ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

思考ルーチンが本格的だったデービーソフト『最強麻雀 始皇帝』

パッケージに採用されている絵柄は、ソフトを起動したときに表示されるCGから中央部分をアップにしたものです。描かれているのは万里の長城で、パッケージ四隅には“最強麻雀”との文字も配置されていました。

 当時の懐かしい広告とゲーム画面で、国産PCの歴史とノスタルジーに浸れる連載コーナー。今回取り上げたのは、デービーソフトから1985年末近辺に発売された本格派麻雀ソフト『最強麻雀 始皇帝』となります。

発売が決まったのが、1985年10月頃かと思われます。最初は非常に小さなスペースでしたが、翌月から3ヶ月間は1ページへと大出世となります。特に後半はデービーソフトのワープロソフト『春望』と合わせて宣伝されていて、「今年はちょっとマジメにパソコンやる方に」というキャッチで掲載されていたこともありました。

 1980年代にゲームセンターでよく見かけたのは、プレイヤーが和了るとコンピュータ側に設定されている女の子が服を脱いでいくという、いわゆる脱衣麻雀でした。他にも、時間経過とともにスコアが減っていき、和了ると点数が加算され時間の余裕ができるというタイトルもあったりしましたが、多くの人が覚えているのはやはり脱衣麻雀かと思います。しかし、同時期のパソコン向け麻雀ゲームといえば、目立ったのは4人打ちできる作品や、インチキしない思考ルーチンを採用した作品などで、脱衣麻雀が全面に出てくるのは1980年代も半ばを過ぎてからでした。

 そんな1980年代半ばのタイミングで、デービーソフトが“本格派”を謳って市場へと投入した麻雀ソフトが、今回取り上げた『最強麻雀 始皇帝』です。1985年10月には広告が掲載されていたものの、実際に発売されたのは広告記載の内容が一新された1985年12月後半のようでした。ちなみに、マニュアルに“昭和60年11月20日第1版第1刷”とあることからも、発売はその後だろうと思われます。

V1モード用のゲームではありますが、オープニング画面では万里の長城が描かれたCGとともに豪華なBGMがFM音源で鳴ります。

 本作は、起動すると最初にタイトル画面が描かれて、そこでFM音源による豪華なBGMが奏でられました。ここで思わず「本編中もBGMが流れるのでは?」と期待したのですが、以降の画面では対局開始時や誰かが和了ったときに短いBGMが鳴る程度で、それもBEEP音によるちょっとしたものという、少々さみしい感じのものでした。

 なお、タイトル画面のCGで描かれている万里の長城ですが、これは秦の皇帝・始皇帝が、既に各地に築かれていた長城を修復してつなぎ直し、防衛施設として整備したことからタイトル画面になっている、と思われます。

 『始皇帝』には、これといってゲームモードは用意されていません。タイトル画面の後に表示されるメニューからコンピュータの思考の強さやゲーム進行速度、持ち点、場の設定、喰い断のありなしなどを選択してリターンキーを押せば、即座に半荘スタートとなりました。

このメニュー画面で、コンピュータの思考の強さや喰い断のありなし、初期持ち点などを設定します。設定が済んだら、リターンキーを押して対局開始。

 対局は基本的に4人打ちで、画面最下段にプレイヤーの手牌が表示されます。フルキーの最上段“1”から“”までと“INS/DEL”がそれぞれの手牌に対応していて、それらのキーを直接押すかテンキーの4と6でカーソルを移動させて、目的の牌がカーソルカラーの黄色で表示されたところでリターンキーを押せば牌を捨てられました。ポンやチーが出来るときは自動的に進行が止まるので、ポンならF2、カンはF3、チーの場合はF4を押せば、それぞれのアクションが行えます。さらに、立直はF1で、アタリ牌が出たり自摸った場合はF5を押せば和了りとなり、自動的に点数計算が行われ次局へと移りました。

 こうして半荘が終わるとトータルスコアが表示された後、リターンキーを押すことで新しい半荘がスタートします。ゲームを終了したい場合は、SHIFTキーとSTOPキーを同時に押すことで最初のメニュー画面に戻れるほか、そのまま電源を切ってしまう手もありました。

対局中は、フルキー最上段またはテンキーの4と6でカーソルの操作、リターンキーで決定、F1からF5で立直や鳴き、和了りを行います。特にBGMが流れるわけでもなく淡々と進んでいくので、聞こえるのはパソコンのファンの音だけ。

 本作は、この時期の麻雀ゲームとしてはストイックにできていて、純粋に4人で対局する以外の機能は設けられていません。コンピュータの思考ルーチンを参考にするという場合は、メニュー画面で研究仕様を「入」にするか、または対局中にSHIFTキーとF3キーを押すとコンピュータが代わりに打ってくれるようになりますが、他の“お遊び”のようなモードは入っていませんでした。逆に、普通に麻雀を打ちたいという人には、これほど最適なソフトはなかったといえたのではないでしょうか。筆者も、写真撮影をするためにプレイしていたはずが、気づけば数時間も打ちっぱなしだったという事態に。

 最強麻雀を謳っていたということで、その思考ルーチンも色々と見てみたのですが、例えば三色確定で地獄待ちを選択したり2枚目の字牌を鳴いたりと、当時としては直線的ではない、ちょっと手の込んだ思考ルーチンになっているかな?という印象を受けました。あくまでも個人的な感想ではありますが……。ただ、せっかくの4人打ちではあるものの、それぞれが個性的な打ち方をしてくれる訳ではないので、その辺が惜しいところでした。

対局中にSHIFT+F1でコンピュータの手牌が見られるオープンモード、SHIFT+F2で持ち点表示、SHIFT+F3でコンピュータが代打ちしてくれるヘルプモードを、それぞれ起動させられます。対局を終了したい場合は、自分の手番でSHIFT+F5でメニュー画面に戻れました。

 なお当初の広告では、他の麻雀ソフトのデータを入力することで“コンピュータ対コンピュータのハイレベル・ハイブロウな戦いが実現”する予定だったようですが、製品版にはそのようなメニューは無いので、残念ながら立ち消えになってしまったと思われます。とはいえ、思考ルーチンにこだわり、アーケードの麻雀ゲームのように揃った配牌や積み込まれた山のようなものではなく、単に4人集まれないときの代わりとしてまともな麻雀を打ちたい、というユーザーには見事に刺さったことでしょう。

 本格的な思考ルーチンを前面に出した同社の麻雀ソフトは本作のみで、以降は『今夜も朝までパワフル麻雀』のような、どちらかというとお遊び路線に舵を切ったタイトルへとシフトしていくことになります。

本格的思考ルーチンを謳っていましたが、なかなか渋い和了りを見せてくることもあったり、立直をかけずにダマで狙い撃ちしてくることがあるなど、当時としてはよくやっている方ではないかと感じる打ち方でした。

 余談ですが、本作のPC-8801版は対応機種としてPC-8801/mkII/SR/FR/MR/TRの他、PC-8001mkIISRにも対応しています。どの機種もディスクをセットしてリセットボタンを押せば起動するようになっていたので、PC-8001mkIISRユーザーが本作を購入後にPC-8801mkIISRシリーズに乗り換えたとしても、同じソフトで遊び続けることができました。

 同一ソフトが複数のハードで動くという、いわゆるデュアルブートのようなタイトルは当時としても非常に珍しく、似たような作品としてはSPSの『棋太平』やマイクロネットの『チャンピオンプロレス』などがありましたが、その恩恵にあずかったという人は果たしてどれだけいたのかが気になるところです。

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