告は1ページを使っていて、そこには本作以外にも受賞した作品名が書かれていました。後に大ヒットとなる『は~りぃふぉっくす』のタイトルが、このときは『はーりぃ フォッX』だったのも分かります。翌月の雑誌にも広告が掲載されていましたが、以降は扱いが小さくなっていきます。

 1980年代前半は、さまざまなソフトハウスが一般ユーザーから作品を募集するというコンテストを開催していました。有名どころでいえばエニックスやポニカ、マジカルズゥなどがありますが、『ミステリーハウス』などのアドベンチャーで有名なマイクロキャビンもコンテストを行っていました。その発表が1984年9月18日に発売された工学社の雑誌『I/O』に掲載されていて、優秀アドベンチャーゲーム賞を獲得して発表同時発売となったのが、見並信孝さん作のX1用リアルタイムアドベンチャー『ゴーストタウン』です。そのストーリーは、以下のようになっていました。

 あなたの操縦していたセスナ機がエンジントラブルで荒れはてた無人の町に不時着してしまいました……。1台の車がすぐに見つかったのですがKEYがありません……。時間の径過とともに体力が減少してゆきます。食物や水もさがさなくてはなりません。また、一体どうやればこの町を脱出することが出来るんでしょうか……?(原文ママ)

オープニングでプロローグが語られた後、ゲームが始まります。ゲームはアドベンチャーパートと移動パートに分かれていて、アドベンチャーパートではコマンドを動詞+名詞で入力して進めていきます。使用する動詞はそれほど多くなく、難解な単語も少ないので簡単かと思います。

 プレイヤーは不時着時に壊れてしまったセスナ機から離脱し、ゴーストタウンとなった町を彷徨いながら知恵と勇気と推理力を駆使して、水、食料、その他の道具を探しながら町からの脱出を目指すのが目的となります。

 スタート画面を見るとわかるように、この時期のアドベンチャーゲームとしてはオーソドックスな画面構成になっています。マニュアルを読むと、丁寧にも最初のシーンの進め方として「“OPEN DOOR”と入力してください。するとドアが開きます。次に“F”とキー入力してください。家の中に入ることができます。この家の中に車の鍵がありますので探してください」と書かれていました。更に「車を探して“RIDE”と入力すると乗れますので、テンキーで車を注意深く運転してください」とあって、まずは最初の家から車の鍵を見つけ出すために行動する、ということがわかります。

 システムは、この時期お馴染みのコマンド入力式を採用していて、動詞と名詞を続けて入力するようになっていました。CAN OPENERなど一部の名詞は、入力時に「GET CAN OPENER」のようにスペースが2カ所に入るため違和感を感じるかもしれませんが、問題無く処理してくれるので大丈夫です。ただし、ハドソンソフトの『サラダの国のトマト姫』のような「GET WATER CANTEEN」といった使い方はできません。

移動パートでは、車を操作して道を進んでいきます。最初は満タンに入っているガソリンも走れば減っていくので、どこかで給油する必要があります。なお、車を降りる際にはエンジンを切ってから行動しないと、止まっていても“走っている車から飛び降りた”と判定されて即ゲームオーバーに……。

 スタート地点の家で車の鍵を入手出来れば、探索エリアが一挙に広がります。車に乗ると画面が真上視点からの3×3マス地図に切り替わり、そこに描かれた道路を移動して違う場所へと移動できました。とはいえ、ゴーストタウン内の全体像が分からないためマッピングは必須。しかも、車のガソリンにも限りがあるので、むやみやたらに移動しているとガソリンが無くなって立ち往生する危険性もありました。道路以外の場所に入ってしまうとガソリンを無駄に消費して元の場所に戻されるため、ショートカットなどはできません。肝心の車の燃料ですが、パッケージイラストに描かれているように町のどこかにガソリンスタンドがあるので、条件を満たしていればそこでの給油が可能です。

 コマンドを入力すると、画面左に表示されているパラメータTHIRSTY・喉の渇きとSTRENGTH・お腹の空き具合の数値が、さらには車を移動させたときはガソリンも合わせて一定数減少していきました。これが0になってしまうとゲームオーバーなので、最初は探索プレイに徹するのが基本となります。『ゴーストタウン』はセーブやロードができず、ゲームオーバーになると最初からやり直しに……。もちろん、道中に喉の渇きを潤す水を飲める場所や、腹を満たす食料を手に入れる手段は用意されています。そのため、まずは各種補給場所を探してのマッピングを行うことになるでしょう。

食料品店、湖、ガソリンスタンドは、STRENGTHとTHIRSTY、GASOLINEを補給するのに大事なポイントです。これらの場所を見つけてマッピングしたら、もう一度最初からプレイするのがエンディングへの近道となります。

 このゴーストタウンには、スタート地点以外にも入れる建物があるほか、道路を塞ぐ巨大な岩も存在します。すべての場所を探索すれば、難所を突破できるアイテムが見つかりますので、そうすれば自ずと解決策は見つかるはず。果たして、最後はどのような脱出手段で町を後にするのか……。

 各シーンごとの謎をクリアして最適解を導き出せれば、あっさりと最後のキーアイテムが隠されている金庫までたどり着くことが出来るはずです。プレイした経験上、その解除ナンバーと最後の最後に入力する単語が、『ゴーストタウン』最大の謎と言えるでしょう。それ以外の場面では難しいコマンドを要求されることはほとんど無く、車の操作に慣れるまではキーレスポンスが少々悪いことで起きる移動ミスが最大の敵かもしれません。

 ちなみに、パッケージには難易度として★★★★★と書かれていますが、★★★は初級入門者向け、★★★★が中級者向けで、本作は上級マニア向けとなっていました。これをノーヒントでクリアすることができれば、あなたもマイクロキャビンアドベンチャーゲームの、上級マニアの仲間入りに!

本作で鍵になるシーンを集めてみました。時計の指し示す時刻と、とある家で見つかるポンプ、金庫、そして行く手を遮る巨大な岩……。これらの場面を突破できれば、エンディングは目前です。

 本作はX1以外の機種にリリースされなかったほか、翌月には『英雄伝説サーガ』が発売され、さらに11月からは『は~りぃ ふぉっくす』の宣伝が始まり、12月には同ソフトが発売されただけでなく、『WORRY』も登場してしまったこともあってか、残念ながら“隠れた”感じが否めませんでした。そのためか、出回り数も少なかったようで現在見かけることが稀ですが、遊ぶ機会を見つけてぜひゴーストタウンからの脱出を試みてください。

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