ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

誰もが石油王になれる?ブレーンメディア(ラオックス)の『大石油王』

いかにもなキャラクターが大きく描かれたイラストの下に、『大石油王』のタイトルが配置されています。裏面にはプロローグとともに、画面写真も掲載されていました。

 当時の懐かしい広告とゲーム画面で、国産PCの歴史とノスタルジーに浸れる連載コーナー。今回取り上げるのは、1983年9月にブレーンメディアから発売されたシミュレーションゲーム『大石油王』となります。

1983年8月に発売された月刊『I/O』9月号に発売予告広告が掲載され、翌10月号に発売中として3タイトルが載りました。ここまでは、ラオックスの広告ページを間借りした形でしたが、11月号ではモノクロではあるものの独立したページに掲載されることに。

 1980年代前半は、さまざまなメーカーが各種ブランドを立ち上げてパソコンソフトをリリースしていました。例えば、ストラットフォードコンピューターセンターがマジカルズゥというブランドから『ザ・スクリーマー』などを、タカラ(当時)がフェニックスブランドから『チョロQ』などが、すぐに出てくるかもしれません。

 そんな時代に、家電量販店販売メーカーで有名だったラオックス株式会社(当時)がブランド・ブレーンメディアを立ち上げて、1983年8月に新作ソフト発売を予告します。そして翌月にリリースされたのが『GALACTRON』と『THE FAR WAY』と、今回取り上げた『大石油王』となります。『大石油王』は、最初に発売がアナウンスされていたのはPC-8801版ですが、リリース日にはPC-8801版、FM-7版、PASOPIA7版が同時に登場した模様です。プロローグがマニュアルに記載されているので、それを紹介しましょう。なお、マニュアル中に書かれている金額ですが、これは1983年時点でのドル円換算レート(1ドルが約240円)で計算した額となっています。

タイトル画面では、いかにもな油田地帯を背景に、石油王らしき人物が描かれています。本作を手がけた“ミサキタモツ”さんの名前もクレジットされていますが、調べても他の情報を見つけることはできませんでした……。この後、プレイ人数と銀行からの融資を選択するとゲームが始まります。

 1989年、私の家に一通の手紙が舞い込んだ。発信人は、アラブの一画にある小さな王国からだった。

 「私の国、石油いっぱい お金持ちよ!いい国生まれたね 私。そうでない国、生まれるは かわいそうね。そんな人、いっぱい。そいで、おみくじひいて当たった人、私の国の石油採掘権 あげるあるよ。でも4人だけね。その4人の中に、あなたあるよ。どうするね。でも、50万$もってくるよ。返事はやくある、よろし。」

 内心、“なんだこれは中国人からの手紙ではないか。”と疑いながらも、友人に頼んで調査してもらったら、なんとどうやら真実らしいのだ。ただし、大資本家が大金をかけて狙うほどの油田はありそうもないらしく、小規模な地帯を30に分けてあり、パイプラインも完備(分譲住宅だねえ)、採掘機械の方もよくしたもので、小規模用の安い機械もあるらしい。それでも、うまくいけば50万$が500万$(12億円だよ、君)になるというのだ。家財道具をたたき売り、女房を質に入れ、足らない分は……と、何とか50万$をかき集め、飛行機に飛び乗った

占いじいさんの占いを見ながら、どこの採掘権を買うかを決めます。マニュアルによると、この占いは「ボソボソとしかしゃべってくれません」と書かれているのですが、これはつまり、文字をゆっくり見せてくれないということ。表示時間が短く即消えてしまうのですが、今ならメッセージが出たらスマートフォンなどで撮影すれば問題無いでしょう。

 プレイヤーは大石油王を目指して、石油の出そうな地域で採掘権を買い、盗賊団などを蹴散らし、試掘して石油を掘り当てていきます。しかし、石油を見つけることなく破産してしまえば、もちろんゲームオーバーでした。本作がリリースされた1983年は、今ほどオイルマネーがメジャーではなかったということもあってか、個人的には少々地味目なタイトルだった印象があります。

 そんな本作は1人プレイ専用ではなく、最大で4人までのプレイが楽しめました。友人を招いて4人で遊ぶのはもちろん、1人プレイの時は残りをコンピュータが受け持ってくれるので、ボッチでも問題ありません(笑)。

続いては、試掘機を購入しての試掘を行って、石油を探します。1つ10万$もするので、おいそれと買えるものではありませんが、数を揃えれば石油を短期間で見つけることもできるかもしれません。途中、大学の研究室と連絡が取れると、1万$で試掘成功までのおおよその期間を教えてくれるので、それを目安にするのも手です。

 シミュレーションゲームではあるもののパソコンゲーム初期の作品と言うこともあり、ルールはかなりシンプルでした。最初にプレイヤー名を登録すると、続いて銀行から50万$の融資を受けるかどうかを問われます。融資を受けるとパーセンテージ分、最終的な儲けから各銀行にもっていかれますが、数値が高いほどゲーム中に追加融資してくれる可能性もあるので、慣れないうちは融通してもらっておくのが得策かもしれません。

 これが終わると、いよいよメイン画面へと移ります。まずは、30に分割された土地から試掘したい地域を選び、そこの採掘権を買うことからスタート。当然ながら、石油の期待できる地域、できない地域があるのですが、選択の際には的中率80%近い“占いじいさん”が登場して500$で占ってくれるので、その助言も合わせて採掘権の欲しい土地を選んでいくことに。

石油を掘り当てると、マス目が赤に塗り替えられます。あとは20万$を出して本格的採掘設備を建てれば、黙っていても毎月石油収入を得られるのですが、お金がなければ分割払いするか、溜まるまで保留にするしかありません。いざとなれば、融資を持ちかけてきた銀行から借りる手もありますが、返済時に資金がないと採掘設備だけでなく、試掘権まで持っていかれてしまうハメに。

 しかし、採掘権を買っただけでは石油は出ません。そこで、試掘機を購入しての試掘を行います。手に入れた土地内は4つの地区A、B、C、Dに分かれていて、少しずつ石油の出る可能性が違います。試掘機を多数購入すれば一度に多くの地区を調べられますが、その分初期投資や経費もかかるのが悩ましいところ。なお、試掘機は1台購入するのに10万$もかかるほか、試掘には毎月2千$、地域内の地区間移動に3千$、別の地域への移動は1万$がかかるなど、金食い虫なので注意が必要です。

 こんなことをしていれば、あっという間に資金が底を突くわけですが、そうなりそうなときには銀行からお金を借りるしかありません。当然ながら期限が来れば返済しなければなりませんが、手持ちが足りなくて返せないときは、強制的に石油の出た土地や試掘機などあらゆる財産を売却されてしまいます。それでも足りなければ、破産となってゲームから退場に……。その時に売られた土地や財産は他のプレイヤーが再購入できますので、生き残っている人にとってはありがたい限り。例えば石油が出た土地が売られた場合は、そこを購入すれば試掘せず石油を手に入れることができてしまうわけです。

ライバル達との熾烈な闘いに勝ち、資産500万$を突破すれば勝利となります。邪魔な相手には盗賊団を派遣して設備を破壊するという手もありますが、必ず成功するわけでは無いのが難しいところ。逆に相手から狙われて採掘施設を破壊されることもあるので、そのような場合に備えて武装警備隊を雇っておくのも大事なことです。

 こうして試掘を重ねていけば、油田発見の報が入るはず。喜ぶべき場面ではありますが、ここでも必要になるのが資金です。本格的採掘設備に20万$、さらにはパイプライン使用料として石油産出量の2割を有無を言わさず持っていかれてしまうのでした。ただし、採掘設備は毎月8千$×4年間での分割払いも可能ですが、最終的には約40万$を支払うことになってしまうので、さてどうしたものか……。

 また、油田が見つかればあとは左うちわでウハウハ……というわけにもいきません。ゲリラが設備を襲って破壊してしまうこともあるので、武装警備隊を配置しておくなどの対策が必要となります。もちろん警備の費用も毎月かかるので、石油を産出しても経費に泣かされるのは相変わらず。

 このような感じで少しずつ手を広げていき、各所で油田を掘り当てて大儲けして、最終的に資産500万$を突破すれば勝利となりました。コマンド数も少なくルールも簡単なので、シミュレーションゲーム初心者や筆者のようにシミュレーションゲームを得意としない人でも楽しむことができます。

 オイルマネーという単語もメジャーになったので、今だからこそプレイすると味わい深いモノを感じることができるかもしれません。

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